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【21話】メイリアの怒り


 メイリアに対し、フレイは敵意むき出し。

 今すぐにでも飛びかかっていきそうな雰囲気になっている。

 

「……は? あなた今、なんて言ったの?」


 メイリアの片方の眉が、ピクリと上がる。

 声色にはたっぷりの苛立ちが含まれていた。

 

(まずい……どうしよう)


 フレイは今ので、完全にメイリアに目を付けられてしまった。

 エレナを守ろうとしてくれての行動は嬉しいが、状況は良くない。


 メイリアはプライドの塊でできているような人間だ。

 自分を悪く言うような人間を、絶対に許しはしない。

 

 たとえそれが、子どもであってもだ。

 

「お姉ちゃん。初めて会った人にそんなことを言うのは失礼だよ」

「私は本当のことを言っただけよ。それともアクアは、エレナがこの女に負けてるっていうの?」

「それはないよ!!」


 迷いのない強い言葉がホール内に響き渡る。

 

「エレナ様は世界一かっこよくて美人でかわいいもん! ()()()()になんか負けてないよ!!」


 フレイを止めようとしてくれていたはずのアクアは、いつの間にかフレイに加勢していた。

 

 ()()()()呼ばわりされたメイリアは、怒りのボルテージが上昇。

 怒りの炎がメラメラと燃え滾る。

 

 アクアの行動は、火に油を注ぐ形となってしまった。

 

「両方とも美しいが、どちらかと言えば……そうだな。子どもたちの言う通りだ」

「確かに」

「あっちの子の方が品があるよな」


 さらにはこちらを見ている周囲の貴族たちが、ひそひそ声で勝敗を付け始めた。

 全会一致で、フレイとアクアに賛同している。

 

 貴族たちの声が、メイリアの怒りをさらに増長させてしまう。

 

 彼女の顔は真っ赤だ。

 もう限界と言わんばかりに、いまにも爆発しそうになっている。

 

 フレイとアクアのことを、絶対に許しはしないだろう。


「ほらね! みんなもそう思ってるのよ! ざまぁみなさい!」


 両手を腰にあてたフレイは、誇らしげに胸を張った。

 勝ち誇った笑みを浮かべている。


「……許さない!!」


 青色の瞳をギラつかせたメイリアは、エレナの横を通り抜けた。

 大きな足音を立てながら、フレイへ近づいていく。

 

 メイリアは右手を振り上げている。

 

(フレイに手を出すつもり!? そんなことは絶対にさせないわ!!)


 急いで足を動かしたエレナ。

 フレイをかばうようにして、前へ立った。


「どきなさいよエレナ! 躾のなっていない生意気な子どもを教育してやるんだから!」

「させないわ! 大事な娘たちには手を出させない! 私が守る!!」

「いい度胸してるじゃないの! 邪魔するっていうなら、まずあんたから躾けてやるわよ! 覚悟しなさい!」


 エレナの頬に向けて、メイリアが手を振るってきた。

 

「……っ!」

 

 目をつぶったエレナは、すぐに襲いくるであろう痛みに備える。

 

 でも、痛みは走らなかった。

 おそるおそる目を開けてみれば、なんと、エレナ頬のすぐ手前でメイリアの手が止まっていた。

 

 横から伸びてきた腕にがっちりと掴まれて、動きを封じられている。

 

「俺の妻になにをしている?」


 メイリアの手を掴んでいるのは、エレナの夫――ジオルトだった。

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