探し物
「遂に!念願の!異世界転生キター!!」
しかし、異世界転生というのはそういつもいつも甘くは無いようだ。
「なんだ?あれ。」
陸翔が見たのは明らかに色のおかしい空だった。その色はまるで血の様に赤い物に真っ黒い物を完全には混ぜないで所々が赤黒くなっている…その様な空の模様だった…
「飛ばされていきなりこれは穏やかじゃないなー。」
しかし、空の赤黒い色は突如として消え去った。
「えっ?」
そして、周りからは歓喜の声が聞こえる。
「魔王を勇者様が倒したんだ!!」 「勇者様ありがとうございます!!」
「えっ?」
二度目のえっ?だ。陸翔はこの時混乱していた。いや、認めたく無かったのかもしれない…
「もしかして…魔王を討伐後に異世界転生~!?」
陸翔はいく宛もなく適当にぶらついた。
「取り敢えず、酒場でちょっと休憩するか…」
この世界は喋っている言葉が完全に日本語、文字もあいうえおに少し手を加えているぐらいで読めないことはない。
「あの~水を下さい…」
近くにいたウェイトレスさんに水を頼み、その水が来るまで物事を一旦整理しようと考えた。
「まず、異世界転生直後に魔王討伐…えっ、なにこれ今までで知らない展開の異世界転生なんだが…」
ウェイトレスさんが水を運び「ごゆっくり~」と水をテーブルの上において他の客の所に注文を受けにいった。
「さて、どうしようかな。」
今のところ何もないお金もないし、今日泊まる宿もないし、富もないし、名声もない。
陸翔は自然とため息が出た。
「せめてお金が有ればな…どうにか出来るかも知れないんだか…」
「あの~すいません。」
「はい、何でしょうか?」
そこには、80代前半と思えるご老人がいた。
「ここら辺に私の財布が落ちていませんかね?」
「見かけませんでしたけど…あの!よかったら一緒に過ごしましょうか?」
「本当ですか!?それはありがとうございます!いやーまるで勇者様の様に優しい御方だ!」
「いえいえ、そんなこと無いですよ。ほら!早く探しちゃいましょう!!」
しかし、意外と呆気なく物捜しは終わってしまった。
「うん?何かしらこのお財布は?」
「そこの娘さん!!そのお財布を見つけてくれたのかい!?」
「あはは…見つけたというより落ちていたから拾っただけで…」
「いやいや、それでもうれしいよ!!ありがとう!!何かお礼をさせてくれないか!?」
その少女にご老人は勢い良く
「何でも良いよ!!さぁ言ってみなさい。」
しかし、その少女はやはり断っていた。
というか俺は?ねぇ!!捜したよね!!俺にもお礼してよ!!
結局、ご老人がお金を渡すという事でかたはついたようだった。
「あの~すいませんどうでしたか?」
ここで、みんなならお礼はというかもしれない。しかし、俺は紳士だ。お礼の事は敢えて伏せて相手に気付かせよう作戦だ!!
「財布の方は先ほど見つかりまして、心配をおかけいたしました。」
「いえいえ、良いんですよ。困ったらお互い様ですから。」
これでどうだ?気付くか!?
「それで、お礼の方をさせて貰いたいのですが…」
よし!!いいぞ!!俺の作戦は完璧だ!!
「良いんですか!?貰ってしまって?」
ここで念を押していく。いいぞ!!俺!!
「ええ!勇者様のお陰で景気も良くなりましたからね。」
また、勇者か…景気を良くしたことに関してはなにも言うまい。しかし!少しぐらい魔王討伐に参加させてよ~!!今はそんなことよりも今を生きる事だ。
「お礼とは?一体何なんでしょうか?」
「手を出してください。」
「はい!」
チャリチャリというには余りにも軽かった。
「あのーこれは?」
「はい!300枚の5ルスです!!」
はぁ?なんだよ5ルスって少ないだろう…まぁ、貰わないよりましだ。有り難く受け取ろう…
「ありがとうございます!!」
「いえいえ、それではまたどこかで!!」
「はい!またどこかで!!」
うわぁー絶対あれだよー5円を使わないから、まぁ別にあげてもいっか!とか言うやつだよ。
「はぁ…にしてもさっきの女の人は綺麗だったなー。また、どこかで会えたらな…そんなことよりも宿探しだ!!今日は勇者が魔王討伐したよパーティーとかしてんだろうな…友達…転生したばっかだから居ないや!!」
さっさと、宿を見つけて寝ようと思った陸翔だった。
ふぇぇ、まだ続くとか思うと胃が痛いぜ!!
はっきり言っていつまで続くか分かりません!!(逃走の意味で)ただ、頑張れるところまではやりたいです!!また、間違いやもっとこうした方が良いなどのご指摘をお願い致します!!




