表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

STEP1 「未練たらたら」


持病により、3か月ごとに通院していた僕は、大学受験が終わったのを境に入院することになった。病名を明らかにするためだそうだ。


正直、どうでもよかった。


僕にはこの病気よりももっと深刻な病を持っているからね。

症状として、急な締め付け、精神状態の混乱、焦燥感。この病気は4か月前から発症している。4か月前といえば、約1年間交際していた彼女と別れた頃………そう、この病名は「未練」というやつだ。


入院当日、手続きを終わらせた僕は、ナースステーションを通り過ぎ自分の部屋へ向かう途中、あの病室特有の独特な匂いが漂ってきた。僕はこの匂い嫌いじゃないけど、、、わかる人にはわかるだろう?


病室を見渡すと、潤いに満ちた美顔と長い黒髪を躍らせる美少女がいた………わけではなく、ミイラのような顔をした老婆や大声をあげる患者さんがいた。僕は慣れていたから何の抵抗もなく自分の部屋に着いて洋服やタオルをしまっていた。


「今日の予定は、採血をとった後、エコーとレントゲンを撮っていただきます。」


30代半ばの看護師さんが伝えに来てくれた。


「わかりました。ありがとうございます。」


「明日から、点滴とカテーテル、そのあとオペに移ります。ゆっくり休んでね!」


「か、カテーテルですか…。わかりました。」


その夜僕は、自分の息子に日頃の感謝と別れを告げた。







(…眩しい)


朝6時の起床は意外とつらい。

1月の朝の空はまだ暗くて映えるような空や雲が見つからない。


「こんなに早く起こされても暇が増えるだけだよなぁ?」


「そうですねぇ、空も面白くないですし。」


同じ病室の患者さんと軽い会話をしながら、採血の心の準備をしていた。そういえば、僕は注射が嫌いだ。高校3年生になった今も注射の話になると、顔が引きつってしまう。


(カタッ……)


(ビクッ…)


ほんのちょっとした音に敏感になりすぎて、廊下を通る看護師さんの足音や、少し離れたお風呂場を掃除している音、どこかの病室で患者さんの唸り声まで聞こえてくる。


(ガラガラガラ……)


(キタキタキタキタキタキタ!!!!!)


看護師さんがいつもバイタルチェックの時に持ってきている物の音がした瞬間に血圧上昇、心拍数上昇。あと息子の気分も上昇。


(あぁ、頑張ろう…。)


無事採血が終了し、エコーとレントゲンをとりに8階から1階へ降りた。1階には、待合室があり、受

診にきた患者さんがたくさんいた。

いつも見かけるような雰囲気で、どんよりとした空気と暗い雰囲気が漂い、かわいそうにピアノが置いてあるだけだった。

僕は小さいころからピアノを弾くのが好きで、たまに学校の楽器準備室にある埃だらけのピアノを弾いてたりする。しかしここは病院、そして僕は病人。時と立場をわきまえろ………。

僕はすぐにそこを立ち去った


夕方、明日のオペのために大部屋から小部屋に移ることになり、夕食を食べ終え、今日のすべてを終え、昔からの幼馴染の友達に電話をしていた。


「別れてもお見舞い行ってあげるって言ってたのにー!」


「4か月前だろ?覚えてるわけないだろ。」


「もう忘れられてるのかな。」


「当たり前だろ、お前も早く忘れて新しい相手でも見つけろよ」


「そんな簡単に忘れられるほど容量ないわ。」


元カノの未練をダラダラといつものように話していた。

無理やり好きな人作って忘れたり、いっそのこと思い出を全部すてたりしようと考えたけど、振られたときに「今はもう好きになれない」って言われた言葉が刺さって、好きな人なんて頑張っても作れないし、思い出捨てるのだって物に罪はないし………。

そんなことを考え、4か月間抱えている。


(「今は」ってどういう意味なんだろうな。)


「そういえば、今日きれいな女の子を見かけたんだよ。」


「へぇ、お前にしては珍しいじゃん。どんな子?」


「髪がちょうどいい長さで………」


気が付くと、次の日を迎えていた。毎朝恒例のバイタルチェックは気分転換の一種だ。


「今日は、10時から点滴で11時にカテーテルそして12時にオペ開始ね!」


淡々と余命宣告された気分だ。

おびえるな、息子よ。


はじめまして、

今回、恋愛系のお話を書かせていただいています!

失恋がメインなところ、キュンキュンしたい方には大変申し訳ありません。

私自身、恋愛というのは経験が薄く、高校生のころに1つ上の先輩と1年ほどお付き合いをしたくらいでして…

おっと、勘の良い読者様ならお気づきになるかもしれませんねぇ。


今回1話目ということで、気軽に読んでいただけるよう短めに書かせていただいております。

もっと長めに書いてほしいなど、アドバイスを頂けるととてもうれしいです!


ここまで読んでいただいた読者様、本当にありがとうございます。

この後の展開は大きく変わり、人間関係、恋愛に深く関わっていきます。

もしよろしければ、STEP2も読んでいただけると光栄です。


これからもよろしくお願いいたします。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