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70 因果応報1

ざまぁ回なので、苦手な方はエピローグまで飛ばしてください。

 大波乱の結婚式から一月後、正式に婚約した番を無理やり隣国の王子から強奪したばかりでなく、監禁、暴行まで加えたことで他国の非難を浴びたアデルセンは廃嫡された。


 リーンハルトが獣に変身したことや、式の最中にトスカーナ王国軍が国境で大規模な軍事訓練(実際は勝手に単身他国へ乗り込んでしまったリーンハルトを心配したギースが、軍を連れて迎えにきただけだが)を行ったことで、戦争の不安を覚えた国境沿いのローゼリアの貴族達が一様にアデルセンを糾弾した影響も大きい。

 王子廃嫡の先頭に立ったのは、アデルセンの正妃になるはずだった令嬢の父親である侯爵だった。娘を廃人にした暴漢がアデルセンの差し金だと知った侯爵は、過去にアデルセンに捨てられた令嬢達の家を味方につけ王子の廃嫡を国王に認めさせた。


 ローゼリア王国は大国であるが、同じく大国であるトスカーナ王国と戦争を始めればただでは済まないことは解りきっている。

 それに非があるのは明らかにアデルセンのため、早々に切り捨てたともいえよう。


 廃嫡と同時に生涯軟禁が決まったアデルセンは、皮肉にもキャロラインを閉じ込めていた塔へ自らが幽閉され、監視には令嬢達の縁者が周り番で当たることとなった。

 キャロラインに拒絶され、式の最後に発狂したかに見えたアデルセンだったが、自らがしてきたことの報いを受け本当に発狂するのはこの後のことである。



 一方、王女の婚約と結婚をダブルブッキングさせたアカシア王国は、弱小国のくせにと他国から痛烈な非難を浴びた。

 アリアナのキャロラインへの対応からも非常識な国と認知され、アカシア王国との取引は次々に中止が決まり、日に日に国力は弱っていった。


 それでも相変わらず王妃達は己の仕事を改善しようとはしなかった。

 自分達が優秀だと思い込んでいるため、執務が惨憺たる有様でも文官達が必死に走り回っていても、所謂他人事であり気が付かない。


 そんな中、王妃達のあまりにも杜撰な仕事ぶりに、ついに堪忍袋の緒が切れた文官の一人が処罰覚悟で告発する事態となったのである。


 重臣たちが居並ぶ会議中に突如、仕事をしない王族を名指しで告発し始めた文官を騎士達は取り押さえないどころか一緒になって直訴を始めたため、仕方なく言い分を聞くことにした国王は、次々と枚挙される王太子の放蕩ぶりや王妃とアリアナの無能ぶりを、始めのうちは信じられずに怒りを露にしていた。

 だが、キャロラインがいなくなってから問題ばかり山積する現況を、他の文官達も異口同音に糾弾しだしたことで、渋々王妃達に謹慎と再教育を言い渡すことにする。


 これに勢いづいた文官達は、これまでアカシア王族がキャロラインへ対してとっていた態度を公にすることにした。

 それにより、地味とはいえ自分の娘を蔑ろにしていた国王と王妃は、子を持つ親としての人格を疑われ、妹へ公務を押し付けていた王太子は無能な最低王子だと嘲笑された。 


 そしてアリアナだが、ローゼリア王国でキャロラインと対峙した様子が、招待客である各国の重臣たちにしっかりと見られていたのが悪かった。

 それまで天使と賞賛されてきたアリアナの知性の無さと性格の悪さは瞬く間に喧伝され、獣人に対する偏見と暴言も問題視されたのだ。


 引く手あまただった縁談はぱったりとこなくなり、ちやほやしてくる令息達やおべっかを使う令嬢達が自分の周りからいなくなったことにアリアナは激高する。

 今までは嫌なことがあってもキャロラインを虐めることで鬱憤を晴らせていたが、サンドバッグだった姉がいなくなったことで、その矛先は侍女や騎士に向いた。

 やがて人目も憚らず暴力を振るうようになり、たまたまその場面に出くわしてしまった父王は、侍女を折檻しながら嗤うアリアナのあまりに醜悪な形相に愕然とした。


 それでも今まで溺愛していた可愛い末の娘である。

 あの醜い形相は見間違いだという確信が欲しいと考えた国王は、アリアナが真実自分の娘だという証拠があれば、また以前のように愛することができると思った。

 キャロラインが生まれた時は地味な髪と瞳の色に王妃の不貞を疑って徹底的に調べたが、結果不貞の証拠は出なかったため、王女として認めた経緯がある。


 あんな地味な娘が自分の子だというのは不本意だった。

 けれどキャロラインのような子でも自分の子だったのだから、アリアナならば絶対に大丈夫だと言い聞かせ調査をさせた国王だったが、結果が出る前に驚愕の出来事に襲われた。


「なんだ、この内容は? 意味がわからぬ……我が国を愚弄しておるのか?」


 他国の使者を前に、困惑と怒りで手紙を握りつぶした国王に重臣達が青褪める。

 国王がつぶした手紙は、キャロラインの双子の姉王女が嫁いでいった国からのもので、内容は到底信じられないものであったからだ。


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