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第十三章

悠里は怒りに支配されきっていた。腰だめに構えた太刀を全力込めて袈裟切りに振るうが『装甲』の厚い黒龍にはただのかすり傷にしかならなかった。

そもそも万全でない装備で―――――複数ならまだしも――――――、一対一で戦おうというのが間違いだったのだ。それも修理が終わっていない機体で。今の雪風は虫の息と言ってもいいほどに損傷が激しく、中の悠里も然りだった。


黒龍はその虫の息の雪風にとどめを刺そうと艦砲を己の身体から出現させる。

(やられる・・・・!!)

逃げなきゃ・・・、と思いながら雪風を動かそうと念じるが当の雪風は恐怖に硬直した人間のように動かなかった。司令塔部が損傷していたのだ。

黒龍はすでに充填を進めている。その姿はどうやっていたぶろうか思案中の官吏のようだった。

(早く動いて・・・!)

しかし雪風は少しも動かない。

目の前で充填されていく艦砲はすでに照準を雪風に合わせている。悠里は緊迫に支配されどこかが故障しているのではなどと考えもしなかった。

『逃げろ』―――――――この単語が全てだった。

黒龍の充填が終わった。

それに反応したかのように雪風が動き出した。残っていた司令塔部がやっとのことで反応したらしい。

艦砲が雪風の息の根を止めるべく艦砲を一斉発射させた。

悠里は何も考えずに雪風の司令部分に指示をする。『海上へ上がれ』と。

雪風は砲弾が直撃するぎりぎりに海上へ上がった。

砲弾は海中の空を貫いた。




「いない・・・。」

月読のセンサーに雪風は掛からなかった。そんな時通信が入った。

『さっきの揺れ、大きくなかった?この海にしてはさ。』

巴の声に沙織は背筋に冷たい何かが走った。

「まさか・・・・。」

その先は言わない。言えない。それが現実だったら嫌だから。

自分の大切な友人を失いたくなかった。失うのは母親でたくさんだった。

「巴・・・。」

沙織にしては低い声だった。その声を変だと思ったのか巴は訝しげな声色え尋ねた。

『何?』

「・・・悠里は絶対生きてるよね?」

『うん!』

自信ありげな返事だった。巴は続けた。

『どっかで生きてるんじゃない?悠里って悪運強いもん。』

だから探してみよ?、と。

月読と不知火は雪風を探すべくセンサーという感覚器官を研ぎ澄ました。




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