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第49話新たな王~文官side~

 

 元々、この国の大地は作物を育てるのに適していなかった。

 痩せ細った土地が多く、とてもではないが国民全員を養うだけの食料を確保する事は出来ない。

 ルキウス様の考案された政策が大当たりして国は潤った。

 

 帝国との繋がりも出来て万々歳だった。

 最初は皆、ルキウス様に感謝していた。

 シャイン公爵家のお陰で国は豊かになったと。

 誰もが疑わなかったのだ。

 これから先も国は豊かだと。

 

 この国が豊かになったのは他ならぬシャイン公爵家の力によるものだ。

 それが長く続いたせいだろうか。いつの間にか当たり前になっていたのだ。

 

 外交官や使節団がこの国に多く集まっていた理由を。

 貿易が年々と盛んになっている事に何も感じなかった。


 それらが決して当たり前ではなかった事を。


 全てシャイン公爵家の人脈と人望のお陰だった事に……。


 この国を訪れる外国の使節団がどんどん減っている。その事に陛下は気付いていない。疑問すら抱いていないようだ。

 陛下に報告したところ、「そうか」と一言呟くだけだった。

 まるで興味が無いといった様子だ。

 私以外の者達もその事に気付いている。だが誰もそれを口にする事はなかった。大臣達ですら進言しない。その下にいる私達は黙るしかなかった。

 

 今、我が国は窮地に立たされていると言っても良い状況にある。

 それを理解している者は今のところ極僅かしかいない。

 恐らく陛下は解っていないのだろう。

 いや、理解しようとしていないと言った方が適切かもしれない。

 

 何故なら――

 

 

『余計な口出しをするな』


『偶然が重なっただけだろう』


『そんな事で一々騒ぐ必要は無い!』


 この三点を繰り返し口にするのだ。

 

 大臣達に対しても――


 

『他国との関係は良好ではないか一体何を心配しているのだ?』

 

『我が国の領地が害された訳でもないというのに』

 

 そう言う始末だった。

 これでは何を言っても無駄だ。

 陛下は現状を正しく理解出来てはいない。

 この国が他国から相手にされていない事実を。

 この国と付き合いたいと望む者が居なくなった現実を。

 

 理由は単純明快。

 

 この国に旨味が無くなったからだ。

 つまり、今の状況を作り出したのはユリウス陛下なのだ。

 それなのに、本人はそれに気付かずのうのうとしている。

 こんな馬鹿げた話はない。

 しかも、ユリウス陛下は自分が無能者である事も自覚していなかった。

 何度注意しても態度を改めようとはしなかった。

 挙句の果てには、「貴様は無能者だからそのような愚痴しか言えんのだ! 私なら上手くやれる! 私ならもっと!!」と喚き散らす始末だ。

 

 最近では陛下に意見する者は少なくなった。

 大臣達も我慢の限界なのだろう。

 既に放置されている。

 陛下の事だ。自分が大臣達を放置していると思っている事だろう。

 どんなに注意しようと陛下が耳を傾ける事は無い。




「どうしたものか……」


 私は独りごちりながら溜息を吐く。

 最近では商人達の訪れまで減っている。

 それは当然だろう。

 帝国が名指しで非難してきたのだ。それも明確に。

 そのせいで、今までのような商売が出来なくなってしまった。

 貿易が滞れば当然、物資が不足してくる。

 それが続けば、物価が上昇するのは必然だ。

 このままでは国民の生活に支障が出る。

 それだけは避けねばならないというのに……。



「誰か良い知恵を持ってはいないものか……」

 

 私の嘆きは誰にも届く事なく消えていった。



 



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