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ポーカーフェイスの島江さん  作者: 舟津湊


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17/17

#エピローグ

二学期の後半にもなると、僕たち高二生はいよいよ受験を意識し始める。時々リレーチームのメンバーとは、学校帰りに近くのショッピングモールに寄ったり、ファミレスでだべったりしていたが、もともとクラスが違うこともあって、段々とその回数も減り、十一月に入るとほとんど会わなくなった。LINEのグループだけはまだ生きていて、受験先の情報などは交換していた。この関係はずっと大事にしていきたい。僕と、(人間と鳥両方の)島江さんの恩人だし、高校生活の思い出を作ってくれた大切な仲間だ。


ある日の下校時間。

学校の昇降口で島江さんとばったり会った。


「お久しぶり、沢村君」

「ああ、久しぶり」

彼女ももちろんLINEグループに入っているが、めったに投稿はしないで既読専門だ。そりゃそうだ。このグループができた頃の記憶が無いのだから、会話の糸口がつかめないだろう。

夢の中で、鳥の島江さんから、『これからもニンゲンの島江凪とも仲良くしてやってクレ』と言われたが、僕は、彼女とどう接していいか、正直よくわからなかった。ほとんど僕のことを知らないし、僕も彼女の『素顔』を知らない。


「二年生、いよいよ受験勉強しなくっちゃ、ていう雰囲気になって来たね」

島江さんが話を振ってくれた。

「そうだな、体育祭も文化祭も終わっちゃったしね」

「体育祭、文化祭か……」

失言してしまった。彼女にはこの二つのイベントの記憶が無いのだ。

「あ、ごめん、余計なことを言ってしまった」

「ううん、いいの。フウカが話を色々教えてくれたし……沢村君のことも」

「そうか……なら、よかった」


この街を流れる川の堤防の上の遊歩道を歩く。

いつか、ここを二人で歩いたみたいに。


彼女の学生カバンには、僕が『餞別代りに』プレゼントした、シマエナガのケータイストラップが揺れている。


島江さんが不意に立ち止まった。

陽が傾き、茜色に染まりかけた空を眺めている。


そして歌を口ずさんだ。それは、僕のたた一つのレパートリー……『飛べない鳥』。


ワンフレーズだけ歌い終わると、彼女は僕を振り返った。


「アリガトウ……いい言葉。ホントウニ」


「え?」


「え?」

僕も驚いたが、言葉を発した彼女自身も驚いている。


戸惑いながらも島江さんは言葉を続ける。


「飛べるようにしてくれてアリガトウな、コウイチ」

「え⁉」


「再開するカ?……ヤキソバとナポリのハーフハーフ・コッペパン争奪戦、ダッシュ&ピンポンヲ」


「えー!!!」


                           (了)

 


 登場人物


 ◆人間世界


 島江 凪(ヒロイン・私文Aクラス)

 沢村 光一(語り手・理系A)

 沢村君の実家の商売はフラワーショップ


 〈リレーメンバー〉)

 タマミ(国文B リレーのリーダー役 )

 ヒロト(理系B 頼れる男)

 ヨウスケ(国文B カラオケでハモるムードメーカー)

 キヨミ(理系C リケジョ)

 タク(国文C 寡黙なランナー)

 フウカ(私文B 世話焼き)


 コウイチの母

 コウイチの父

 凪の母

 獣医さん


 ◆シマエナガの世界


 パパ

 ママ

 シマ(長女)

 ユキ(二女)

 ナギ(三女・ヒロイン)

 イブキ(長男)

 ソラ(二男)

 アオバ(三男)

 リク(四男)

 シズク(四女)

 お手伝いのお姉さん

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