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東方大精霊  作者: ティーレ
3.過去ノシガラミヲ越エ、未来ヘト進ム
55/55

舞風と大結界

半年とちょっとぶりの更新。自分でもなぜここまでかかったのかわからない。スランプだろうか。だとしたらおそらくまだ継続中。


卒業研究が大変なんだ。言い訳をするならそれしかない。本当はいうほど大変じゃないんだけど。でもそれが原因で人間関係云々があるのさ。


まえがきでグダグダ言うのもお目汚しですし、本編をどうぞ。




――日がまだ昇らぬ、静寂に満ちた世界。


それは小さな山の上。何者かの手によって一部平地にされ石畳が敷き詰められている。その端に建っているのは真っ赤な鳥居であった。しかし、それを潜った先には神社など無い。まだ建てられる目処すらもたっていない。


そこは、この幻想郷に幻想と現実という境目を作る。その為に妖怪の賢者によって作られた空間。そこそこ広い平地に、一つの影。



「――来たわね。舞風」

「ああ、少し準備に手間がかかった」



その正体は隙間妖怪、八雲紫。彼女の能力ちからで作られた空間の裂け目に器用に座り、いつものようにその名と同じ色の扇子で口元を隠す。珍しく折りたたまれた真っ白い日傘は昏い夜に良く映える。本当に、こんなに昏いと言うのに星が一つも見えないのは何故なのか。


その背の陣を消し、軽く大地に足をつける。背後で次々と足をつけるのは我が友達。ベリーウェル・ガラーンは見るからに毒々しげなドレスを着ているし、アキは長い髪を鬱陶しげに払い、禍屡魔はやや不満げに腕を組む。


そして、博麗霊華はいつもの紅白の巫女衣装でいつも通り毅然とした態度のまま、そこに足をつけていた。その態度は初めて幻想郷に迎えた時となんら変わっていない。


今宵が、今宵こそが待ちに待った大結界を施す日。俺達が生き、そして暮らす幻想郷を更に生かすための方法。


――ようやく、ここまで来た。



「貴方の様子からすると、博麗の巫女は納得してくれたのかしら。この結界への協力に」

「納得する訳無いでしょう? でも、やらなきゃ妖怪が外に出て行ってしまうかもしれない。これが最も最善なら、そうするしかない。そう考えたまでよ」



余裕綽綽な紫の笑みが気に入らないのだろう。如何にも腹立たしげに鼻を鳴らした。実を言うとこれまで一度も首を縦に振ってもらっていなかったのでやや不安だったりしたのだ。その心配もどうやら杞憂となったらしく、心の中で安堵する。


一方紫はその態度に期限を損ねるどころかむしろ満足気な笑みすら浮かべる。彼女にとってはこうなることが確定事項だったのかもしれない。



「よろしい。では博麗の巫女。こちらへ……」



境目から降り、地に軽く足を着ける。それからこちらへ一瞥もくれることなくカツカツと歩いていく。静けさに歩を進める音がよく響いた。博麗が実に気に食わなそうに眉をひそめ、しかしその後に続く。俺もまた背後の三人に目配せすると共にその後に続いて歩き出す。


それほど広くもないその空間の中心位おいて最も目を引くもの。それは石である。だがその規模はそのあたりに転がっている石とはスケールが違う。そこにいる者たちの背を軽く抜き、圧倒的な存在感を曝け出す。本来ならば石と呼ぶより岩と呼ぶ方が正しいかもしれない。それでも尚、それを石と呼ぶには呼ぶには理由がある。


それこそが今から行う結界の要となる要石なのだ。見上げればそこには注連縄が巻きつけられ、それに宿る力を封じ込めている。今宵、ここで行うことに用いられるそれは名に石がつく以上、俺の中では石扱いなのである。



「……これの準備は出来ているわ。あとはこれに博麗の秘術と私の能力を結びつけ、完全なる結界とするだけ」

「それによって幻想郷はその外の世界から完全に隔離される。それに相違ないわよね」

「ええ、もちろんよ。私たちは私たちの理想郷で生きること以外を望まない。望んでいるわけがない」



かすかに目を伏せる。だが一瞬後には元の顔に戻っていた。その手の扇子を閉じ、隙間へと手を入れる。それを抜いたとき、持っているのは扇子ではなく、一本の大きな巻物であった。



