2BALL 流布と黒沼
太陽か…
「ぜはははは、グラウンドはおれ達サッカー部の物だ‼」
サッカー部主将の黒沼爽人はグラウンドを私物化する。
「ふざけんな、グラウンドはおれ達野球部の物だろうが‼」
「ぜはは、部員も集まってねえ野球部にグラウンドを使う資格はねえ‼」
「サッカー部だって部員集まってねえだろ‼」
「野球部よりは多い‼」
「野球は9人だがサッカーは11人だろ‼」
流布が言いたいのは、元々の必要な人数が違うだろ、ということだ。そう、試合も想定するなら18人と22人だ。必要な補欠人数もまた比例的に変わってくる。
「ブルーロックに勝てるのか⁉」
「ワンナウツで相殺するよ‼」
「ワンナウツ如きでブルーロックに勝てる訳ねえだろ‼」
「じゃああだち充で」
「それはオーバーキルすぎるだろ‼」
「じゃあ水島新司で」
「オーバーキルをさらに上乗せるな‼」
「コージィさんも」
「駄目押しするな‼」
黒沼は吐血する。いや、いきなり物騒な一文だが、それくらいのダメージは受けていた。
「ああ。そっか。どっちも足りないなら」
「え、おい」
「野球部とサッカー部を」
「合体?」
こうして野ッカー部は爆誕した。
「手ェ組もう。同盟だ」
「野球部とサッカー部で同盟だと⁉」
「ああ。そしたらグラウンド使い分ける必要もないし、足りない部員を補充することも出来る」
「まあ考え方としちゃあ悪くない。てか良いな。面白いな、それ」
黒沼は相槌を打つ。そう、それで良いのだ。恐らくそれがこの場に於ける最適解なのだ。これで野球部がサッカー部員を使うことも、サッカー部が野球部員を使うことも可能となり、取れる行動の幅がぐうんと広がった。
「ところで黒沼、お前ネトフリに入ってるか?」
「ああ」
「実写版ワンピース見せてくれよ!」
「じゃあお前も単行本貸してくれよ」
「ああ!」
こういう協力者がいることはお互いに強いだろう。野球とサッカー、太陽と闇が手を取りひとつなぎになる。案外本家のオチもこんな感じになるのかもしれない。未来だけを信じているのだ。誰かが笑っても構わない。走っている情熱が、彼らを煌めかせるのだから。
闇か…