海について
交易で稼ぐからにはやはり海にまつわる諸々の技術を開発したい。
まずは内政チート定番の流下式塩田。これは当然導入。この方式に必要となるポンプも当然導入。この辺りは瀬戸内滞在中に小規模で実験済みとしよう。
海産物の開発にも力を入れたい。鰹節とかそういう加工品だ。交易にも使えるかも知れないので積極的に開発していく。
それからやはり船舶を進化させたい。交易するにしろ戦争するにしろ他所より優秀な船と船乗りを確保出来ていれば有利だろう。
我が征西府にはペルシャの錬金術師を始めとする元朝から流れてきた技術者集団がいるという設定なので、竜骨については牧宮が夢で調べるまでもなく導入出来るはずだ。
欲を言えば蒸気船を開発したい所ではある。理屈自体はそう難しいものではないので、配下の職人たちが頑張れば作れないことはないか? さらには推進機にスクリューを採用したい。蒸気タービンのスクリュー推進。当時の技術力では難しいかも知れないが、出来そうでもある。このぐらいのご都合主義は許容範囲か? 燃料に関しても肥後まで勢力圏を広げた後なら炭鉱がいくつかあるようなので石炭を使えば良いだろう。
史実の懐良親王は菊池氏の本拠地隈府城に征西府を開いたようだ。隈府城跡は現在菊池神社になっているらしい。で、地図で菊池神社の位置を確認するとだいぶ内陸だ。そもそも菊池市自体に海がない。そうなると海を重視する我が征西府としてはいささか不便であろう。大宰府侵攻を考えれば良い立地なのだろうが、うちの牧宮は大宰府攻略をそこまで重視していないので、隈府城を拠点にする案はボツだ。菊池氏や阿蘇氏は良き同盟相手といった感じで、それぞれの拠点で頑張ってもらおう。
ただ九州の地図を眺めるに、やはり本拠地は肥後が無難であろう。
若干日向や大隅へのアクセスは悪いが、ほぼ九州の真ん中であるので侵攻するにも統治するにも都合が良さそうだ。そして菊池の隈府城ではなく海に近い場所が良い。
宇土市と熊本市の境目辺りが良さそうだとグーグルマップを眺めていたら、「西征将軍宮」なる文字が!? おそらく懐良親王かその後継良成親王所縁の神社なのだろうが、詳細は不明だ。ただ位置は良い。この謎の神社がある走潟町が我が征西府の有力候補地だ。ただ一つ懸念があるとしたらこの走潟町、当時も存在していたのだろうか? 当然現在の宇土市走潟町なる地名は存在していないだろう。そんなことはわかっている。問題なのは「ここ干拓地じゃないか?」という点だ。
有明海沿岸は古来より干拓が進められてきたようだが、積極的に行い干拓地が広がったのは江戸時代以降のようだ。そうなると南北朝初期の当時すでに干拓された後なのかまだ海だったのか微妙だ。熊本に土地勘のない作者が知らないだけで元々陸地だったのかも知れない。それなら問題ない。走潟町の辺りを本拠地としよう。逆に当時は海だったのなら宇土城を本拠地としよう。
当時の宇土城は南朝寄りの宇土高俊の支配下だったようだから、宇土城に入って征西府を開くのはそう難しいことではないだろう。当時が現在よりも海が近かったのなら交易や海賊衆の活用に都合が良いだろう。
と、ここまで考えたところで、別の案が浮かんだ。
宇土城よりも北、現在の熊本市西区だ。金峰山という熊本市のシンボル的山があるようだ。この金峰山の南にある権現山かその麓に城を築いて本拠地としよう。見晴らしの良い金峰山にも物見櫓だか遠見番所だかを設けると良いだろう。
そうだな。本拠地は権現山城とする。
そして権現山城を中心に有明海沿岸に貿易港や軍港を作る。平清盛にも出来たのだから現代日本の知識というチートを活用出来る牧宮たちなら港の一つや二つ簡単に作れるだろう。
天草炭田や三池炭鉱からの石炭もこうして整備した港を利用して権現山城へ運ぶのだ。
そしてその整備された港で作られたスクリュー推進の蒸気船で外洋に打って出る。そのためには五島列島を早めに勢力圏に取り込む必要があるな。
五島列島を支配下に置いた後はまずは済州島を制圧しよう。昔は耽羅国だったとか元の直轄地になったとか高麗に返還されたとか所属が色々変わっている島であるし、流刑地として使われているような僻地のようなので牧宮率いる征西府にも付け入る隙がありそうだ。耽羅王所縁の人間を探してきて征西府傀儡の耽羅国を作って高麗や元、反元勢力たちとの交易の窓口とするのだ。
薩摩大隅は制圧済みの予定なので、奄美や琉球方面へも積極的に船を出す。この場合古来から使われている坊津が軸となるか。当時の琉球は三山時代なので尚氏が統一王朝を作る前に征西府の管轄下としよう。琉球を制したらその先の台湾、さらにはルソン島やボルネオ島が待っているのだが、そこまで行くのは九州を完全に制した後の方が良いかも知れない。逆に言えば琉球制圧までは大宰府攻略や九州の完全制圧よりも優先度が高いということだ。