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いぶきとあかりの異世界回想録♬  作者: おもち
第二篇 旅をする意味
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第30章 定期船「ル•マロン」2

 

 どこかの船室——。


 あかりは目隠しをされて椅子に縛り付けられている。

 口も塞がれていて話すことはできない。


 男達の話し声が聞こえる。

 「‥、なんで。違うだろ。金髪の方っていったはずだ。こいつどうするんだよ」

 

 「殿下。そんなことをおっしゃられましても。いまさら戻せませんよ」


 「殿下っていうな! あの女が起きてたらどうするんだ! どうにかしろ! 場合によっては。分かっているな?」


 わたしは‥‥。

 いぶきの薬を取りに医務室にいって、帰りにデッキの上で景色を見ていたら急に後ろから押さえつけられて。

 気づいたらここに居た。

 身動きができないから周りの状況は分からないが、話している男の1人はかなり偉いようだった。


 後手に縛られている縄を解こうと力を入れてみるが‥‥。

 

 んー。何もできない。

 守刀も取り上げられてしまった。

 

 今はまだ様子を見ることにしよう。

 この人達がどうしてわたしを誘拐したのかも知りたい。

 さっき金髪がなんとかって言ってたので、もしかしたら、いぶきにも関係があるかも知れない。


 

 いぶき達の船室——。



 いぶきは部屋の中を行ったり来たりしていた。


 あかりはどこに行ったのか。心配で心配でたまらない。

 頭を冷やして考えれなければと思うほど、気が急いて考えが纏まらない。

 船酔いのことなど、すでにどこかに吹き飛んでしまった。


 いぶきは自分の両頬をパシンと叩くと、改めて考えを整理することにした。


 まず、海には落ちていない(と、思う)。


 医務室で聞いたところ、あかりは酔い止め薬をもらいに来たらしい。

 医務室は船首側の入ってすぐのところにある。そこから敢えて、トイレがある階下に行くとも思えない。

 

 恐らく医務室を出て、そのまま甲板を通って船尾側に向かった。

 

 船尾楼は元々人の往来が多い。

 食堂に人が向かう夕方前の時間なら、尚のことだ。

 つまり、船尾楼内で攫われたとは考えにくい。


 ならば、襲われたのは甲板か。

 

 ‥‥だとしたら、どうやって?


 あかりはかなり強い。

 ラノベなら間違いなくチートキャラだ。

 しかも素早い。


 屈強な男が数名いたとしても、押さえ込んだり捕まえたりするのは困難だろう。

 下手したら、加害者が被害者に早変わりの残酷ショーになりかねない。

 

 こんな閉鎖された空間で狙うのだ。

 場当たり的な誘拐ではなく、あかりを狙い撃ちしたのだろう。

 だとすれば、下調べもしているはず。

 あかりの強さを知っていれば、真正面から両手が空いている時など狙うまい。

 

 船首楼の上側は屋上のような構造で、医務室から外に出るとすぐ頭上は(ひさし)のような構造になっている。この庇の下は、船首側マスト中腹の見張り台からは死角だ。


 だとすれば、医務室から出てくるのを扉の横で待ち、薬をもって出てきた来たタイミングを背後から狙われた可能性はある。

 

 そしてそのまま船首と船尾を繋ぐ渡り廊下ギャングウェイの陰を通り、船尾側まで運んだ。


 船尾楼に入ったとしても、2階、3階は人通りが多い。

 見つかることなく行けるとしたら、4階だろう。


 いぶきは一つの結論に達する。

 あかりが監禁されているのは4階だ。



 では、4階には誰がいるのか。

 あかりが、この船には身分の高い船客がいると言っていた。

 船の中を一巡したが、入れる範囲に貴賓室等はなかった。

 4階には、その貴賓とやらがいると思ってまず間違いないだろう。


 貴賓か‥。

 貴族か王族か。

 それについては、今ここで考えても仕方がない。


 貴賓が誰にしろ、1人で実行したということはないだろう。

 恐らく、数名の護衛が同伴していると思われる。


 そのへんを踏まえて、どうやってあかりを救出するかだ。

 

 残念なことに私は非力だ。

 その辺の底辺モンスターでも死ねる。

 護衛なんて倒せるハズがない。


 んー。

 んーー。

 んーーー。


 いい方法を思いつかない。

 非力でも出来そうなのは、ハニートラップ?

 ‥‥そんな度胸も時間の猶予もない。

 


 貴賓なら、きっとメイドを連れているだろう。

 ここはメイドに成りすまして潜入するか。


 メイドになり潜入

 ↓

 貴賓とやらを人質に

 ↓

 あかりを解放させる

 ↓

 あとは、あかりが暴れればなんとかなる。



 よし、これだ!!

 


 

 再びどこかの船室——。


 あかりを攫った男達の会話は続く。

 「殿下! こんなことが知られたら、私が陛下に叱られてしまいます」

 

 「だから、殿下って言うなって」


 「じゃあ、なんて呼んだらいいんですか? マロン第三王子!」


 「お前、わざとか? わざとやってるのか?」


 「いえ、しかし。殿下がご自分で殿下って呼ぶなって‥‥」


 「あー、いい。愛称ででも呼んでおけ」


 「愛称‥‥、私『チビくそマッシュルームデブ』しか殿下の愛称を知らないんですが、それで宜しいですか?」


 「宜しい訳ないだろう!! っていうか、愛称なのに愛のカケラも感じんぞ。それ言ってるヤツ連れてこい。わたし自ら処刑してやる」


 「いや、連れてこいって言われても不特定多数なんで無理です‥。あっ、ルナ王女も言ってましたよ。連れてきますか?」


 

 あかりは縄を解こうともがいている。


 おしゃべりな部下のおかげで、あかりをここに連れてきた首謀者の名前は分かった。


 マロン第三王子だ。


 そして、あかりを連れてきたのは人違いで、今のところは、あかりを積極的に害するつもりはないらしい。


 『第三王子って、この国の王様の三男だよね。それってすごく偉いよね』


 『いぶきが助けにきてくれるとは思うんだけれど、そんな偉い人って知らないで、殴ったり殺しちゃったりしたら‥‥大変!!』


 『わたしもいぶきもアビスに辿り着く前に死刑になっちうゃうかも。いぶきに危ないことしないように知らせないと!!』


 あかりの心配も尽きないのだった。

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