ロボットの中は、イチャイチャで平和です【2000文字】
ロボット戦争終結から、3年。
現在では宇宙での運搬や街の復興などに使われている。
主に使われている機体は、パイロットの生命維持力をエネルギー源として動く。
戦争末期に登場し、物質資源を必要としないため、すぐに普及した。
じゃあ何が一番生命維持力を感知するのかというと、『好きな人とイチャコラしている時』である。
機内でイチャついて、ロボットを動かす。
そうなると戦う気も失せて、まさかの戦争が終わったという、誰も予想していなかった結末を迎えさせたロボットなのである。
そんなわけで、昨今のロボットは基本2人乗りだ。
「ユア、はやくはやくっ。デート行こう!」
「仕事ね」
パイロットであるティラと、サポーターのユアの搭乗日。
ティラは、ユアに手を差し伸べた。
「あたしの大事なお姫様、どうか一緒にロボットに乗ってくださいませんか?」
バチバチに決めたティラを無視して、ユアは乗り込んだ。
「あああ、ユア〜!」
「ふざけてないでさっさと乗って」
「…ふぁ〜い」
ティラが軽々と操縦席に座ると、座席が感知し起動した。
モニターに映るエネルギーメーターが満タンの緑で光っている。
「んじゃ、出発〜」
「安全運転でね」
「もっちろん!ユアを乗せてるんだからっ」
順調に宇宙に飛び出した。
今日は宇宙ゴミの回収担当で、一機単独であちこちを巡回。
つまりイチャコラもしやすいってものだ。
「ユア〜、チューしてぇ」
「まだ大丈夫でしょ」
「もう黄色だよ!急に赤になったら大変だよ!」
ニッコニコのティラをじとーと見てから、ユアは顔を近づけた。
唇が触れるだけのキスを交わした。
メーターはすぐ緑に変わった。
「はい終わり、次あっちに移動ね」
「ええ〜!もっと!」
「緑でしょ」
「気持ちの問題っ!」
操縦席のティラが席を離れるわけにもいかない。
機内ではサポーターが、補給する役割だ。
はああと深い溜息をついて、ユアはもう一度近づいた。
ティラの好きな舌を這わせるキスにして、ゆっくりと口内を侵食した。
メーター満タンである。
ユア自身も息を荒くしていると、胸の膨らみに手を掛けられた。
「イテッ!」
「…何触ってるのよ」
ティラの手の甲をつねって、今度こそ本気で睨んだ。
「今、いい感じだったじゃん!」
「どこにもそんな雰囲気なかったわよ。ほら仕事して」
「ええ〜ん」
ティラが嘆いた時、ピコンと本部から連絡が入った。
『ティラ、ユア、様子を見に行ってほしいロボットがあるんだけど』
「なんかあったんですか?」
『1時間ほど連絡を取れない機体があるの』
「ええーっ、どうせヤッてるだけですよぉ」
一応、機内でコトを起こすのは厳禁。
1週間減給扱いになるが、易々と越える者は多い。
『故障か、パイロットの不調かもしれないから、無視できないの』
「SOS信号、来てないんですよね?」
『来てないわね』
「人の行為を覗く趣味はないんですけどぉ〜」
「わかりました。行ってきます」
「ユアぁ」
「仕事なんだから文句言わないの」
「…座標、送ってください」
操作しながら、今度はティラが溜息を吐いた。
「せっかく単独仕事だったのにぃ〜!」
「煩悩じゃなくて、手を動かして」
「十分我慢してるよお!」
「色欲オバケ」
「敵を迎え撃つぐらいヤダ〜。行きたくないぃ」
「平和でいいでしょ」
指定の場所に着くと、宇宙空間にぽつんと一機漂っていた。
そばに寄せて、アームでノックする。
「…お取り込み中失礼しま〜す。本部より連絡があり、様子を見にきました〜!」
すると、向こうのコックピットが開いた。
服が一切乱れていない男女が出てきた。
「助かった!どうもロボットが寿命らしい、動かないんだ」
「SOS信号も出せなかったの、ありがとう」
「まじで困ってた…」
「ほら、ちゃんと仕事しないとね」
2体を繋いで、本部に戻るためにティラはロボットを動かした。
「ユア、チューしてほしい」
「イヤ」
「なんでっ!?」
「こんなに機体が近いのに、イヤよ」
「そんなあ〜!お預けなんてあんまりだよぉ!黄色だよおお!」
「もう〜…」
ユアは自分の席を立つと、ティラの上にどっかり座った。
そして、ティラの胸が潰れるぐらい背中を密着させた。
「え、ユア、あの」
「あなたならこれで十分でしょ」
ユアの言う通り、あっという間にメーターが緑になった。
これ以上、燃料がいらないくらいに。
「ユア、いい匂いするぅ〜」
「はいはい、ロボット動かして」
「おかえり、災難だったな」
「SOS信号出せなくてほんと焦った」
「タケル、今日搭乗日だろ?」
「…ショーゴと喧嘩した」
「あーあ、一緒に乗ってもらえなかったか」
「どんまい」
本部に到着して、ユアが先に降りて行こうとすると、ティラが腕を引っ張った。
「どうかした?」
「もう一回だけ!チューしよう!」
「あのねぇ〜」
「ユア大好きなんだよ〜!」
涙目のティラに、ユアは肩を竦めると身を屈めた。
ティラの口の端から端まで舐め取ると、微笑んで降りていく。
「え」
「続きは家帰ってからね」
「今すぐ帰ろう!」
「仕事して」
了
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