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File4:飛躍したコメント

もともと入れる予定だった『人間の怖い話』をタグに追加しました。

(凡ミスで入れ忘れてました、すみません!)

 ことの始まりは、22年度の梅雨頃のことだった。



赤竹は 山祇の末座に 連ならんと 野党を見切り 梅雨明けを待つ(字余り)


 まだこのSNSがX(イクス)と名を変える以前のこと。

 私はこたつの中でみかんを頬張りながら、SNSのTweeter(ツウィーター)に、差し迫った参議院選挙のことを書き込んだ。


 私には、毎日1本は俳句か短歌を詠むという日課がある。

 Tweeterを始めてからは、そこに詠んだものを書き込むようになった。


 ふと、昨年の秋に書き込んだ、これと関連する短歌を読み直す。



棚田にて 焚書の火の手 遮られ 落ち葉舞う中 風向き変わる



 両者の俳句は、昨年の衆院選に関する所感を短歌にしたためたものだ。


 あの衆院選では、この短歌が表す棚田議員の当選運動が行われていた。

 その人は、かねてより表現規制への反対を掲げ、実際に表現規制に繋がりかねない法案の改正、あるいは否決につなげてきた人として知られていた。


 そして、今度は棚田さんとも懇意にしている漫画家の赤竹健先生が、漫画家でありながら参院選に出馬することになった。

 ただし、本来なら野党側から出馬する予定だったその人は、あの衆院選で起きた出来事をきっかけに、自憲党から出馬することになった。

 あの衆院選のときに、ある種の野党はこぞってほぼ全てが表現規制を選挙公約に掲げたからだ。


 それに危機感を覚えた……もしくは野党から出馬しても意見が聞き入れられないと思ったのもあってか、先生は野党からの出馬を取りやめた……のだろう。

 まあ、私は先生ご本人ではないから、そのお考えを推測することしかできないのだけれど。


 赤竹先生に寄せられた誹謗中傷への所感を述べると、それへのリプライが来る。


うねうね:

にしても与野党関係なく協力してきた先生に対する礼がこれ?

端的にいって不義理不誠実じゃないですかね?


八米様:

もうオタク票は切り捨てたっぽいですし、本性隠さなくなってきましたね……。


 ファンの方から、リツウィートが送られてくる。


水晶田マサゴ:

政治家は与野党問わず、漫画やゲームは悪影響を齎すっていう考え方の人が多いですからね……。


 その一部に返信を送りながら、私は一人ため息をつく。


……どんどん状況が悪化している……。


 私も物語を書く小説家だ。

 表現規制は、けっして対岸の火事じゃない。明日は我が身だ。


 海外では既に、ポリコレ……ポリティカル・コレクトネスとかDEIとかSDGsとかがいろんな業界を侵食していて、作品内容が彼らに配慮したものに書き換えられたり、それらの思想にそぐわない作品が排斥されたり、そのような風潮に異を唱える作家が誹謗中傷にさらされている。

 先に紹介した二件のように、日課の俳句にもそういった出来事への所感を述べるものが多くなってしまった。


「そろそろチェックしようかな」


 私は気持ちを切り替えて、以前アップしたOneTubeの動画をチェックする。

 OneTubeのマイページには【水晶田マサゴ】というチャンネル名とトップページが、その下には今までアップしてきた動画が並ぶ。


 動画のタイトルは『【小説講座】そのキャラ、お人形になってませんか?【水晶田マサゴ】』となっている。

 タイトルがふざけているようにしか見えないが、私が趣味でアップしている小説の書き方講座……というより創作論の動画だ。


『私が現在連載中の【イシトリゲエム】を執筆し始めたのは、高校生の頃でした。

その頃の私は、かの『コドクゲーム』を読んで、命をかけたデスゲームに夢中になってしまいました。

とはいえ、私の場合はコドクゲームとは違って、クラスメイトとの殺し合いなんて考えたくもなかったので、見ず知らずの人々がクローズドサークルに集められて殺し合いをさせられる……という方向に変化しました』


