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三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚してしまった件につきまして  作者: 七転び八起き


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第36話 慰める会?

 ──翌日


 勇凛くんは本社研修の日。


 一緒に朝の準備をし、家を出て通勤電車に揺られ、林ホールディングスへ。


 スーツを着ている勇凛くんはいつもより大人っぽく見える。

 一年目の社員よりももっと。


 やはり、あの会社の経営者一族だからなのか、勇凛くんの覚悟が滲み出ているかわからない。

 私も一緒にいると気が引き締まる。


 本社のビルに到着すると──


 ビルの受付付近で勇哉さんと森川さんが話している。


 あの会社の時と違って相当外見に気合が入っている森川さん。

 まるで前からここで働いているかのように馴染んでいる。


 その時二人と目が合った。


「あ〜おはよ〜〜」


 勇哉さんデフォルトの笑顔。


 森川さんは、よそゆきな笑顔の中に、変わらぬ芯を持っている。


「おはよう」


 私も背筋が伸びる。


「おはようございます」


「あ〜勇凛、森川くんとおまえ、研修一緒だから」


 ──沈黙


 勇凛くんと森川さんが一緒……

 って、これはどう捉えたらいいんだろうか。


「森川さんは今日から入社されたのでしょうか」


 勇凛くんが聞く。


「うん、そうだよ。よろしく」


 森川さんが優しく微笑んだ。

 その表情を見て少しホッとした。


「じゃあ俺たち行くから七海ちゃんがんばってね〜〜」


 勇哉さんに、勇凛くんと森川さんが連れて行かれる。

 勇凛くんが心配そうに私を見る。

 私はちょっと敬礼ポーズをして、勇凛くんを安心させた……つもり。


 行かないでー!


 と言いたいところをグッと我慢して私は秘書課へ向かう。


 秘書課に入ると、待ち伏せていたかのように勇輝さんがいた。

 マスクをしていて、体調は相変わらずな感じだ。


「おはようございます」


 挨拶をすると、机に資料が置かれた。


「今日は取引先で会議だから同行するように」


 そう言って通り過ぎた。


「あの……大丈夫なんですか?」


 勇輝さんが立ち止まった。


「何が?」


 私を少し見た。


「体調について、です。私も無理をして倒れたことがあるので……」


「……そうか。私はただの風邪だ。問題ない」


 そして彼は秘書課を去った。


 残された私は、パソコンを立ち上げ、メールを確認し、仕事に取りかかった。


 自分を苦しめている相手を心配してるなんて、私はお人好しなのかもしれない。

 前の会社の時もそうだ。

 私が今心配すべきなのは勇凛くんのことだけだ。


 それでも気になるのはきっと、彼が無理をしているのがわかってしまったからかもしれない。


 ◇


 鳴り響く電話をそれぞれさばきつつ、その他の仕事もしていると、またフラーっと現れる。


「……勇凛くんと森川さんほっといて大丈夫なんですか……?」


「大丈夫!森川くんコミュ力高いし、面倒見もいいから、あとは自分でどうにかするよ」


 ──適当すぎる……

 絶対こんな上司嫌だ。


「森川さんはどこの部署なんですか?」


「森川くん営業にしちゃった」


 森川さん前職SEなんですけど……。

 いや、若干営業寄りのこともやってたのか?

 別のグループだからよく分かってなかった。


「まあ様子見てまた考えるよ〜。それよりさ〜」


 勇哉さんが隣に座ってきた。


「森川くんも七海ちゃんのこと好きだよね。わかりやすすぎー」


「え……なんでそう思うんですか……?」


 勇哉さんがニヤニヤしている。


「俺が福岡行くって言ったら、来たでしょ」


 こっちもバレていたのか!


「わざと釣ったんだよね〜。わざわざ福岡来ちゃうとかマジじゃん。七海ちゃんモテすぎ」


「そんな事ないですよ……」


 この人が何考えてるかわからない上に距離も近くて一番厄介だ。


「森川くんなんて、未来なんてないのに健気だよ。応援したくなるよね」


 私に罪悪感も与えてくる。


「私で遊ぶのはやめてください!」


「遊びじゃないよ、本気で色々考えてるよ。人生を」


 何言ってるんだコイツ……と思ったけど、顔は真剣だった。


「七海ちゃんたち見てると、俺も頑張ろうって思えるよ」


 勇哉さんは立ち上がって部屋から出て行った……

 と思ったら戻ってきた。


「今日、四人で飲みに行かない?仕事終わったら」


 は?


