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いぶきとあかりの異世界回想録♬  作者: おもち
第二篇 旅をする意味
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第19章 冒険者ギルド 1


 いぶきは歩きながら、あかりのスキルについて確認することにした。

 まず、クラスインフォメーションの内容について、あかりに「クラス説明の下に『スキル』欄はある?」と聞く。


 あかりは首を横に振る。


 いぶきは考える。

 『魔法使いじゃないにしても、何かしらの物理スキルはあるはずだ。何も表示されていないってことは、まだ何も覚えていないだけなのか?』


 続けて、いぶきは、「盗賊を倒した時の技は? 何かのスキルじゃないの?」と聞いたが、あかりが言うには、現実世界で覚えた短刀居合の技とのことだった。


 いぶきは『現実であれできるの? この人、こわっ』と別の意味で驚いた。


 推測の視点を変えてみる。

 例えば、いぶきの場合は、回復を強く念じると、聖典の触媒が出現する。

 あかりの場合は、そもそも自分がどのスキルを使えるのかすら分からないから、何を念じていいのかも分からない。しかも、触媒になるアイテムが何なのかも不明だ。


 『お手上げだな』


 なんとか1週間後までに、あかりに魔法を覚えさせないと、とんだ経歴詐欺ペアになってしまう…。

 ギルドネットワーク(あるか知らんけど)で指名手配されたりして、パーティーメンバーも探せなくなって、アビスの討伐もあかりと2人になって。

 布装備の後衛2人パーティーでラスボス討伐。いやぁ、無理ゲーすぎるでしょ。


 ……などと、いぶきの頭の中では、不幸な連鎖の想像が広がるのだった。

 

 小さい街なので、そうこうしているうちに目的地のギルド会館についた。

 そこは木造二階建ての古びた雰囲気で、いかにも腕っぷし自慢の荒くれ者がいそうな建物だった。


 ギィ……。


 いぶきは、鉄板が打ち付けられた重い木の扉を開ける。


 中は、向かって右側はバーカウンター、左側がギルド受付のようだった。

 受付には人がおらず、カウンターには木製ジョッキでビールを飲む冒険者らしき大男が1人いる。


 男はソフトモヒカンのような髪型をしており、動物の毛皮を雑に縫い付けただけの簡素なベストを着ている。


 男は、いぶき達に気づくと、こちらを睨みつけた。

 そして、無精髭を生やした口元を気だるそうに開き、低くざらついた声でこう言うのだ。


 「地獄の一丁目にようこそ、お前らも死にたがりのバカどもか?」


 それを聞いて、いぶきは『テンプレートきたきたきたー!!』と内心大はしゃぎだった。

 こんなベタなNPCがいてくれて、ほんと嬉しい、と思う。


 男は、おもむろに立ち上がると、左側の受付カウンターに移動した。

 そして、突然、事務的な口調になり「新入りですか? ここに名前を書いてください」と言った。


 そのあまりの温度差に、いぶきは思わず『えっ?』と口に出してしまう。


 そして、心の中で、

 『おーい、さっきまでのワイルドさはどこいったー? って、このモヒカンが受付なの?

  この人で大丈夫ですかー? 

  いま、何かお酒みたいなの飲んでましたけど!! なんかコレが私らの利害関係人だとちょっと困るんですが』

 と激しく突っ込むのだった。

 

 

 いぶきは心の底から女神ウルズに祈った。


 『女神様、この人、チェンジでお願いします!!!!』

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