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人間は神様に勝てない  作者: 永瀬けんと
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能力について

 乾いた土の上で無慈悲に青い悪魔の肉塊が何体も転がっている。モンスターはライフポイントを削り切るとその場に倒れて消滅する。しかし、青い悪魔たちは消滅せずにそのままだった。自らが作り出した凄惨な光景を前にリアリスはつぶやいた。

「やっぱりここか」

 一時間前に視えた場所。リアリスはその場に寝転んで目を閉じた。

 

 俗にいう“霊能力”というのは、一つだけを示すわけではない。それはテニスとサッカーは同じ“スポーツ”ではあるが競技としては違うのと同じで、“スポーツ”は各運動競技を一括にした言葉であり、“霊能力”も多数ある能力を一括にした言葉なのである。“霊能力”はいまだ科学的に証明できていない能力であるため、その実態を知らない人は多い。死んだ人間が視える。死んだ人間とコンタクトが取れる。目の前の人間の前世が視える。目の前の人間の未来像が視える。目の前の人間の守護霊から情報を得られる。写真を見ただけでその人間がどういう性格の人間か分かる。未来の光景が視える。いずれも霊能力の類であるが霊能力者と言われる人たちは右記の能力のいくつかだけを持っていることが多く、苦手分野と得意分野があったりする。

 未来の光景が視える。

 日露戦争を終戦へと向かわせた日本海海戦におけるバルチック艦隊撃破。海軍参謀秋山真之がバルチック艦隊が日本海側か太平洋側のどちらを通るか無意識に霊視した話は一部の人間には有名な話であるが、それを信じない者も多い。作り話の類か、あるいはたまたまそういう夢を見ただけなのかは科学的根拠を提示できない今に至っては誰も大多数を納得させられる真実を語ることはできない。ただ、もし秋山真之の霊視が真実であったと仮定すると、日露戦争がその霊視によって大きく傾いたことになる。しいては日本という国自体の運命も大きく変えたとも言える。

 仮説という段階は科学にとって非常に重要なフェーズである。真実に辿り着くための入り口と言っても過言ではない。ただ、もちろん単なる仮説で終わる場合も多い。

 大阪都立大学はある仮説を実証するために学力調査テストという霊能力を持つ子どもを見つけるための作業を秘密裏に行った。学長がカリスマ性云々と話したことは嘘であり、本当に期待する能力とは霊能力、しかも“未来の光景が視える”力にフォーカスしていた。

 まずは霊能力者と作った学力調査テスト(テスト中に霊能力者から送られていた思念を受信できていた子どもたちは霊能力判別用の問題に対して正解とは別の決まった解答をするように導かれていた)で霊能力を持つ子どもを多数見つける。次に見つけた子どもたちの中から“未来の光景が視える”力を持つ者だけを選別し、その子どものみ大阪都立大学へ残す。これはすべて大阪都立大学独自で行っていたものではなく、ある組織から依頼されて実施していた。

 リアリスこと田中大和は自分が特別な存在であると自覚していた。田中大和が中学三年生のときのある日、彼は大阪都立大学の研究室へ向かう際、梅田のスクランブル交差点を一人で下を向いて歩く琴平涼を見た。これはある組織と大阪都立大学の一部の人間しか知らないことだが、秘匿性を上げるために研究室は大学とは物理的に離れた大阪都内に三ヶ所設置していた。しかし、田中大和と琴平涼が通う研究所は同じ所だった。

 田中大和が研究所に着くと、扉の向こうから研究員たちの会話が聞こえてきた。

「彼はもう無いこと分かってんのにな」

「上の一人から残すよう指示が出ているらしい」

「オバケが視えてもなあ」

 田中大和が扉を開けると、研究員たちはすぐに会話を止めて、ごまかすように咳払いをした。

 田中大和は何事も無かったような顔で挨拶をし、研究員から早速出てきた指示に従って、その日も脳波から調べることになった。

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