「四人って……?」


「俺と七海ちゃんと森川くんと勇凛だよ」


 なんですかその罰ゲームは……


「私何時に終わるかわかりませんよ」


「大丈夫だよ兄貴今日夜用事あるし」


「え、そうなんですか?」


「奥さんの誕生日なんだよ今日」


 奥さん──

 複雑な心境だ。

 前百貨店で一緒にいた女性は恐らく奥さんじゃない。


「あの人……勇輝さんの奥さんってどんな方なんですか?」


「え、気になるの?」


「ええ、まぁ、彼はどんな女性を選ぶのかが気になっただけです」


「兄貴は自分と会社に利益がある女を選んだだけだよ。たぶん」


「そうなんですね……」


「俺もそうだよ。でも、別に好きな女がいるわけでもなかったし、そこまで気にはしてなかったよ。今までは」


 その時、内線が鳴った。

 私が電話応対をしているうちに、勇哉さんはいなくなっていた。


 心にざらりとする感覚だけが残った。


 ◇


 ──午後6時30分


 私はオフィスビルの近くに立っていた。

 勇哉さんの急遽企画した集まりのため。

 正直行きたくない。

 でも、勇凛くんを残して帰りたくない。


 しばらく待つと、三人が出てきた。


「七海ちゃんお待たせ〜」


 手を振る勇哉さん。

 表情だけ取り繕ってる森川さん。

 複雑な表情の勇凛くん。


 行く前から気疲れ。


「じゃあ行こうかー!」


 と連れて行かれたのは高級焼肉店。

 個室に案内された。


「俺の奢りだから好きなだけ食べて〜」


 気まずい空気をどうにかしたくて


「じゃあ私注文します!!」


 と色んな肉を注文。


 お酒を注文する森川さん。

 この状況でどう振る舞えばいいかわからないと思われる勇凛くん。


「勇凛くん、今日どうだった?」


 私が聞いて勇凛くんが口を開こうとすると


「勇凛はねー。説明したこと真面目にずっと書いてるよー」


 と代弁する勇哉さん。


 お前に聞いてない!


「勇凛くんはしっかりしてるよ。わからないことはすぐ質問するし、一社員として積極的に業務を知ろうとしてるね」


 ナイスフォローな森川さん。

 なんとなく想像できる勇凛くんの研修姿。

 間近で拝みたい。


「今はそれだけしかできないので……。森川さんが、とても今日来たとは思えないほど色んな方と打ち解けてて、仕事もすぐに理解して、すごいと思いました」


「みんなすごいよね〜」


 と勇哉さんが呟くと肉や酒が運ばれる。


 私はソフトドリンク、その他はビールで乾杯。

 肉を焼く森川さんと、焼けた肉を配る勇凛くん。

 ひたすら肉を食べる私。

 ビールを飲み干して早速おかわりをする勇哉さん。


「俺の結婚式の式場見て、広すぎない?何人呼ぶんだよっていう」


 スマホを見せてくる勇哉さん。

 さすが大手企業の息子。

 結婚式の規模が違う。


「相手はどんな方なんですか?」


 と森川さん。


「取引先の社長の孫。可愛いんだけどね〜なんかそれだけなんだよね〜」


 また酒をおかわりする勇哉さん。


「七海さん他に注文しますか?」


 と勇凛くん。


「じゃあコレ頼もうかな」


 そのやりとりを妬ましそうに見る勇哉さん。


「見せつけてくんなよ」


 お前が呼んだんだろ!


「何そのお揃いの指輪。嫌がらせ?」


 この男、目が座ってきてる。

 絡まれたくない!


「勇哉さん、よければこの後またあの店行きましょうよ」


 と森川さん。


 何その店?


「いいね〜!あそこ女の子ノリいいから好き〜」


 機嫌が治った。

 ありがとう森川さん!


「なんかでも虚しいわ」


 元に戻った勇哉さん。


 なに、この人慰める会なの!?

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