 動画の中では、私のアバターである黒髪の爆乳巫女が、身振り手振り(?)を加えながら、お猪口を片手に雑談を続けている。


『大事なのは、そのキャラクターの行動に説得力を持たせることだと思います。

例えば、私が発表した【イシトリゲエム】を例えに出してみましょう。

主人公の春秋は、突然デスゲームの参加者に抜擢されて…………。

……以上の動機から、春秋には【できるだけこのゲームの参加者を救う】など、発現した能力を人助けに使うという目標ができますね。

他にも春秋はイツキと出会ってから……』


 動画の趣旨としては、キャラクター作りをする家庭で、そのキャラがお人形のようになっていないかとか、属性や記号だけじゃなくて、キャラクターの内面……というより心の動きについても考えて動かさないとダメだ、それを忘れるとご都合主義になってしまう……という内容となっている。


『そういう心の動きを蔑ろにしていると、属性や記号に沿った行動しか取れない、中身のないキャラクターになってしまいますね。

私はこのような現象を【NPC現象】と読んでいます』


 この造語は、簡単に言えばそのキャラクターがゲームのNPCのように、心を持たない作り物と化している現象を指す言葉だ。

 そこから話を発展させて、実生活でも相手が人間だということを、ネット上でも忘れないようにしようという提言を行った。

 本来、言葉を仕事にする小説家が変な造語を作るべきではないのだけれど、この『NPC理論』は私の矜持の一つとなっている。


メイドハンター:

動画うpお疲れ様です!

マサゴ先生のデスゲームは残酷なだけじゃなくて、尊い恋愛要素と思いやりの大切さが随所に盛り込まれてて素敵ですね☆

イシトリゲエムも春秋とイツキが尊いです……!

これからも無理のない範囲で先生の続編楽しみにしてます!


マサゴ:

いつも感想ありがとうございます☆

私のデスゲーム小説なんかを尊いと言っていただけて光栄です!

まあ自分みたいな恋愛と縁のない女が何言ってるんだって話ではありますけどね^^;


 前からコメントをくださっているユーザーの温かいコメントに、心を込めて返信を送る。


空野カケラ:

この人誰だっけ?と思ったらあのイシトリゲエムの作者か!

どおりで心理描写の話じゃ説得力があるわけだ。

そういえば、今回の話で言っていた『NPC現象』っていうのは『哲学的ゾンビ』という用語を想起させますよね?

もしご存知でしたらすみません。


 私はこの『哲学的ゾンビ』という聞きなれない言葉をスマホで調べてみて、確かにこの動画で言いたかったことと合致する内容だと思った。


マサゴ:

コメントありがとうございます。

さっそく哲学的ゾンビという言葉についても調べてきました。

このような用語もあるんですね。知らずに変な用語を作っていた自分が恥ずかしいです……。


 早速、このコメントにも返信を送った。

 続いて、他の方のコメントも目を通す。


RTL96312874:

てかツイフェミとネトウヨって他人が全部NPCにしか見えてないじゃん BL本って〇〇攻め、〇〇受けみたいな記号だけのキャラで溢れかえってるし、何でも攻め(オス)受け(メス)に分けたがるのももモノ(NPC)と生き物(人間)の区別がついてない証なんだし そもそも日本人全体が自分以外は全部NPCって感覚だから、戦前戦中からして女によるリンチが横行してたわけだし 特高、憲兵、国防婦人会、矯正会、日本議会、総会学部、統合協会、全部右翼の系譜だろ だからなろう系が流行る


 何を言ってるんだろう、この人……?

 右翼となろう系が嫌いなのはわかるけれど、ツイフェミとのつながりはないと思う。


マサゴ:

感想ありがとうございます。

NPC理論はあくまで創作論ですが、その感覚のままSNSを使っている人が人を傷つける発言をするのかもしれませんね。

腐女子=ツイフェミという結びつけは……要検証といったところですね。


 そのときは、あくまで「こういう考え方の人もいるよね」というスタンスで、当たり障りのない返信をした。


 しかし、私はその当たり障りのない対応が間違いだったと、後の二年以上に渡って思い知ることになる。



次にその人のコメントが書き込まれたのは『【雑談】厨二病の妄想あるある選手権【水晶田マサゴ】』という動画だ。


『デスゲームや異能バトル以外にも、学校がテロリストに占拠されたり、ゾンビが突如町中を暴れ回ったり……。

ただ、どのジャンルも当時の読者の心に響くものがあったからこそ、今も皆さんの心に残っているのではないでしょうか?

例えば…………』


 この動画で解説しているのは、厨二病のような若気の至りからくる妄想を片っ端から挙げた後に、そういう妄想が歴代の名作を創る原動力になったんだよ……というものだ。

 ま、私自身も十代の頃は筋金入りの厨二病だったんだけど。


ルージュ・ランページ:

ぐおおおおおおおおおやめてくれええええええええええ!!

