攫う
ラジオから出てきた蝶々に心奪われ
鼻と口に挟んだペンを落とした
あの頃はその蝶々のようにふわりと
夢の中を飛べる気がしていた
回る螺旋の重力に落ちてゆくまでは、、
心を解き放ってくれる飛翔は一瞬の小さな花束、
強いのだ、重力はとても強い
どんな希望もないのなら
目の前に落ちた運命の石を握る
あなたのうたとわたしのうたよ
蝶々となれたらよかったね
無口な飛翔ではいけないと意味がないとラジオが
戦力を謳う
あまりに悲しげに泣きそうになるのはどうして、
翼が欲しいと浜辺の空を見上げる
ならば歌よ鳶のように浮かんでおくれ空に
あの鳶はあの脚力や嘴で
私に石を落としたりしない
きっと巣を守る以外は、、
頭上から頭を突っついたりもしないのだ
ヒュールルル、、とせめてそんな歌になりたいよ
重力に砕けるだけなら、せめてと
ただお腹を空かし、いきるために、、
あなたの食べかけたその残り少しのお菓子を、、
どら焼き(あなたの歌)、、を、バウムクーヘン(あなたの歌)、、を
わたしは掻っ攫う(かっさらう)だろう
その生きるのに必要な食べものだけを
狙うだろうだろう
あなたは驚くだろう
だけど 翼があなたの頬を通る速さで
触れるだけだ、
傷付けない速さで通り過ぎるだけだ
一直線に、、急降下をし、
生きるためだけのものを、再び浮上する為に
掻っ攫うだろう、狙うだろう、
だけれども、翼があなたの頬を通る速さで
触れるだけだ、
風が通るだけ、、だ
重力を味方につける時は
せめてそんな歌でありたいと
ただ月に祈る
ただ星に願う