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東方大精霊  作者: ティーレ
1.目覚メレバ幻トナッテ存在セリ
12/55

合計PV60000突破記念



本当は語呂よく50000のつもりだったけど放置している間に60000突破していた。


反省している。


今回の話は本編に……関係あるかもしれないね!!





今の時期は世間一般的に言う夏と言う季節だった。


だがそれは自分が思っているより暑くはなかった。それが何故なのか考えるなど今の自分には不毛だ。意味がない。考えるならばこれを利用してどのように遊ぶかの方がずっといい。



「水浴びぃ? なにそれ?」



とりあえずは湖でも入って涼むべきかと思って真可に言ってみた。その顔は疑問と言うより言葉を半ば理解している故の否定にしか見えない。



「烏天狗の私が水に入ってどうすんのさ。舞風は私を殺す気かい」



それでお前が殺せるなら苦労はないよ、と零してみたらボコられた。口は災いの元とはよく言ったものである。


結局、俺は一人で湖の浸かっていたが、上から襲い掛かってきた弾幕にブラックアウトした。


彼女曰く暇だったらしい。


俺の待遇のアップを再案した瞬間だった。














☆〇☆「妖精達と日々」☆〇☆














「花見よ」

「そこに何故に俺ですか?」



秋である。まごうことなく秋である。紅葉はその色がやや薄いような気がしながらも我が山の木もその一色に染まっていた。


珍しく来た蓮姫が何事かと思いきや酒の樽を両手に山まで来たのだった。そして何故か天正ではなく俺をチョイスし、二人で花見をすることになっていた。


自慢じゃないが日本酒は飲めない。ギリギリビールが限界だった俺に酒だなんて物を進めるには早過ぎないだろうか? そもそも俺は飲食を必要としないのだ。何故か味覚はあるので物を口に運ぶことはあるのだが。


と言うか花見って物は桜を見るものだという考えは偏見だろうか? 紅葉なら紅葉狩りと言う表現の方がしくり来るが狩る気はないらしく、やはり花見なのだろう。


両手に持っていた酒樽を下ろし、紅葉に囲まれた場所に蓮姫は腰を下ろした。そしてこいこいと手で誘い、その隣に俺を座らせる。元々の身長差から俺の頭は蓮姫の肩にも届かない。



「ほら、飲みなさい」



ドン、と俺の傍に酒樽を置いた。これを飲めと?


疑問を言葉にする前に蓮姫は酒樽を片手に持ってかたげていた。ごくごくとのどを鳴らして飲んでいる。どこにこれほどの力があるかなんて、今更思うことでもないだろう。


俺はそんなもの持ち上げられないのでともかくそこに置いておく。恐らく、蓮姫は俺がこの酒樽を持てないと言う事に気付いてない。


ぷはぁ! とまるで仕事帰りの一杯を思わせる姿に気付けば口元を隠していた。


彼女は何がおかしいのかと不思議そうに俺を見たが俺が何も言わないことに諦めたのか再び酒樽を傾けた。



静かに、本当に静かに。紅葉を見上げ、時に蓮姫が酒を飲む様を見ているだけの時間。時間の流れが遅くなったかのようにも感じられたが、俺はほとんど口を開かずに紅葉を見ていた。



「――ねぇ。舞風」



うん? と俺は首だけを動かして蓮姫を見た。その頬は酒気を帯びてほんのり赤くなっていたが、それ以外は正に真面目一色に染めて俺を見ていた。


なにか重要な話なのだろうか? 俺は少し体が緊張で硬くなるのを感じた。




「――アンタは、何で生きるんだい?」




拍子抜け、と言ったら彼女には悪いだろうが、俺が感じたのは正にそれだった。


なんで生きるのか。確かに一度は考えそうな事だが、普通は気にしない。考える頃にはそれなりに目標ができていたりするからだ。ましてや俺は生まれてまだそれほど時間も経っていない。普通なら問うだけ無駄な質問ではないだろか?