そのネタは俺に効く


邪気眼をなめるなよ:

マサゴさんの話を聞いてるだけで共感世羞恥で背中がムズムズしてきますね…

あ、アカウント名からもわかる通り妖白直撃世代です


シロカブト:

やっぱりバレット・パニックやさす兄にもあった学校にテロリストに一票!


アントニーのアニメ考察チャンネル:

私も考察動画を上げるようになったのは、突撃の巨神に出会ったからですね。

そもそも突撃にハマったのも、当時の自分が厨二病だったからだと思います。

突撃の考察ネタを探すうちに元ネタなどの知見が広まったので、突撃に出会えてよかったと思います。


 様々なコメントを読みながら、ほっこりした気分を味わう。

 ただ、その中に気になるコメントがあった。


関西独立:

ま、日本は大日本帝国の頃からガキを戦場に送って使い潰すコンテンツの老舗やしな

ガキどもが官憲のモンをぎょうさん殺すラノベが見たいんやけどラノベ作家はお国には逆らえへんヘタレばっかしやからなあ


 この人物のコメントには、眉を顰めざるをえなかった。

 一度注意した方がいいかと考えていると、先にこの人に返信しているコメントがあった。


RTL96312874:

どうやらこのお方はアニメを有害なコンテンツ呼ばわりする傾向があるようだが、20世紀で価値観が止まっているなら仕方ない 21世紀に価値観をアップデートして言動を改めていただきたいものだ


 この人の返信があったので、私はこの一連の返信欄にコメントを返した。


マサゴ:

子供が戦うストーリーは、主な読者層となる児童や十代の読者が共感できるようにするために必要な演出だと思います。

間違っても戦時中の学徒動員を肯定するものではないかと。


 ただ、その時の私は、この人が以前の妙なコメントを残していった人だと気づいていなかった。



 続いて『【小説講座】読者の欲望=需要に応える物語の作り方【水晶田マサゴ】』という動画のコメント欄で、またその人を見かけることになった。


『……と、このようにどの作品も、当時の時代背景を踏まえて考えると、どれも当時を生きる人々の共感を誘う要素が必ずあったということですね。

温故知新ともいいますが、時代によって価値観は変遷するということは忘れてはいけないと思います』


 この動画の内容は、端的に言えば「名作はどんなジャンルのものも、それに触れる読者のニーズに応える物語になっていて、だからこそたくさんの人達に愛される名作となった」というものだ。

 例えば有名な『ソードファイト・オンライン』がWeb上に掲載され、そこから商業化を果たし、更にアニメ化していった経緯に触れながら、それぞれの時代に起きたことについて触れる。

 そこから更に、当時の社会はエンタメ、政治、その他諸々でどのような出来事があって、それがどのような影響を与えて人気につながったのかを、自分なりに分析した見解を述べてみた。


『当時の流行とその心理を学ぶことは、歴史の勉強にも似ています。

大学で、教授が歴史の講義で一番最初に教えてくれたことは「過去の歴史を現代の価値観で断罪しない」ということでした。

教授曰く、当時の価値観を理解せずに愚かと断じてしまうと、なぜそうなったのかが検証できない。そういう人は、過去の人々と同じ過ちを繰り返すからだ……って。

……昨今、やれこの作品は女性が料理をしているから男尊女卑的だとか、あるキャラが一夫多妻の家庭だから女をモノ化しているとか、十代の女性が出産したからロリコンだとかと言いがかりをつける集団もいますが、時代によって価値観は異なることを理解する必要がありますね』


 その話の中に、表現規制への皮肉をチクリと込める。

 この動画のコメント欄をチェックしていると、例の人がいた。


RTL96312874:

 これで日本人が議論ができないってことが発覚したな

 お気持ち(私情)と法律(秩序)の違いもわかってないから手当たり次第に目についたものを排斥しろって主張して拒否されたら被害者面する

—(中略)— 名探偵カナンとアニメ昔話を視聴してたらわかるけど、議論していって実情が掴めたらそれに合わせて裁判するのが法治国家で、法を無視して死刑にしたりリンチにかけたりするのが人知国家なんだよ 例えば飢餓に耐えかねて死体を食って生き延びたのが人権で、それをカニバリズムなんて野蛮だ!って誹謗中傷するのがお気持ち

—(中略)— だいたい昔からカッとなったら人斬って腹切ってきた奴らが人権なんて肌身で感じられるわけないんだからさ


 この人、一体何についての話をしているんだろう?