「予行練習もなしになってしまったけれども、受け取りなさい。術の書かれた巻物。とってきてあげたわ」



巻物の端を持ち、博麗に差し出す。その手を黙って見返し、しかしまるで用がないとでも言うかのようにそれに背を向ける。紫の顔がやや険しくなる。



「必要ないわ」

「……見栄なんて張らないでちょうだい。私たちにとってもこれは次とない機会。失敗するわけには――」

「だからっ、必要ないのよ。中身くらい、全部覚えてる」



その言葉に眉を潜め、徐にそれを紐解いた。広げた巻物は紫の力によって空を漂い、くるくると踊っていた。それに目を向け、わずかに目を細めた。



「博麗の秘術、その参」

「非力なる人の力によって妖に対抗する術として強固な表皮を貫く。用いるは鋭針。それに陣を加えることで術式を完了とす。それを封魔針とす」

「……博麗の奥義」

「博麗の秘術を以てその力を集結し、球として双撃。終に覆い隠すことによってそれを封印とす。それを夢想封印とす」

「上等」



呆れたように漏れた言葉と同時に巻物はしゅるしゅると元の形を取り戻し、紫の手に収まった。俺も思わず口を開いたまま惚けてしまったが、どうもこいつという存在を図り損ねていた節があったようだ。



「手をつけて諦めた、というのは嘘だったのかしら」

「嘘じゃないわ。事実、最後のアレ・・だけは習得できなかった」

「……一度読んだら他は全部出来たと?」

「これでも理解力はある方なの」



特に得意げになるわけでもなく風によって揺れる髪を鬱陶しげに払いのける。本気でそう思っているからこそであろう。目を閉じ、何事かをなぞるかのように、その口から言葉が流れた。



「全を智とし、経験を力とし、理解を世界とし。最強を具現せし結界。それを秘奥義とし、書を終する。その名を無想転生とす」



大きくため息をついた。それに含まれていたのは諦めや非想などといったものではなく、単なる呆れであった。



「分かるわけないし、そもそも経験が足りてない私には不可能だと思ったわね。さすがの私もこれにはお手上げだったわけ。まさか、突拍子もなさすぎて想像だにしなかったわよ」

「その言い方だと分かったのか? 俺にはさっぱり分からん」

「分かったわよ。この世界と向き合ってようやくわかった。この幻想郷とね」



歩を進め、要石の眼前にたどり着く。それを優しく撫でる。後ろ姿からはその表情は確認できないが、その行為に含まれた感情が負のものでないことは見て取れた。



「全は、今まで学んだ全ての秘術。経験は、己の力量を知るためのもの。理解は、具現を意味していた。それだけだった」

「……いまいち分からないな」



小さく言葉を漏らしたベリーに目を向け、俺もだと肩をすくめて返す。しかし、紫は何か気づいたのか顔を歪ませた。しかしそれも一瞬のこと。


博麗は要石から手を離し、懐に手を入れて何かを探る。目当てのものを見つけたのだろう、取り出した手に乗っていたのは手のひら大の球であった。文様なのだろうか、陰陽勾玉巴が描かれたそれには芸術的ななにかを感じた。



「これは陰陽玉。封魔針のように博麗に伝わっていた武器。伝わっていた、なんて言っても自堕落に生きた博麗達が後生大事に持っていただけ。それを用いて戦うことは殆どなかった。私も使い方はわかるけど、使ったことは一度もない」



その手のひら程度しかない珠を見つめる。皆が何も言わない。黙って見つめる。不思議とそれが非常に重いものに見えてきた。いや、しかし実際はどうなのだろう。それは赤と白のコントラストにより非常に美しい。傷など探したところで見つからない。後生大事と皮肉を言うだけあり、大事にされた武器。それに歴史もなにもあるのか。



「美術品にはもったいないものよ。それは」

「ええ。だから、使うのよ。の無想転生に」

「私の?」



思わず訝しむ声を上げたがそれへの答えが返されることはなかった。博麗が手に力を込めることでそれは僅かに浮かび上がる。手のひらの上でくるくると回るそれを見ていると段々と力が篭っていくことに気づいた。



