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人間は神様に勝てない  作者: 永瀬けんと
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選ばれた子どもたち



 田中大和は入試を受けることなく、日本有数の大阪都立大学に入学できる資格を持っていた。同じく大阪都立大学の研究室に通っている琴平涼とは待遇が違った。


「おい、また青い悪魔見つけたぞー」

 ソウルナイトが嬉しそうに声を上げた。

「どこや」

 田中大和ことリアリスはすぐにソウルナイトに訊いた。

「あそこ」

 ソウルナイトは竪穴式住居の裏に隠れていた小さな青いタピス族を指さした。

「子どもじゃねーか」


 大阪都立大学は、ある研究のために大阪都民に声をかけた。学力調査テストを小学四年生以上から中学三年生までのお子様たちを対象に実施させて頂けませんかというものだった。このテストは発表から三ヶ月後に生徒たちがそれぞれ通う学校で実施され、テスト実施から二ヶ月後にテストを受けた生徒たちに自分たちの点数と自分たちの成績が大阪の中でどれぐらいに位置するかが記載された紙が配られて終了した……はずだった。


 リアリスは抜身のアロンダイトを小さな青いタピス族の右太ももに突き刺した。タピス族は耳が短ければ男、長ければ女という見分け方があった。リアリスに剣を刺されたタピス族は女の子で、ギャアアアという声を上げて、その場にひざまづいた。すでに片方の耳は斬り落とされ、右腕も手首から斬り飛ばされていた。

「大和ぉー、さすがにこれは引くわー」

 シュー太郎は眉間にシワを寄せた。

「ただのテストや。コンピューターのコイツらがプレイヤーの攻撃を受けて、ちゃんとした反応をするかどうか確認したってんねん」


 学力調査テスト実施から半年後のある日、大阪都に住む数人の子どものところへ大阪都大の学長自らがあいさつに出向いた。そして、その子どもたちの両親にこう伝えた。

「お子さまは非常に優秀な能力をお持ちの可能性がございます。一週間に一度、一時間程度で結構ですので、お子さまを我々の研究室まで通ってもらうようにして頂くことは可能でしょうか。もし我々の期待する能力をお持ちだと確定した場合、お子さまが高校をご卒業されましたら、入試無しで我々の大学に入学できるよう、手配させていただきます。またもし、我々の期待する能力をお持ち出ないと判断させて頂いた場合でも、我々の融通が利く大学かつ、お子さまの学力で卒業可能な大学であれば入試無しで入学できるよう手配いたします。ただし、入試無しで入学頂く場合の条件については、本件については一切他言無用でお願いいたします」

 自分たちの子どもがあの大阪都大に?! 親たちは皆、例外なく色めき立った。同時に、自分たちの子どもがいったい何の能力を持っている可能性があるのか気になった。

「カリスマ性。人を魅了する力。そういった能力を先天的に持つ人間について研究し、その研究結果を社会に役立てたいと考えております」

 おかしいと思う親は多かったが、それ以上突っ込んだ質問をする親はいなかった。変な質問をして、せっかくのプラチナチケットをふいにすることを恐れた。


 必死の抵抗も虚しく、胸をアロンダイトによって貫かれた小さな青い悪魔はその場に斃れた。

「大和ぉー」

 シュー太郎が首元を掻きながら口を開いた。

「なんやねん」

「いつまでやんねん。もう指で数えられんぐらい青い悪魔ぶっ倒してもうてんぞ」

「時間つぶしや」

「何待ちやねん」

「ちょっとな」

「俺ら、おもんなくなってきたし、もうそろそろ」

 シュー太郎はハーバス共和国があるであろう方向に向かって親指をさした。

「おう。もうええで。付き合ってくれてありがとな」

 リアリスが礼を言うと、シュー太郎とソウルナイトは何も言わず軽く親指を立てて笑顔で応えた。

 シュー太郎は転送系の魔法を唱えて一気にハーバス共和国まで飛ぼうとしたが、青い悪魔の集落もダンジョン扱いのため、魔法はかき消されてしまった。

「マジかよ」

 シュー太郎はだるそうに息を吐き、「しゃーねー。走って帰るか」と言って、同じくだるそうにため息をついたソウルナイトと共に神速を連発して、ハーバス共和国の方向へと去っていった。

 リアリスはアロンダイトを地面に突き刺し、その場であぐらをかいて座った。シールド・アイアスは邪魔だと思い、すでに腰の道具袋にしまい込んでいた。

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