光輝と朔夜と遥華<4>
3学期になると日登朔夜の天下だった。
――大舞闘会のあとから三成君はスランプから立ち直ったか様なそれだったけれど、朔夜ちゃんが無双していたからなぁ……。
遥華は3学期のことを思い出すと溜息を吐く。
朔夜の天下であることは、朔夜への反発と嫉妬が以前より遥かに増していることも意味しているからだ。
――あの頃から朔夜ちゃんに話し掛け辛くなったんだよね……朔夜ちゃん自身も話し掛けてくるなという雰囲気だったし……。
4月に入るとその傾向はさらに進んだ。
――三成君が新入生の一団を”虐殺”してしまった翌週に今度は朔夜ちゃんがクラスメイトを”虐殺”しちゃうんだもの……中でもあの子は一番朔夜ちゃんを目の敵にしていたしなぁ……。
「……はぁ」
再び溜息を吐く。
彼女にとって朔夜は敵ではないし、親友というには疎遠ではあるが、それでも仲は良い方だ。
――余計なことに巻き込んじゃった……かな?
そう思うと彼女の心は少し痛む。
その時授業終わりのチャイムが鳴る。
――あぁ、授業終わっちゃった。10分だけとは言っても憂鬱な時間の始まりだ……。
力なく机に突っ伏すと同時に声をかけられる。
「油木、貴様、私の仲間になる気はないか?」
「ふぇ?」
間抜けな声が出た。それだけ頭が動いていなかった。
「もう一度言うぞ。油木、貴様、私と朔夜の同盟に入れ」
光輝は力強く、そして聞く耳持たないと言わんばかりの尊大な態度で言い放った。
直後、ガタっという音がすると足音を立てて朔夜がやってくる。
「ちょっと、一言も相談なしに勝手に決めないで」
「不満なのか?」
「不満とかじゃなく、あなた、私のパートナーでしょう? 一言あってしかるべきだと思わない」
「ふむ……そうか……で、駄目なのか?」
呆れた表情をしつつ朔夜は光輝を無視して遥華に尋ねる。
「ユッキー、あなたはどうしたい?」
「ゆっきー!?」
「あら、駄目かしら?」
突然の渾名呼びに遥華は驚き言葉を失うが拒絶されたかと思って寂しそうな表情を浮かべた朔夜を見て首を横に振る。
「私でいいの?」
「私もそこの唐変木と同じで組むならあなただと思っていたの」
二人からの申し出に遥華は少し考える素振りを見せるが、すぐに首肯する。
「ありがとう……でも、トラブルに巻き込んじゃうよ?」
「あぁ、それなら問題ない。売られた喧嘩だしな? そうだろ、朔夜」
「ええ、そうね。心配ないわ……でもあなたの場合、勝手に買っただけじゃない?」
「二人って神経図太いね……」
遥華は泣きそうになりながらも笑顔を見せた。
「仲間がいるっていいね」
こうして遥華は同盟に入った。