「準備は出来たわ。さっさと始めましょう」

「本当に大丈夫なの?」

「くどい」

「……分かりました」



小さくため息をつき、紫はその手の巻物を放る。自由落下する中でそれは隙間に飲まれ、跡形もなく消えた。俺はよしきたと背の剣を抜いて二人に並ぶ。



「なにかしら?」

「俺も手伝うんだろ? だったら剣を使ったほうがやりやすい」

「あなたの出番はまだよ」



その言葉に首をひねる。そもそも自分がここに居るのは二人の補助のためだと思っていたが、違うというのならば何を為せというのだろうか? 正しく俺が思ったことを読み取ったのだろう。紫はふっと笑みをこぼすと空を刺した。



「まず、間違いなく邪魔者が訪れるわ。私たちがやろうとしているのはそういうこと。あなたには最後に結界の締めをやてもらうけどそれまではお友達と一緒に警戒をお願い」

「また荒事かよ……いやいいんだけどさ」



最近は紫に注文を受けることも少なくなってきているが、それでも最近までに思い出せることはほぼ争い事だ。喧嘩両成敗と諌めたり、平和を乱すものの力を封印したり。どこまでもも自分の力が戦闘補助的な役割をこなしていることにやや不満も浮かぶ。


しかし、そういった事もおそらくこれを切っ掛けに減るだろうことを思えば悪くないような気がしてきた。剣を抜き身のまま一歩下がる。



「――一つだけ、よろしいですか?」



空間に響く一つの凛とした声。


今の今まで黙っていたアキが口を開いた。何事かと振り向けばその目は希に見ないほどに鋭い。思わずこちらの心の警戒心まで引き上げられるほどであった。普段温厚な彼女がこれほどの顔をすることに、意味がないわけがない。



「何かしら? アキ」

「……あなたの発言からするに、ここに私たち以外のものが向かってくるのはほぼ断定なのですね」

「ええ、妖怪の山は間違いなく反応するでしょうし、知能の低い妖怪が霊力に誘われることも――」

「――そんなことを聴いてるんじゃありませんの」



禍屡魔は不機嫌そうに紫を睨んでいた。一歩前へと踏み出してまで。唯一ベリーだけが何をそんなに心配しているのかと不安げに視線を揺らしている。ピリピリとした、今すぐに交戦状態に陥ってもおかしくないような感覚が、身内であるものから発生しているというまるで脳内で何事かが崩壊してしまいそうな空気に頭が熱くなる。



「妖怪の山の天狗。そんじょそこらの野良妖怪。そんなものはいくら来ようが大将以外は物の数ですの。今思えば私はこの行いを、この結界の存在の意味を簡単に考えすぎていましたわ。世界の中にもう一つの世界を内包させる。それもこんな大規模なものを。それだけでもアレ・・が動くにはおつりがきますの」

「ええ。あなたが動かせる手勢――式が何故ここにいないか。やや不思議でした。でも違う。ここにいないのではなく、いれない。最低限の手助けしか行えないような場所にいる。それがなぜか。あなたは知っていた。ほぼ確実にこの術式を感知する者がいることに」



――返答は行動によって返された。

八雲紫の力、大妖怪として数千年の時を生きたその力が拍子もなく要石に注ぎ込まれたのは正しくその直後であった。誰にも止める時間等はなかった。いや、もしかしたら俺の行動は間に合ったかもしれない。しかし、頭の中がこんがらがった俺には反応できなかった。


空を、黒い雲が覆ってゆく。まるで示し合わせたかのように雨が降り始め、それは瞬く間に豪雨へと変わる。遠くで、とても遠い空で、一筋の稲妻が光った。



――――それは、そう。一瞬の、もしくは刹那の出来事であった。


まるで心臓を握り締められ、今にも潰されそうになることを錯覚するほどの圧迫感。長い生涯を生きてきたがそんなものを味わったのは蓮姫と相対して以来、初めてのことだった。おもわず呼吸すら上手くいかなくなりそうになったが結界によってそれを相殺する。


