モフモフは最高の癒しです
時刻はお昼。
窓から暖かい光が差し込んでいる。
本日は休日、学校はお休みだ。
お昼ご飯を食べ終わり、後片付けを終えて戻るとリビングの床で寝ている可愛い生き物がいる。
5歳のマロンにとってこの時間はお昼寝の時間でもある。
いつも自室で寝るようにと言っているが、そのまま寝てしまったようだ。
すやすやと寝息だけがかすかに聞こえてくる。
「仕方ないな」
自室に連れて行こうとマロンのもとへ歩み寄る。
しかしなんて可愛い寝顔なんだろうか。
横向きに小さくまるまって寝ているその姿。
小さな手は軽く握られていて、耳はペトンと閉じられている。
不規則にそのモフモフの尻尾をパタパタとソファーに叩きつけている。
我が子は天使なのではないだろうか。
そう錯覚するほどに可愛く、自然と笑みが漏れてしまう。
しかしここで寝てしまっては風邪をひいてしまうかもしれない。
いつまでも見ていたい気持ちを抑え、マロンを抱えようと手を伸ばす––。
「ん~ごしゅじんさまぁ……」
手が触れようかというところで寝がえりを打った。
びっくりした、起こしてしまったのではないかと思った。
「さて、どうしようか」
こんなに安らかに寝ている彼女を起こすのは心が痛いな。
彼女を運ぶのを思いとどまり、彼女の部屋に行き布団を持ってくる。
それを優しくかける。
「うん、これでよし……っと」
傍に俺も座り、マロンの髪を起きないようにゆっくりと撫でる。
うん、癒される。
「ん?」
布団の中でパタパタと動くものがある。
––彼女の尻尾だ。
少しだけならいいか?
こういってはなんだが、その尻尾の触り心地は最高だ。
いつも手入れして綺麗な毛並み。
その尻尾のモフモフ感触はもはや天使の羽と言っても過言ではない。
触りたい。
モフモフしたい。
俺は自分の欲望に負け、布団を少し捲る。
獣人用のズボンの穴から出る尻尾が現れる。
そっと、そっとそれを撫でるように根本から先端へと撫でる。
ああ、最高だ。
なんていう感触なのだろう。
もはや語彙力がこの感触についていけない。
もうちょっとだけ、もうちょっとだけ。
だんだん強く触るが彼女に起きる様子はない。
すこしこそばいのかたまに声がでてはいるが、これは起きないだろう。
それをいいことに俺は両手を使い撫で、頬を当ててその感触を楽しんだ––。
♢
「……さま。 ……しゅじんさま!」
体が揺さぶられる。
「ん……」
重い瞳を開けるとそこには俺を起こそうと揺さぶる天使の姿。
そうか、あのまま寝てしまったか。
「あ、おきた! もう、ちゃんとへやにもどってねないとだめなんだよ~?」
自分のことを棚に上げて叱ってくるマロン。
しかしその顔も可愛いので全然嫌な気持ちにはならないのだ。