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火水風土  作者: 田中 椿
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市場

ベラはマーヴェラに話してスッキリし、とても眠くなってまた眠った。

でも、何度か起きてしまうこともあった、それでもまだ大丈夫かと眠っていると、

「ベラ。早く起きて」トナが起こしに来た。

「はいはい!」

しぶしぶうなずきながら言うと、すぐにぶつぶつと小言言い始めた

「ふん、何にも知らないくせに」

「ほらいいからぶつぶつ言ってないで、買い物行くよ。市場は1時までしかやってないの」

「そんなのまだまだじゃない」

「何言ってんのよ、何時か時計見てみ」

ベラはとてもビックリした、7時くらいだろうと思ったのにもう11時になっていたのだから。

「うっそ」

「私もうっそだよ。早く行くよ、もう新鮮な物無いかもしれないじゃない」

「何で一人で行かなかったの?」

「私も寝てたのよ」ちょっと申し訳なさそうに首をすくめ言った。

「そう、それじゃ人の事言えないね。行くよ」

ベラは外に出ると辺りを見渡した今日はいい天気だ。

昨日、ルーンに町を案内されていた時はずっと下を見ていたのであんまり気が付かなかったけれど、この町はとても綺麗だった。

ルーアンダは低い建物ばかりでどれも壁が黒っぽかったし、教会は中も汚くて蜘蛛が巣を作っていた。でも、スノアークスは壁も真っ白で教会は外も中も綺麗だった、あっちとは全然違う、正反対だ。


市場に着いた。

市場は魚臭かった。

ここもルーアンダとは違う。

こっちはとてもにぎやかで奥に行くとみんなが踊っていたし、料理も食べれた。でも、あっちの市場はにぎやかでも何でも無かった。ただ、「安いよ~」とか「このフルーツはうまいよ~」とか言ってるだけで料理とか踊りとかはしなかった。

ベラはここを気に入った。

どんちゃん騒ぎでとてもルーアンダとは比べ物にならないくらい居心地がよかった。

その時、ついさっきまで踊ってた小太りのおじさんがベラに話しかけてきた。

「ねぇちゃん…ヒック…も踊るか?」手を差し伸べてきた。

多分、この人はお酒を飲んでる。結構いっぱい。

でもそんな事関係なくベラは、

「うん」と返した。

ベラはとても嬉しかった。こんな事言ってくれるのは{火}のことを知らないからってのも分かっていた、それでも嬉しかった。この人がベラを見る目は普通の少女を見るやさしい目で、ルーアンダの人たちの目は怪物を見るような冷ややかな目だった。

ベラはこんな人たちを一瞬でとても好きになった。


その頃トナはベラが踊ってる近くでヘルとサナに会っていた。

サナはベラが踊ってるのを見て即座にベラの所に行ってしまった。

ヘルはトナと話してる。

「楽しそうですね」

「そうですね。ベラがあんなに楽しそうな顔してるの初めて見ました。ルーアンダでは道や市場を歩く時いつも無表情ですし、みんながベラを見てる目は冷たい目でしたから、笑うにも笑えないんですよ」

「そうなんですか、それは可哀想に」


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