それに気付いたのか彼女には珍しく焦ったような顔になり、手をぶんぶんと振った。



「やや、そんな深い意味はないの。ちょと気になったから」



俺は少しばかり疑問に思いながらも一つもしかしたらと思った。聞く限り、彼女は長い時を生きていると聞いた。天正に比べたら数倍の域だそうだ。


そんな彼女が、生きることに強い疑問を抱くのはそれほどおかしいことではないのでは? と。



「そうだな……例えばだけど、俺はさこの世界がどんな形をしているのか知りたい」

「……へ?」

「あと、いつか真可や天正の子供とかも見てみたい。人間と妖怪の関係がおれからどうなっていくのか知りたい。自分の存在がどれだけの変化を及ぼすのか知りたい」



俺は蓮姫を見た。何を言っているか分からないと言いた気にパチクリと開いた目を見つめる。



「見たいことと、知りたいことと、やりたいことがある。生きる理由なんて、それで十分じゃないのか?」



蓮姫の目が見開いた。俺を見る目が若干変わったようにも見えた。だがそれは決して悪いものではない。言うなれば量り間違えた、と言った感覚。



「やりたい事の為に生きる。そう、それでよかったの。おかしな話、なんで私は見失っていたのかしら?」



蓮姫はやがて紅葉――否、空を見上げ、遠い目をした。


人間ならば、生きる理由を見失うのはそれほど珍しいことなのかもしれない。無駄に大人びた子供が世界に理不尽さに気付くように。


だが、彼女は何百年、何千年と言う余りにも長い時を生きてきたのだろう。時には信じたものに裏切られたり、大事な物を失ったりしたのかもしれない。



「生きる理由なんて、沢山あるよ。思ったよりもね。これから探すのも悪くないんじゃない?」



もしも俺がこの世界に生まれなかったとしても、いつかは自分の大事な物を見つけ、それの為に生きていくようになっただろう。


きっと、生きるってそういうことだ。



「――そうね。まだまだ、私の生も終わらないものね。ありがとう考えてみるわ」

「うんうん。そうじゃなきゃこっちが調子狂うよ。じゃ、引き続き紅葉を見ますか」

「そうね。ところで貴方、全然お酒に口を付けないようだけど……」



ギクリ、と体を硬直させた。ギギギと首を捻る。蓮姫が怪しげに笑い、こちらを見つめていた。



「いや、ほら、俺って子供じゃん? お酒とかにはちょっと抵抗があったりする訳で、分かリル?」

「さっぱり分かりらないわ。貴方、私のお酒が飲めないの?」











翌朝、首から上だけを生やして土に埋まった舞風が発見されることになる。












☆〇☆☆〇☆















「寒いね~」

「だな~」



僅かながら赤く染まった頬を撫でながらこちらを見た天正に子供みたいだなと思いながら言葉を返した。口には出さない絶対に。


世間的に言ったら恐らく今の季節は冬なのだろう。今まで過ごしたどの季節よりも寒さを感じる。だが雪を見ることはなかった。その辺りは分からないが、地域的な問題なのかもしれない。


だが何故俺はそんな寒い中天正と湖の傍で語り合っているのかと聞かれたら俺はこう答えるしか出来ない。



俺も知らない(笑)



目が覚めたら寒い中家の外に放り出されてて傍に天正が座っていた。とんでもなく恐ろしいものを垣間見た気がする。


そうして俺達は何をするでもなく、黙って辺りの景色を見ていた。俺は妖精だから寒さに弱いんだけど、嫌がらせ? 湖の妖精達は今日も元気に飛びまわってるけど。


ずーーっと黙ってる。さっきの会話だって久しぶりに交わした言葉だ。別に言葉を交わすのが嫌なわけじゃない。ただ寝起きで寒くて頭がぼーっとするだけだ。嘘じゃない。



「――なぁ、舞風くん」

「……んあ?」



天正が鬼気迫ったような顔でこちらを見つめていた。鬼だけに。って言うかアレ? なんだかデジャブを感じるんですが。



「君はこれから、何処に行く?」



はて? と頭を傾げる。何処へ行く、と言われても本日は何処にも行く予定はないのだが……まさか! とうとう追い出されるのか!? 家賃も出さずに働かないお山警備員だから? いやちゃんと働いてんジャーン。それとも用済みか? 永琳にも用済みと言われてお山にも用済みなのか!? いやいや、ここ離れたら消滅しますから俺。



「深い意味はないんだ。きっと、君はいつかここを出て行くときがくる。今まで何体もの妖怪がこの山を出たように。その時、君は何処に行く?」



いや、多分出ませんよ俺。妖精だし。って言うか地理知らないし、ここ出たら即迷子だから。あ、でも何処まで行けるかは試してみたいかも! 免許取立ての青年かあほ。


しかし、そうだな……



「旅、って事で右に左に気の向くままってのが楽しそうだ」

「そうか……君らしいね」

「おう! その時は天正と真可と、ついでに蓮姫も連れて行こう! きっと楽しいぞ!」

「!! ……そうだね。きっと、いや絶対楽しい」



天正の目が悲しげなものから嬉しそうなものに変わった。本当に、俺の言うことじゃないがたまに天正が子供に見えるときがある。その時の天正の目は決まって俺に何かを期待しているように見えた。


それにしても、旅か。本当に、行けたらいいな。











何気ない日々と彼らの抱えるものへの答え。それが今話の最もな題です。


舞風と言う平凡ながら非凡になってしまったものはこういう展開でどのような答えを出すのか。元々の境遇も完全には平凡とは言い切れませんが。


もしかしたら・・・・・・、話が増えるかもしれませんがあしからず。



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