第四話 笑えない冗談と笑えない終わり方
四、
マッチ売りの少女を皆は知っているだろうか?マッチ売りの少女とはデンマークのとある有名な童話作家の創作物語なのである。
さて、そのマッチ売りの少女のあらすじはこうだ…………大晦日にマッチを売ろうとしているのだが、ぜんぜん売れない………売れずに帰ってしまえば父親から怒られてしまうということで、彼女はがんばったのだが売れなかった………そして、マッチに火をつけると七面鳥とか、おばあちゃんとかが出てきたということである。
「………あ、それをしようにも俺、マッチもってねぇや」
街中でしょげている俺のポケットの中にはマッチなど、ない。幻想的な気分に浸りたいと思っていたのだが、これではリアルマッチ売りの少女が出来ないではないか?ああ、俺は男だからマッチ売りの青年になるんだな。
「…………はぁ」
出てくるものはため息とおなかの音ばかり………今、俺がすべきことなんて何一つない。親に連絡をとるなんて今の俺には考えられない。
「…………」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
突如、公園へ続く階段に腰掛けていた俺の後ろから何かが迫ってくる音が聞こえた。ああ、そういえばここらへんってそろそろ暴走族が出るんだっけ?こうなったら風になるのも………悪くないかもしれない。混ぜてもらうこととしようか?
俺はそんな馬鹿な考えを捨てた。しかも、なんか既視感を感じる…………
「ん?」
振り返ると、猛スピードで何かがやってくる!うを?な、何だ?最近の暴走族はバイクとかで階段を駆け下りたりするのがすきなのか!?
そんなことを考えているのなら脇に避けるべきだった…………俺はそのまま走ってきた何かにぶつかり、階段をそのまま落ちていく………
このままではさすがの俺も死んでしまう…………花畑の向こうに河川敷、そして、そこには鬼さんがトラ柄パンツに金棒ではなく船頭さんスタイルでオールを手にして俺に手を振っている…………あ、ばあちゃんが迎えに………
「ちょっとまてやぁぁぁぁぁぁ!!うちのばばあはまだ元気じゃぁぁぁぁぁ!!!!」
俺は何とかこっちに戻ってくることが出来、未だに浮遊感は続いている…………くそ!もう駄目なのか?こっちに戻ってきてもどうせ、また逆戻り………なのだろうか?そう思った俺だったが…………
「はっ!!!」
「え?」
気がつけば誰かにお姫様抱っこの状態で助けられていたのだった。
「え?あれ?」
「ふぅ、万事休すだったわね………危うくうちの妹が無実の人間をあやめるところだったわ」
そういって立ち上がったその相手はどこかで見たことがあるよな人だった。
「あ、あなたは…………」
「あら?王子様じゃない?」
俺を抱きとめてくれているその女性は、倉庫の裏で捕まっていたあの人だった。
「あ、ありがとうございます…………」
くたばりそうだった俺を助けてくれたこの人はいわば、命の恩人である………
「と、それより、さっきは公衆電話切れちゃったわね?あの続き、聞かせてくれる?私、気になることがあったら最後まで知らないと駄目なのよ〜………だから、この町の公衆電話の辺りを探してて、たまたまあなたを妹がはねてそのままあの世のそこに叩き落そうとするのをみて助けにはいったわけなのよ。さぁ、教えて?」
俺をおろし、俺はそういわれたので素直に答えることにした。家が燃え、携帯などはなくなった上に財布まで取られてしまったということを…………
「成る程〜、そういうことだったのね?はい、あなたの携帯ね?」
「え?何でもってるんですか?」
差し出された携帯を俺はぎょっとしながらも見つめる。
「それはね………」
「だ、大丈夫ですか!」
上から先ほど俺の命を故意ではないにしろ、しとめようとした相手がやってきたのだが…………
「よ、吉野君だっけ?」
「あ…………」
そこにいたのは朝、俺を轢いていった転校生だった。
「…………あら?お二人ともお知り合いかしら?」
「いえ………朝も俺を轢いていった人なんですけど………」
そこにいたのはあの女の子………
俺にとって、ここからが本番、終わりではないのだが………
こうして、俺たちは出会った。