 というより、この前の日本人全体がNPC理論に当てはまるという話もさることながら、あまつさえ人斬って腹切って〜という日本人全体への罵倒はいかがなものだろうか。


マサゴ:

感想ありがとうございます。

死体を食べて生き延びた話は、グレースケールに出てきアマナのクラスメイトの話につながるかもしれませんが、特にこの動画とは関係ないですね。


 その後、特にその人から返信が来ることはなかった。


 ただ、自分の動画以外でもこの人に出くわす機会ができた。

 それは、Yapooニュースでロシアと中国が主導する、表現規制にまつわる国際条約の記事が載っていて、そのコメント欄に目を通していたときのことだった。


RTL96312874:

工藤夢子に擦り寄っていたときからそうだったけど、【検閲済】って統合協会と同じ真性のカルトだしバリバリの超保守だよな。最近になってツイフェミに擦り寄って本性現したし、戦前回帰の自憲党も共産党(超保守)もロシア(ソ連の系譜)も中国(超保守)もどっちもどっち


 それからしばらく経って、新聞社の公式アカウントで、あのアニメスタジオ放火事件の犯人が裁判にかけられることが決まったというニュース記事……のお知らせを読んでいた。

 それへのリプの中に、またあの人がいた。


RTL96312874:

赤馬伸二もなろう系も同じだろ、作者も読者も自己愛 ミクロで見ると魅力的に見えるけどマクロで見ると不気味に見える


 ただ、このときはあの放火事件を調べることの方が優先だったので、この人のことはスルーしていた。


 次は、私の代表作『イシトリゲエム』がNetBritzのドラマになったというYapooニュースの記事を、エゴサの一環で見ていたときだ。

 この頃、私は過去にアニメにもなっていたイシトリゲエムが再ブレイクしたことでかなり浮かれていた。


木霊(右手):

これ、作者が女だからかデスゲームの中じゃ生ぬるくってつまんないんだよな。ゲームの部分もタイジやデスロワと違ってスカスカだし


RTL96312874:

言われてみると、全てがそうとは言わないけど女性向けの作品って複雑なストーリーが作られないんだよな 少女漫画なんて90年代のやりすぎの反動でコンプラまみれでつまらなくなってるし

そもそも複雑な背景を理解できない読者が多いから、恋愛やスカッと系しか需要ないじゃん それと同じで複雑なストーリーを理解できない理解力の属性がなろう系に逃げてるのは事実だし、保守もアニメやゲームのメッセージ性を理解できずに排除に乗り出してくる


 別に、私も何年も小説家として活動してきた身だ。

 批評にさらされるのなんて慣れているし、その中には根拠もない、私の原作はおろか映像化作品すら見たことないとわかるものも多かった。


 でも、後者のRTL……なんとかさんはどうだろう。

 当然ながら、私の同業者にはここで言うなろう系……というか実際に『小説家になろう』から書籍化を果たした人もいる。

 それを理解力がない人が読む作品呼ばわりしたり、あまつさえ平アニ放火事件の犯人と同列に置くなど言語道断だ。

 私への言及ならまだよかったが、他の作品を巻き込まないでほしい。


 試しにこの人のツウィートで『なろう系』という単語が含まれているものがないか検索してみると、結構な数のネガティブな言及があった。

 ここに紹介したのはほんの一例だけれど、正直見ていて嫌な気分になる。


 とはいっても、だ。

 この社会には表現の自由、言論の自由、なにより内心の自由というものがある。

 女絵師向けが嫌いとか、なろうが嫌いとか、そういう所感を述べるだけなら何の法にも抵触していない。


 ただ、そうやって見過ごしてきたせいか、その人格攻撃の矛先は私にも向くことになる。


 そのリプを見たのは、ツイフェミ……というよりそういう連中に媚び売るフェミ騎士の中でも有名なアカウントが、埋葬のフローレンに難癖をつけているツウィートに寄せられていたリプだった。

 もしかしたらナナシくんとステラさんも知ってるかもしれないけれど、フローレンに登場する魔物が話が通じない連中、絶滅させなければいけない相手として描写されていることが、平和思想と合わない……というものだった。


 さっきも言った通り、この手の明日は我が身な作品燃やしの話題はついつい覗きに行ってしまうし、私からも苦言を呈することが何度かあった。

 ただ、そのときはもう一つ目について離れないものがあった。


RTL96312874:

