赤をめぐらせ
女は男の気づかぬ間に育む
赤をめぐらせ、熱を帯びながら
小さな部屋に柔らかなベッドを
用意して待っている
男の歴史と女の歴史が交わり
溶け込み、今をまぶしたものを
女は戸惑う
身体のなかが読めなくて
男は気づかない
女の身体のなかが赤に支配されて
いくことに
男も女も赤で出来ている
赤を食み、赤に食まれ
いきものとして世に出た
女の静かな革命
体内は革命中心にうごめく
たゆたい波打ち
交わり離れ現れ消えて
男の穏やかな眼差しに
女は自分と同じ赤を見た
始まりは同じだった私たち
女は計らず涙を流した
仕組まれたさだめに唇をかんだ
男は女の肩を抱き愛をささやく
女の耳には小鳥の囀ずりに聞こえた