白い本の内容
飛鳥は家に帰り、明日の用意をしているときに拓也から渡された白い本のことを思い出した。
「時間もあるし、少し読もうかな」
飛鳥は鞄から本を取り出した。
「タイトルがない?」
拓也から渡された白い本にはタイトルがなかった。裏返して確認したがタイトルはなかった。
「まあ、本は内容だしね」
飛鳥は本を読み始めた。本の内容は本を読むのが好きな女子高生が好きな本の世界の主人公になり物語を体験していく話だった。
「初めはタイトルがなくて驚いたけど、面白い本ね。こんな面白い本を教えてもらったんだから明日、彼にお礼を言わなきゃ」
飛鳥は拓也のことを思い出すと顔を赤く染めた。
「私ったら何ニヤニヤしているのよ」
飛鳥はニヤニヤしている自分に恥ずかしくなり、白い本の次のページをめくった。
「あれ……?」
白い本の次のページは白紙になっていた。
「なんで、続きがないの? 印刷ミス?」
飛鳥は白い本の最後以外の全てのページを見たが白紙の集まりだった。
「出版社に電話してみよ」
飛鳥は最後のページに書いてある出版社の電話番号を見ようとめくったが、別のものが書かれていた。『あなたはどんな物語の世界に入ってみたい? 今宵、あなたの望みの世界へお連れいたしましょう』と本の最後には記載されていた。
「なにこれ……」
飛鳥は笑いをこらえていた。
「占いの本じゃないし、今宵、あなたの望みの世界へお連れいたしますって……」
飛鳥は大笑いをした。
「方法も書いてあるのね。このページを開けた状態で目をつぶり祈りを捧げるように入りたい物語の世界を思い浮かべればいいのね」
飛鳥は本の通りに目をつぶり祈りを捧げるように入りたい本の世界を思い浮かべた。
「これでいいのよね?」
飛鳥はゆっくり目を開けた。
「なんだか眠くなってきたし、今日は寝よう」
飛鳥は急に睡魔に襲われたため、ベッドに入った。