アキが、禍屡魔が、紫が、空の果てを睨んでいた。それは先ほど稲妻が輝いた方向。雨の粒は激しさを増し、雷のその数もだんだんと増えゆく。


雲の隙間から何かが見えた。それは魚のヒレのようにも見えた。雲の中に隠れ、今の今まで見えなかった何かが少しずつその全貌を現していく。


一言で言うならば、蛇のような姿をしていた。ならば蛇かと問われたならばとんでもないと怒声を返す。その身は翠色のウロコによって包まれ、背には金の鬣を生やし、頭はまるで獅子を思わせる様に恐ろしく、頭角は鹿に酷似しており、僅かに見える手足は虎のように太い。その身は雷と雫と、雲をまとっていた。存在そのものが、妖怪などとは比べ物にならぬ幻想。創造すらも司る、神に等しき存在。



何故気づかなかったのか。もう一つの世界を作るということは、既存の世界を勝手に作り替えるということだ。つくり変える側にその自覚がなくとも、その世界が彼の手に作られたものならば、現れないはずがなかったのだ。



それこそは日の本の国において最上級に位置する幻想――龍神であった。












――――龍神に纏わる伝説を読み解くなら、その果てを知る者は恐らく存在していない。


気付けばいた。もしかしたら初めから存在していたのかもしれない。正しく神出とでもいうのだろうか。人が初めて龍神を認識したのは恐らく日本という島国が生まれてからだろう。その存在は幻想を具現し、世界を創造したものと同義である。故に抗うという選択肢は初めから存在しない。敬わられ、そして恐れ、畏れられる。そんな存在。意のままに災害を引き起こす存在に牙を剥くものなどいない。


伝説中の伝説。空にいるのはそういう存在なのだ。



「――そういうことかよ」



初めからこのつもりだったのだろう。それはそうだ。世界を創ったとまで言われる龍神が、勝手に世界を作り変えようとする様を、ただ傍観するわけがない。アレがここにくるのはほぼ間違いなく、確定事項だったのだ。


しかし、ならばどうする? このまま行けば幻想郷という世界は消えゆくのみだ。それは俺も、八雲も知っている。かと言って存在そのものが日本を沈めかねない龍神と相対するなんて、それこそ勝ち目がない。話し合いに持っていって、それで失敗したら? 恐らく八雲の動向は今後龍神の目に留まるだろう。一度の博打で今後全てを棒に振るのは得策ではなかった。


だからこその俺。いや、俺たち。俺は強い。自負している。俺が弱者なら誰が強者だというのか。幾千、幾万幾億の年月を生きた俺の力はそんじょそこらの大妖とは比べられぬはずだ。その俺すらも軽く凌駕するのが蓮姫なのだが、今はいい。


そんな俺の力でも、恐らく龍神には敵わない。


俺は災害を起こすことはできても存在そのものが災害とはなりえない。山一つ覆う結界を張ることができても世界そのものを創造することなどできはしない。密度の絶対値、その桁が違うのだ。故に――俺の刃は龍神には届かない。


それでも、そんな俺でも、否、俺だからこそ出来る事が、一つだけある。



「舞風」



紫の顔は見ない。ただ空だけを真っ直ぐ見る俺は紫の方を見ない。見ようとしない。その先に紡がれる言葉が想像できるからこそ、見たくない。



「――足止め。頼むわよ」



――足止め。


思わず笑いがこみ上げそうになった。今のこの身には妖精か、それよりややマシ程度の力しかないというのに、そんな極小な存在にこの世界すら覆い尽くしそうな絶対力を持つ存在を止めろというのだ。しかも、その時間は一分や二分ではきかないだろう。流石に半刻とまではいかないだろうが、それでも。


結局、利用されるということだ。体よく言えば信用というが、秘密を明かさず危険にさらされ、信用もあったものではない。だから俺は彼女に幻滅――――しない。



「いいだろう。その代わり、絶対成功させろよ。この俺が、今までにないほど死にかけるんだからな」



いつもの軽口のような言葉が口から漏れる。自分でも驚く程軽薄な声だった。博麗が、ベリーが、禍屡魔が、アキが、全員が体を震わせた。そして目を向ける。驚愕か、恐慌か。どちらにせよその目にあったのは確かな懐疑。



「ちょ、正気!?」

「どう見たって自殺行為だろっ!!」



博麗とベリーとがそう言って。それもそうだろうと自分を省みる。恐らく自分は正気じゃない。あの馬鹿げた圧迫感に頭をおかしくされたか、それとも強者としての矜持でも知らずうちに溢れたか。自分で自分がわからない。未だ降り注ぐ雨風が頭を冷やさないことに少しおかしさを感じる。


