#みたび、ふくろうハウスへ
目が覚めタ。
まわりを見渡すと――見渡すまでもなく、ウチの隣りにママがぴったりと寄り添ってくれていて――狭くて、暗くて、柔らかい場所。通称ふくろうハウス。ニンゲン、島江凪の部屋ではナイ。
ニンゲンの世界で、
学校に行って、
学食でウドン食べて、
ピンポンやって、
カラオケで歌って(ウチは歌ってないケド)、
お花をもらって、
体育祭でリレーを走って、
綺麗な浴衣を着せてもらって、花火を見て、
見舞いに行って、
そして、チューをして。
ダレと?
そう。
コウイチという、ニンゲンの高校生の男の子。
ウチに、ありがとう、って言ってクレタ子。
また、会おうって言ってクレタ子。
もう、会えないんダ。
死ぬのは恐くナイ。
ダッテ、パパもママもずっと、こんな風にくっついていてくれルシ。
見つめてくれていルシ。
ウチの代わりに、兄弟姉妹が元気でいてくれのが何よりもウレシイ。
……デモ、チョット、サミシイ。
背中の痛みがなくなっタ。というよりも、痛みがわからなくなッタ。
イヨイヨダネ。
涙で滲んだ通称ふくろうハウスの狭い部屋に。パパとママの顔に。
サヨナラ、と言って眼を閉じる。
キットもう、ニンゲンの島江凪に戻れナイ。戻ってもいけナイ。このまま夢も見ないで、眠るダケ。
“おーい、島江さーん ”
頭の中でコダマする、コウイチの声。
それが最後に聞けて、ヨカッタ。




