人徳
すっかり変わった生活になって、石の上にも3年以上の年月が過ぎていった。遅咲きの桜がやっと満開になってきた最近は晴れたり雨がふったりどんよりしたり明るくなったりと忙しいお天気メドレーだった。先月末に前年度の仕事が無事に完歩した。とはいえ、新年度からはじまったばかりの新しいライフスタイルが自分を新境地へ導いている。
金曜日の小さな休みを過ごしたあとは、新年度の準備とあわせて取りかかることになる。未定でも白紙でもない人生は、きっとありがたいと言わねばならぬものなのだろう。むしろ、これまでやりたいと思いながらもスタートのタイミングを敢えて先送りしてきたいくつかの温め続けているアイデアを、いよいよ効率よく今の暮らし方にあうように最新バージョンに仕上げながらこなしていくことになる。そうせねば何回生まれ変わっても足りぬほどの膨大なネタの数である。なかにはアレとコレとソレとを組み合わせて、よりよいカタチに作り上げる方がよいものもある。そうすれば、膨大な量ではなくなり、現世に生きている間に納得できて、満足する結果にまとまる個数になる、と確信している。人間生きていれば、毎日変化して思考も移ろう。成長の一種であろうと思われる。
ここ最近の至福飯は「チーズをのっけた〇〇」である。焦げ付きから守ってくれる1枚のチーズにかなり助けられているうえに、美味しさマシマシ天国になるため、常備するようになった。もはや、チーズを見ない日はないというレベルにまできている。とろーんふにゃーんとしたチーズがオーブントースターであっためたバターロールの背中にのっかって、カフェオレがあれば、もう何の贅沢も望むまい、と一瞬にして心を奪われる。
お人好しと心配され、自分のなかで未だにお人好しだろうかと疑問と不安と誰にも言えぬ複雑な本音を抱きながら、何度も予想外の寄り道を強いられては、遠回りし続けることになった旅路。
ようやく、自分らしく歩いて行けそうな道が見えてきたのかもしれないと思い始めたのは、ついさっき、ペットボトルの麦茶を飲み終わったときだった。
チーズをのっけた、アツアツの冷凍コロッケにソースをかけて、いただきます。