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第56話婚姻問題~大臣side~

 国王陛下の結婚相手が決まらない。


 絶世の美貌を謳われる側妃の息子だけあって、その容貌は大層美しい。

 

 それなのに「是非、我が娘を」と申し出る家が一つもなかった。

 懇意になりたいという高位貴族は皆無と言っていい。


 パーティー会場で見かける高位貴族の令嬢達はさり気なく陛下を避けてる。


 婚約者のいない令嬢は特に顕著だ。

 両親がしっかりとガードしている。それが無理な場合は体調不良を称して欠席する者もいるくらいだった。


 本来であれば、陛下の周りには貴族が群れをなす筈だ。蜜を求めるように。

 いや、群がっている事は群がっている。

 ただし、それは下位貴族の者ばかりだ。

 肝心の高位貴族が一人もいないとはどういうことだ!?


 どんなに考えても明確な答えが見つからなかった。


 最初は、ブリリアント・シャイン公爵令嬢の事があるからかと思った。


 だが、お二人の婚約は白紙に戻っている。

 裏でどのような取引がされたかは兎も角、表向き円満に婚約を撤回しているのだ。問題などない。

 それに様々な要因で婚約を白紙に戻すケースは少なからずある。その事は貴族なら誰もが解っている事ではないか。


 なのに何故……?


 どうして陛下に花嫁が来ないのか。

 部下に訊ねても首を捻るだけだ。

 他の部署の者達に問いただしても皆が同じ反応をする。


 茶会と言う名目で見合いをセッティングする事もできない。

 肝心の陛下の母君がそれをするだけの器量を持ち合わせていないからだ。


 いっそ、王命を出して無理やり花嫁候補を決める事も考えた。

 他に方法がなかったともいえる。

 早速、議会でどこの家の令嬢を王妃にするか話し合っている間に、候補の令嬢は家族と共に他国に旅立ってしまった。


 それだけではない。


 どこからか噂を嗅ぎつけたのか、花嫁候補に選ばれた家の娘達が次々と辞退を申し出てきた。中には「この結婚は私達に相応しくありませんわ」と言い出した者もいて、議会では侃々轟々と意見が飛び交った。

 領地持ちの貴族は、未婚の娘を領地に戻し始めた。候補ではないが、とある伯爵は「娘が王妃というのもいいかもしれない」と酔っぱらった勢いで言い出し、笑い話になった件もある。

 酔っぱらいの戯言。

 ただの笑い話で終わるはずだった。

 しかし、現実は違った。妻である伯爵夫人は烈火の如く怒り狂い、夫を責めたてると離婚騒動にまで発展した。伯爵は謝罪を繰り返した結果、なんとか離婚話は流れたそうだ。ただ、代償として妻の監視下におかれ、その娘は他国の伯爵家に嫁いでいった。


 流石にここまでくれば嫌でも分かる。


 高位貴族の女性達が国王陛下を嫌っている事に……。


 男性からはそんなに言う程嫌われてはいなかった。それは高位貴族、下位貴族に拘らずだ。

 ただ社交界を牛耳る高位貴族の夫人や令嬢には毛嫌いされていた。


 理由は不明だ。陛下を嫌う理由は何なのか? そして、その原因は何なのか? 調査をしてみたが何も出てこない。

 まるで霧の中に閉じ込められたかの様に。

 結局、花嫁候補探しは困難を極める事になり、議会は紛糾した挙句、陛下の御成婚は数年先延ばしにする事になった。それが今の現状だ。

 今思えば、あの時、陛下の御成婚を早めていればよかったと思う。

 そうすれば、まだ「若気の至り」「青臭い考え」と言われながらも、何とかなったはずだ。

 だが、もう遅い。



 陛下が高位貴族の女性達を敵に回していた事に気付いたのはそれから直ぐの事だった。




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― 新着の感想 ―
[一言] あんな王子の事、男性はそんなに嫌いじゃなかったのか?ひぇえありえない…!! 直接被害がないからそんなんなのかしら。あんな男と肌を合わせるなんてありえないよねぇ…。とんでもないマザコンだし。
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