本の世界への旅立ち
扉を開けるとそこにはお花畑が一面に広がっていた。
「じゃあ、飛鳥ちゃん本の世界を楽しんでおいで」
拓也は笑いながら飛鳥の背中を押した。
「わっ……」
飛鳥は拓也に背中を押されたことにより扉の外に出てしまった。
「神城先輩は一緒に行かないのですか?」
飛鳥は不安そうな顔をした。
「僕はこれでも神様だから一緒にいけないんだよ。けれど、見届けているから安心して行っておいで」
拓也は悲しそうに微笑んだ。
「もしものために、こいつをつけさせるよ。くま」
拓也がくまと呼ぶと、どこからか出てきたのか分からないが手のひらサイズの茶色いクマが空中に浮いている。
「よろしくです~」
茶色いくまが飛鳥の目の前まで来ておじきをした。
「こ……こちらこそよろしくお願いします……」
飛鳥は茶色いクマがしゃべったことに驚きを隠せない状態でおじきをした。
「じゃあ、くま。飛鳥ちゃんのこと頼んだ」
「了解です!!」
くまは敬礼をした。
「飛鳥ちゃんも何か分からないことがあったらなんでもくまに聞いたらいいから」
「ドーンと頼ってください」
くまは誇らしげに胸に手を当てていた。
「……はぁ」
イマイチこの状況についていけてない飛鳥にとっては不安でしかなかった。
「じゃあ、飛鳥ちゃん頑張ってね」
拓也が飛鳥の頭を撫でた。
「……はい」
飛鳥は赤い顔を隠すためうつむきながら答えた。
「いってらしゃい」
拓也は飛鳥の顔をのぞき込んだ。
「……いってきます」
飛鳥は小さい声で返答した。拓也は飛鳥の返答に満足そうな顔をしながら体を起し、飛鳥の頭から手を離して扉を閉めた。