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いぶきとあかりの異世界回想録♬  作者: おもち
第三篇 首都ローゼン
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第42章 ノア•デル•ルンデン

 

 ノアはどうやら、いぶきを待っていたらしい。


 「よっ。さっきはカッコよかったぜ〜? パシーンって。もしかして、アンタ、マロンが言ってた神官さん? なるほど。これからアイラとカフェいくんだけど、アンタもどう?」


 こいつ、マロンの兄貴か。

 アイラの話を聞きたいので、いく事にした。


 道すがらノアが話しかけてくる。

 「イジメっていうの? ああいうの俺も嫌いなんだよね。 アンタもああいうのは苦手? まぁ、神官だし、そりゃあそうだよな」


 『こいつに下手に気に入られたら、マロンの嫁にされかねないかも』

 そんな不安を感じ、そっけない態度をする。


 「別に……。ただ、ウルズがバカにされて腹が立っただけ」

  

 「ふーん。ね。あんたテスター?」


 意外な質問に、驚きが顔に出てしまった。


 「あー、やっぱり、テスターなのね。そうだと思ったよ。まぁ、俺もなんだよね」


 「え、だって。あなた王子でしょ? 王様と家族なんじゃないの?」


 ちょっと話が飲み込めない。

 『NPCと家族なのにテスター!?』


 「まぁ、普通驚くよな。そうなんだよ。中にはNPCと家族としてはじまったテスターもいるんだぜ?」


 理解が追いつかない。

 NPCと家族としてはじまったとして、人間関係や認識の齟齬はどうするのだ。


 「んー。まぁ、なんとかなるもんなんだよ。例えば、うちの父。王は俺がテスターだと知って、その上で、他のテスターとの関係構築に活用しようとしているぜ。感覚としては、他人になったというよりは、息子が真の使命に覚醒したのに近いみたいだな」


 「他の人は知ってるの?」


 「NPC、この呼び方は好きじゃないんで、言い方を変えるな。この世界の住人には、まだ話してない。知られない方が、色々と有利だという王の判断だ。と、そろそろカフェに着くな。っていうことで、口裏合わせよろしくな」

 

 私は黙って頷いた。


 カフェにつくと、アイラがいた。

 他の生徒を呼んでいないのは、ノアなりの気遣いだろう。


 アイラと向かいの席につく。


 「さっきぶり」

 「ウルズの神官様だ」

 「いぶきでいいよ」


 改めて自己紹介を済ませると、性急かとは思ったがメイとの件について尋ねる。


 アイラはノアといると安心するのか、屈託のない表情で話し始めた。


 「メイとは昔は仲良かったんだよ。わたしたち幼馴染でね。たまにお父さんの手伝いでメイのお屋敷に行った時は、一緒に遊んだりしてた。

 それがね。ある日を境に、急に他人行儀な態度になって。最初はただ無視だったんだけれど、わたしに話しかけられるのも嫌だったみたいで、次第に今みたいな感じになっちゃった」


 「態度が変わった頃に、何か変わったことはなかった?」


 「ん。別になかったかな。確か12歳頃だったと思う。いつも通りだったよ」


 ノアが割って入る。


 「12歳っていうと、洗礼の儀を受けた頃だよな? いぶきは知らないかも知れないけれど、ルンデンでは12歳になると、豊穣の女神レイアの神殿にいき、洗礼を受けるんだ。すると、魔法の適正が分かるんだが……」

 

 アイラが頷く。

 「はい。そこでわたしは光の属性と分かりました」


 魔法には火•水•雷•土といった基本の4属があるが、その他に光•闇といったレアな属性が存在する。

 特に光は、聖なる属性とされ、高位の術者であれば、身分を超えて王族と結婚することも許される。


 実際に王族の方も、光属性に良い印象を持っていることが多い。

 ノアとアイラにしても例に漏れずであろう。


 ノアとアイラで交互に頷きあっている。

 『なんなんだ、こいつら。付き合ってるのか……?』

 なんとなくメイが面白くない気持ちが分かった気がする。


 「ノア王子には侯爵家からアプローチがあったり……」と、いぶきが言い終わる前に。


 ガチャ。


 ユリウス大学の制服をきた少女が店内に飛び込んできた。あれは……。

 メイの取り巻きの1人だ。


 少女は息を切らしてこちらに向かってくる。

 かなりの距離を走ってきたのだろう。額には汗をかき、髪も乱れている。

 

 「ハァハァ……。ノア王子。メイが見ず知らずの男達に連れていかれました。メイが来ないから様子を見に行ったら襲われてて。助けようとしたのに、怖くてできなかった。犯人は、ノア王子にこれを渡せと。メイに何かあったらどうしよう……」

 

 少女は泣きながら封筒を差し出した。


 ノアは封筒を透かして何かを確認すると、中の手紙を読む。

 そして、一瞬の逡巡の後、真剣な眼差しでこちらを見た。

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