だが、八雲の行動の意味ならわかる。例えこの行動の一件で俺が死ぬことになろうとも八雲は正しく幻想郷の管理者を務め上げる。そう確信している。友情やら親愛やら、そんなものより幻想郷をとる彼女を信頼できる。だから俺はやるのだ。それに俺は――



そこで思考を区切る。思考している場合ではなくなったのだ。龍神のその顎に力が溜まっていくのが体で感じられる。肌が震えるのだ。思わず笑う。こらえきれずに笑う。その溜まっていく力は、それこそ大地を砕き、世界を焼くもので、それが自分に、自分たちに向けられていると考えると思うと、笑いが止まらない。


――ああ、そうか。そうであった。希望の里が滅びて幾万年。あの時から俺は禍屡魔と戦うために生きてきた。それが終わって、やっぱりそうだ。



こんなにも清々しい気持ちで戦いに望むのは――随分久しぶりだ。



世界を轟音が支配する。光が絶対の熱量を持って空間を喰らう。世界すらも貫きかねない一筋の槍。それを防ぐには盾が必要だ。世界すらも貫く槍を、弾く様な盾が。



「――十六重魔結界」



空間に魔法陣が踊る。なん枚も何枚も。それは隊列のように縦に並ぶ。


六枚が衝撃を減衰し、六枚が破壊力を相殺し、残りの四枚が後光すらも覆い込む。



「にぶっちゃあいないか? いや、数秒遅れたな。勘が取り戻せていない。直ぐに戻るか。ならいいな」



気が高ぶる。世界の境界線から力を引き出し、現界させる。久しい感覚だ。


誰もが唖然とする気配を感じる。嗚呼、いつもなら軽口でもこぼすところだが今だけは気にならない。心身が高ぶると感じるのは久しぶりだ。自分よりずっと格上の存在と戦うのも存外久しぶり。存在そのものが天すら貫きそうな妖怪は昔はごろごろいた。そいつらの攻撃を受け止めるのはいつだって心が燃えるのだ。


足止め――いい響きではないか。格上の者を相手に引かず戦うのだ。護りこそが俺の骨頂。守ることに関して俺の右に出るものはいない。少なくとも知らない。矛盾など知らない。どんな攻撃だろうが、どんな砲撃だろうが、この盾で防いできた。倒さなくていいなら、この身に負けはない。



どうだ龍神よ。お前は強いさ。幾百幾千幾万幾億、もしかしたら俺より長い時をお前は生きたのかもしれない。俺は弱いぞ? お前の光に焼かれて簡単にチリ一つ残らず消えれるんだから。でも、お前は一人だろう。この世界で一人だろう。


ならば俺は負けないよ。勝てぬとも負けない。お前の今の敵は、この世界そのものと思え。


それこそが大精霊。それこそが幻想。










☆〇☆☆〇☆








――地の底には鬼が住んでいる。その鬼は無敵故に孤独なり。


されど彼女は孤独を恐れない。真の孤独を知りながら、今は孤独でないことを知っているから。


ただ寝て過ごすだけの時間は来客の日から随分と減った。それからは目を覚ましてあれこれ考えるのが楽しくなった。


その様はまるで子を心配する女神のようで、まるで恋する乙女のようで。


その目が突如細まる。獲物を見つけた猛獣のように。


「約束を反故にしたのね――」


言ったはずよ、と。その口元が嬉しそうに歪んだ。されどその目には――紅い雫が浮かんでいた。



全力を以て敵対するって……ね。



半年ぶりに続きを出したと思ったら修羅場でござるの巻。


龍神は幻想郷で最高神って求問史紀に書いてたから……(震え声)

それに博麗大結界の時に現れたって書いてたから……俺は悪くねぇ。俺は悪くねぇ!!


いや悪いだろと言われたら御終いですが。


次回の更新も正直いつになるかわかりません。この変で見切りつけてもらっても(え゛?)



それはそれとして、私就職活動時小説が趣味って言ったんですが、なぜか官能小説書ける? って聞かれたんで彼女が20年間いないから書けませんって言ったら爆笑されました。ええ、確信犯です。


あとなんかそれが他の内定者に噂が回ってるらしくて……どうすりゃあいいんだ……



と、作者のくだらない話でした。誤字、脱字などあれば修正いたしますのでご報告お願いします。


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