特撮を履修してたらわかると思うけど、(魔物みたいに)人の良心に漬け込む言葉を(意味わかってないのに)叫んで隙を見せたところを殺しに来るなんて人間同士でもあるんだよ 未就学児も理解できることが理解できないのは、ツイフェミとネトウヨが幼少期から娯楽アニメとゲームに触れてこなかったからだ 子供の頃からアニメやゲームをさせて矯正しないといけない

それはそうとして、デスゲームものってエグい描写満載でとても地上波で流しちゃいけない内容だよな コドクゲームは徴兵みたいに一般人を集めて殺戮ゲームしてるし イシトリゲエムなんて賞金と不老不死に釣られて極右政権に媚びてるクズが選手だろ


 何をどうしたら、イシトリゲエムが一攫千金ものだったり、極右政権に媚びる話になるのだろう?

 そもそもイシトリゲエムは、不老不死の仙人達が権力者になった社会で、参加者は大金や同じ不老不死の仙人になれるなどの報酬目当てのものがほとんど……という点は合っている。

 しかし、主人公の春秋はふとしたことから、権力者の仙人と同様の力を手に入れてしまい、それを隠しながらできるだけ他の参加者を助けようとする、いわば、思いやりや命を尊ぶ心がテーマの作品だ。


 まあ、冷静に文脈を読んでみれば、あくまであのフェミ騎士に対する売り言葉に買い言葉のようなものだとは思うけれど。


 そして、この人の言及は、ついに私自身にまで及ぶことになる。


 それは、新しい動画『【表現規制】なんでこんな表現がアウトになるの?【水晶田マサゴ】』のコメント欄をチェックしていたときだった。


「……というように、過去の表現規制の話題を見てみると『え? こんなことで規制するの?』と言いたくなるものも多いですよね?

悪書追放運動で、校庭の真ん中で集めてきた漫画本を燃やしたり、その理由というのがキスシーンがあっただとか、パンチしているとか……。

でも、そういう頭が固い大人による表現規制を乗り越えていった末に、現在我々は表現の自由を謳歌できているといえるのかもしれませんね」


この動画をアップしたというツウィートに対して、このようなリプがあった。


取り憑くもの:

あ〜アレだわ。フェミの裏にはぜってー【検閲済】とか【検閲済】みたいなカルトいるわ。

だってあいつらの異常性欲と倒錯した発散し方からして、ぜってーなんか異常な教義に基づいてんだろ。

でないとどいつもこいつも金太郎飴みたいに同じ行動しないだろ。自転車にせ◯しぶっかけとか


仕事用:

日本議会は?


 この脈絡のないレッテルにも、あの人のリプがついていた。


RTL96312874:

ネトウヨも元の動画の人もそうだけど、保守の表現規制推進派の側は批判できないんだよ 与党側は日本議会だからね


 これ、明らかに私を日本議会認定してるよね?


 根拠なく特定の政党や、それ関連の利権団体呼ばわりするなんて、ちょっと洒落になってない。


 それからしばらくして、またその人のツウィートを見かけた。


RTL96312874:

やっぱりツイフェミとネトウヨとQアモンって化け物だわ

—(中略)— ツイフェミみたいに自分以外はNPCにしか見えてないのがのさばってるのが、日本人がツイフェミとネトウヨとQアモンみたいに人権が理解できないって証拠なんだよ

—(中略)— だいたいフェミが【検閲済】みたいな性犯罪者に乗せられるチョロい頭なのもそうだけど、ネトウヨとQアモンが矢部やスペードを支持するのって肉屋を支持する豚だろ だからネトウヨビジウヨ、ツイフェミビジフェミとヘイトスピーチが金集めの手段になる

—(中略)— もともと懲戒請求と国会議事堂襲撃で詰んでるんだからさ


 この人、完全にフェミの話題から離れて右翼がどうのって話しかしてないよね……?

 私は別に右翼側じゃないけれど、この人の主張はなんかズレている感じがする。


 不発も同然だったけれど、私もツイフェミに「あの作品は有害だ」と難癖をつけられた側だ。

 それがどうして、事実に反する内容で表現規制推進派ということになる?


 ただ、 この人の発言が、全て間違っているわけではないので反論しづらい。

 主題となる部分は、なまじ表現規制に反対する内容なのも理由だ。



 こうして段々、私の日常はこのコメ主に侵食されていくこととなる。

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