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プロローグ/第一話 不幸と思うから不幸になる

プロローグ

 自分が不幸であると気がついたのは五歳ぐらいだっただろう。

何かイベントごとがあっていこうとすると雨が降り、小学校六回中の五回は雨で延期になったり午後からの競技だけだったりする。

そう、これだけなら雨男というレッテルを貼られるだけで済んだのだが………学校帰りに人間違いで誘拐されそうになったり、花瓶が空から降ってきたり、マンホールの上を歩けば抜けて危うく落ちそうになる。おかげで話し友達とかはできたのだが、あまり俺と一緒に帰ろうといってきてくれる人は幼稚園時代には皆無だった。しょっちゅう怪我をして家に帰ってきたものだ。今だって右頬には直らないであろう傷が一本残っている。

 さらに、自分の不幸は身体的なダメージだけにはとどまらず、精神的なダメージを引き起こすという悲しいこともある。

ルックスがいまいちなのも関係していると思うのだが小学五年生の最後に幼馴染の気の強い女の子に告白してみたところ、ああ、ちなみにそのときのないようをちょっとばかり説明するなら以下の通りになる。その女の子がクラスのだれだれは〜とかそういう話を一緒に帰っているときにされて俺も彼女に相談を持ちかけるように告白した。

「じ、実はさぁ、俺も好きな人がいて………」

「へぇ〜誰?」

「あんた」

「…………」

こんな感じで告白したのだが、返事を待ってもまったく返ってこない。挙句の果てに、毎日その女の子と一緒に朝登校していたのだが次の日から家には来てくれることがなくなってしまった。不幸である。まぁ、冗談だ。

ほかにも例を挙げるならきりがないが…………中学に上がった俺は好きな人(別の人)と一緒に帰れるという権利を取得!勇気を出したまでは良かったのだが…………

「あのさ〜知ってるか?○○さんと隣のクラスの○が付き合ってるんだってよ?」

「え?」

 隣のクラスの○を俺は嫌っていたのだが…………その話を聞いたとき、俺は世界が滅亡してしまったのではないか?と錯覚してしまった。毎朝犬に追いかけられたり車にはねられそうになったりはしたが、これが一番精神的にこたえた。

 一家も早いうちからばらばらになってしまっているのでその話をする相手もおらずに俺は自宅に帰って泣いた…………なんてことはなく、ああ、それなら○○さんの友達に声をかけてみよう!というポジティブな気持ちだった。

 いつか大きな幸せを手に入れて見せるぞ!と、意気込みながら自炊を開始した自分だったのだが…………そのときはまだ、知らなかったのだ。


 大きな幸せは不幸であるということを…………


一、

 俺が幸せを求めて『大幸筋学園』に入学してから一年の月日が見事に過ぎ去ってしまった。二年生になるための難解のテストを風邪の状態で受けてもなお、赤点をとっていなかったというのは奇跡と言っていいのだが、毎回俺がテストを受けるときは何らかの枷がつけられている気がする。

「い、いかんいかん………また不幸だ〜とか思っていたら不幸を呼び込んでしまう」

 ポジティブなことを考えていることにしようと決めたのはおでぶに彼女をとられたときに決めたではないか!と、俺は自分を叱咤する。

「いってきまーす」

 もうなれてしまった一人暮らしなのだが挨拶は怠らない。挨拶も出来ない奴は人間じゃない………とまでは思っていないのだが、最低限のルールぐらいはわきまえている。まぁ、アパートには俺一人しかいないのだが…………

 一年間通いなれた道を通っていく…………うん、半ばまで見事にこれることが出来た。朝はどうやら不幸が俺を襲わないようだ…………

 そう思っていた俺を不幸が襲う。

「あ、あぶなぁぁぁぁぁぁぁい!!!」

「え?」

 振り返ると下り坂を物凄いスピードで失踪してくる危ない自転車が…………今歩いているところは狭いところなので避けることができない。

 どうする?

 俺はそう思った。いや、もう思った時点で手遅れだった。次の瞬間には見事に俺の顔面を自転車の前輪が直撃し………俺はそのまま倒れ、用水路を見事に飛び越えて息、爆走していく自転車をさかさまになってみていたのであった。

 そして、何故か無常にも学校が機動を始めるチャイムが鳴り響く…………どうやら、うちの目覚まし時計に腕時計がばらばらの数値を刻んでいると思ったらどっちもずれていたというわけか…………

「…………………昨日は間違いなく動作を確認したはずだったんだが………がくり」

 俺は気絶し、世界が暗闇に包まれていくのを感じたのだった。

―――――

「すみませんっ!遅刻しました!」

「遅いぞ、馬鹿たれが………遅れるときはきちんと連絡しろといっただろうが?」

 で、今日はどんな不幸にあった?と俺に尋ねてくる担任………その顔が面白そうに歪む。

「えっと、自転車にひかれました。顔面にあとまでつけて………」

 そういってクリーニングしたてだったのだがぼろぼろになってしまった学生服を担任に見せる。

「ふむ、まぁ、いいや………早く席に座れ」

「はい…………」

 今日は始業式だったのだが…………見事に俺は遅刻してしまったというわけだ。既に始業式は終わってしまって後は帰りのホームルームのみとなっている。

 俺…………吉野幸児よしのこうじは開いていた席へと座る。既にくじ引きが行われていたのか、一番前の席だった。

「え〜明日から授業が始まるので各自、きちんと準備をしておくように!」

「………あれ?」

 俺は先生の言うことなどそっちのけでクラスをぐるりと見ていた。その中に見たこともないような女子が………………いや、今日の朝、俺の顔面を自転車で踏んでいった奴だった。

―――――

 ホームルームが終わってから人だかりが出来ている女子高生を遠めで俺は見る。近くにいたのが先生だけだったので俺は先生にたずねてみることにした。

「お?どうした、吉野?あの子?ああ、彼女は転校生だ」

「…………転校生?」

 そうだと先生は言って言う。

「彼女、急な引越しでここに来たそうだ。勿論、編入テストとか受けているからな〜めちゃくちゃ頭が良くて運もいいそうだぞ?今日の朝だって遅刻しそうだったのだが自転車が見事に用水路を越えて間に合ったそうだ…………ん?顔色が悪いぞ?」

「い、いえ………気にしないで下さい」

 まさか、あのデンジャラスな運転をしていた女子高生が俺と同じクラスになるとは………不幸だな、俺。いや、待てよ?勝手に踏み抜いていって謝りにもこないのだ………俺が何かを相手に要求しても大丈夫なんじゃないのか?そこまで考えて俺はやめた。どうせ、何かが俺をさえぎるのだろう、ためしに俺は彼女に近寄ろうとして、一歩手前でストップした。


どごーん!!!


 俺が後一歩踏み出していたら間違いなく潰されていたに違いない…………俺の目の前には石膏が一つ転がっていた。

「す、すいません!」

 男子美術部員がそういって俺の前から石膏を拾い上げていく。

「ちょっと、吉野君が来たわよ!」

「不幸の塊が来た………律咲さん、行きましょう?」

 律咲と呼ばれた転校生はクラスの女子たちにつれさらわれていったのだった。


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