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感染症

作者: 奈々志野

人間は誰しも、1つくらいは病気を持っている。


小さな町に、代々医者を生業としている家族が住んでいた。

そこの一人娘は、風邪をひいた事も無く、虫歯も無い。怪我は有るが、瞬く間に治ってしまう。小さな頃、それは何の不思議ではなかった。小・中・高校も口々に「丈夫な子」で済んでいた。

ただ、毎年の誕生日には盛大なパーティーを開いていた。


そして、25歳を超えると、両親を通して医者と結婚をし、丈夫な男の子を1人産んだ。


それから、数十年。毎年の誕生日パーティーは相変わらず行っていた。


彼女の夫が、夫の60歳の誕生日に事故で亡くなった。

交通事故に家族で巻き込まれたが、運転手であった夫だけが無くなり、彼女と息子は傷1つで済み、入院もせず、夫の葬儀を執り行った。

近所の人々は皆、「運が良い」と口々に噂をし、それを聞きつけたマスコミも一時話題に取り上げた。

しかし、世間は「運」だけで済ませてしまい、結局彼女たちの秘密については何の手がかりも得られなかった。


彼女は80歳になった。

相変わらず、誕生日パーティーは開かれていたが、やはり病気も無く、元気に過ごしていた。

息子は医者となって独立し、彼女は一人で暮らしていた。

孫も生まれようとしている。

時々子供や孫の誕生日に、高齢な彼女の元を訪れ、顔を見に来ていた。

近所の人々は口々に「彼女は病気一つせず、幸せな人生を送っていて、羨ましい。」と噂した。

しかし、彼女は100歳になった誕生日に突然亡くなった。

住んでいた町から表彰される予定だった。

朝から、彼女は慌しく家を片付けていた。息子も孫も前日から泊り込んで家の片付けを行っていた。そして、すべての片付けが終わって、突然ぱったりと倒れ、そのまま亡くなった。


葬儀が行われた翌日、人々は「大往生だったね。幸せだったろうね。」と口々に噂した。


何年かして、その息子も、60歳の誕生日に亡くなった。

その息子の子供が、手紙を受け取った。

その息子は医者を継ぐのをやめ、会社員をして、今は結婚相手に、子供が授かっている。


「私たちは、感染症にかかっている。原因は不明だ。この感染症は、自分と結婚相手と子供にしかうつらない。医者となって、原因をいくら調べても分からない。分かっているのは、何時のとは分からないが、誕生日に死亡する事と、病気にならない事。ペニシリンと同じで、その感染症にかかっていれば、他の病気に罹らないらしい。」


その子供も医者となり、毎年家族の誕生日には盛大に祝うようになった。


初めての投稿です。書いてみて初めて短編の難しさを知りました。これから頑張ります。読んで、感想を頂ければ嬉しいです。

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