第一章
「いい天気だなあ・・・。」
神威悠里は砲台の下に寝転がりながら呟いた。
空は雲ひとつなく典型的な「青空」だった。まるでそれは、人類が「暴走した兵器」と激戦を繰り広げている事などが嘘のように見えるぐらい平和な空だった。
休息を切り上げ、そろそろ戻ろうかな、と悠里が体を上げたその時、
ゴンッ!!
「痛ったあ〜!」
砲台に頭をぶつけたのだ。
頭を抑えながら悠里は再び寝転がる。白目を剥いてしまいそうな痛さだ。
「い〜た〜い〜。」
うぐぐぐ・・・、と悠里が痛みと必死に闘っていると何処からか声が聞こえてきた。
「なあーにやってんだよ。バカ。」
その言葉に悠里は痛みも忘れ、額に血管を浮き出しながら言い返した。
「うるさい!龍仁のくせに!あんただってこの前ぶつけたでしょ!!」
龍仁と呼ばれた少年は「ああ」と言うと悠里の側にしゃがむ。
「俺がバカにしてるのはぶつけた事じゃない。その後。お前みたいに呻きながら痛がってないし、さっさと医務室に言ってシップはってもらったぞ。」
龍仁の言い分に言い返せなくなったのか悠里はゆっくりと身を起こしぶつけた額を擦りながら医務室へと歩き出した。
龍仁はそれを見送ると自分も砲台の下に寝転んだ。軍艦の揺れがなんとも言えず気持ちよく彼は知らぬ間に重い瞼を閉じ、眠り始めた。
その頃悠里は医務室で先程の額を冷やしてもらっていた。悠里はその間にさっきの龍仁との
やり取りを軍医の女性に話した。軍医は少し笑いながら、
「全くあなた達は平和よねえ。仮にも戦争中だってのにそんな言い合いができるなんて。」
まあそれがあなた達のいい所なのかもね、と言いながら悠里の額に丁寧にシップを貼る。
「でもあんな言い方しなくてもいいと思わない!?なにもバカはないでしょ。咲耶はどうよ?あんな事言われたらさ。」
咲耶という軍医は、あははと言うと
「なんとも言えないなあ。あいつなりに親しみこめてんじゃない?でもバカはちょっとひどいかな。
あ、そういえばさっき寛治さんがあなた達のこと呼んでたよ。あたしも後で行って見るけど。」
と少し微笑みながら言った。
「うん。そうする。じゃあ、ありがとね。咲耶。」
悠里はそう言うと医務室を後にした。
悠里が艦長室に着くともうそこには小隊の隊員がそろっていた。そこには先程諍いのあった龍仁の姿もあった。寝ていたのか少し眠そうだった。
「お、来たか。じゃあ本題に入るか。」
藍色がかった髪の青年は口を開いた。
「任務だ。」
この一言で小隊一同は表情を少年少女の表情から一人の軍人としての表情に変えた。




