漫才「答辞」
二人「はいどうもー」
ボケ「いやー、ついにきましたね。この時が。」
ツッコミ「ん?何の話?」
ボケ「何って、卒業式ですよ。」
ツッコミ「あー、たしかにシーズンですねぇ。」
ボケ「ですから、ワタシ書いてきたんですよ。」
ツッコミ「何を?」
ボケ「やだなぁ、答辞に決まってるじゃないですか。」
ツッコミ「お、おぅ。また急だねぇ。っていうか、何の卒業式なの?」
ボケ「まぁ、細かいコトはいいじゃないですか。」
ツッコミ「細かくねぇよ!一番大雑把なところでしょ!」
ボケ「ちょっと何言ってるか分からないですけど、とりあえず読みますね。」
ツッコミ「なんで分かんねぇんだよ!まぁ、いいや。とにかく読みたいんでしょ?じゃあ、読めば。」
ボケ「あ、そんな言い方じゃあ読む気が無くなっちゃいますよ。もっとちゃんと・・・」
ツッコミ「イチイチうるせぇな!はいはい。答辞が聞きたいなぁ。読んで欲しいなぁー。」
ボケ「もぅ、仕方ないなぁ。じゃあ、送辞をお願いします。」
ツッコミ「え?」
ボケ「いや、だから、送辞ですよ。」
ツッコミ「どういうコト?」
ボケ「いや、だからね。答辞っていうのは送辞に対するアンサーですから。」
ツッコミ「そりゃ分かってるよ。え?だってさっき『じゃあ読みますね』って言ってたじゃない。」
ボケ「さっきはさっき、今は今ですよ。え?じゃあ、さっきオシッコしよっかなぁ〜って思ってて、今、あ〜ラーメン食べよっかなぁってなりません?」
ツッコミ「なんねぇよ。」
ボケ「え?あ、そうですか。そっか、そういうもんなんですね。」
ツッコミ「そういうもんだよ。」
ボケ「それじゃあ仕方ないですね。じゃあ読みます。」
ツッコミ「おぅ」
ボケ「送辞」
ツッコミ「答辞だろ!」
ボケ「あ、失礼。答辞。」
ツッコミ「え?それ、本当に書いてあるの?」
ボケ「ありますよ。えー、はじめまして」
ツッコミ「なんでだよ!みんな知ってるよ。卒業すんだから。」
ボケ「いや、分からないじゃないですか。」
ツッコミ「分かんなくねぇよ!」
ボケ「いちいちケチつけるのやめていただけませんか?それじゃ読めないですよ。」
ツッコミ「ケチつかないようなヤツでお願いできますかねぇ!」
ボケ「うるさいなぁ。続きを読みますね。柔らかな日差しが心地よく、春の訪れを感じる季節となりました。本日、このように盛大な卒業式を挙行くださり、ありがとうございます。」
ツッコミ「おぅ」
ボケ「皆さまからいただいた温かいお言葉を胸に、今日、私はコンビを卒業します。」
ツッコミ「え?コンビ卒業?え?解散するの?」
ボケ「思い起こせば3年前の春、私は真新しい制服に身を包み、不安と期待に胸を膨らませていました。」
ツッコミ「え?制服?なにこれ?しかもコンビ組んだの5年前だよ。」
ボケ「これまでとは違う環境での毎日に、戸惑うことも多くありました。」
ツッコミ「え?どういうこと?今、戸惑ってるよ。オレ。」
ボケ「野外学習ではカレーを作ったり、文化祭ではカフェにチャレンジしました。」
ツッコミ「え?野外学習?文化祭?やってないよ?そんなの。」
ボケ「どれも初めての挑戦でしたが、この活動を通してコンビが一致団結するのを感じました。」
ツッコミ「いや、団結どころか今や大パニックよ。」
ボケ「また、体育祭では大きな横断幕を作る活動を通して、コンビの絆がさらに深まりました。」
ツッコミ「作ってないし、絆っていうか、傷が深まっているし。」
ボケ「この3年間、毎日がとても充実していました。そして、このコンビで得られた思い出は、私にとってかけがえのない宝物です。」
ツッコミ「思い出が何ひとつ合ってねぇんだけど。え?なにこれ?オレ、時空の歪みにでも迷い込んじゃった?」
ボケ「まだこのままでいたいのが正直な気持ちですが、私は前に進んでいかなければなりません。これからは新たな夢に向かって日々努力していきます。」
ツッコミ「ドコ行っちゃうの?」
ボケ「最後に、このコンビがこれからも素晴らしい歴史を刻んでいかれますことをお祈りし、答辞の言葉とさせていただきます。」
ツッコミ「え?なにこれ?オレら解散するの?」
ボケ「え?しないですよ。」
ツッコミ「じゃあこの答辞はなに?」
ボケ「コレはボクがバイト辞めるコンビニへの答辞ですよ。」
ツッコミ「え?だってコンビって言ってたじゃん。」
ボケ「あ、ウチ、みんなコンビニのことコンビって呼んでるんですよ。」
ツッコミ「紛らわしいな!あー、びっくりした。じゃあ、体育祭とかはなによ?」
ボケ「ウチのコンビニ、すぐそばに高校があるんで、イベント毎にセールやるんです。」
ツッコミ「そういうコトかよ。驚かせるなよ。」
ボケ「勝手に驚いたのはそっちの方じゃないですか。まったく。じゃ、我々コンビの答辞も読みますね。」
ツッコミ「結局解散すんじゃねーか。もういいよ。」
二人「どうもありがとうございましたー。」