アルゼンチンの政権交代は日本に益ばかり!? 実は対中国の上で重要な選挙だった!
筆者:
本日はご覧いただきありがとうございます。
アルゼンチンと言えば、最近まで情けないことにサッカーのメッシ選手しか思いつきませんでした。
BRICSに加入するかしないかという段階でようやく注目しているとかそんな感じです。
質問者:
久しぶりに全面同意できます……。後は農業が盛んな国ということぐらいでしょうか?
そんな南米の国ですが、今回の政権交代が日本とどう関係があるんですか?
筆者:
正直なところ、直接は関係ありません。今のところ貿易額も少ないですし、すぐには経済的なプラスはないでしょう。
質問者:
ないんかーい!
筆者:
まぁ、落ち着いてください。
アルゼンチンが政権交代したことで何が変わるかというと。
「BRICS参加国の内訳」
です。
これまでのアルゼンチン与党はBRICSへの加入を申請し、
23年8月24日には24年1月からのBRICSへの新加盟国として加わる6カ国のうちの1カ国であることが発表されていました。
しかし、新政権ではBRICS経済から大きく舵を切り、真逆と言ってもいいドル経済に入ることを宣言しています。
恐らくBRICS加入も取り消すでしょう。
つまり、この選挙はBRICSとして生きるかドル経済圏で生きるかの選択選挙だったわけです。
質問者:
なるほど。そういう視点で見ると結構大きな転換点だったんですね。
これまでの国民が経済状況に不満があったということなんでしょうか?
筆者:
ちょっと歴代のアルゼンチン政府として緩慢なところがあるのか、財政政策に失敗して定期的にデフォルトを起こしているみたいなんです。
2001年、2014年、2020年と大きなデフォルト3回を含め計9回もデフォルトが起きています。
そんな中、これまではアルゼンチンペソという自国通貨建てでしたが、ここ1年でも4分の1の通貨安になり、物価上昇率は直近の10月は前年比143%、インフレが年率で100%を超えるのは8か月連続となるなど大変なことになっているようなのです。
質問者:
アルゼンチンは農業大国なのに食品がそんなに上がるだなんて……。
筆者:
どうして農業大国なのに食料品がインフレが起きているのか、詳しくは調べても分からなかったんですけど、アルゼンチン中央政府の経済管理能力があまりにも酷いんでしょうね。
支持率が下がるたびにバラマキをやっているようですが、それらがインフレに繋がっているみたいなんです。
22年にはクリスティナ・フェルナンデス・デ・キルチネル副大統領(大統領を2007年~15年歴任)に対し、賄賂の見返りとして利益の多い公共事業契約を自分の友人に斡旋した汚職の罪で禁錮6年と公職永久追放の有罪判決が出ているぐらいですからね。
良い農場を持っているところとそうで無いところの格差が酷いみたいで、貧困率は全人口の約40%に達しているとされています。
日本で言う農協みたいなところが物凄いピンハネをしているかもしれませんね。
そんなわけで、新政権はアルゼンチン中央銀行の廃止とドル通貨制度移行を訴えています。
普通なら、自国通貨建ての方が日本のようにメリットがあるのですが、
ここまで放漫な財政状態でのインフレですと、多少の手数料を払ってでもどこかの管理下にあったほうがマシだという判断は理解できます。
※日本もアルゼンチンのようになるな! とかいう経済学者が出ないことを祈るばかりです。日本はどう見ても貧困者向けの経済対策が足りません。
質問者:
ドル経済入りすることでアルゼンチン国民にメリットがあるのでしょうか?
筆者:
今も、アルゼンチンペソの信用が無いので、結構今でもドルに交換して取引しているみたいなんですよね。
最低でも極端な通貨安によるインフレは防げると思います。
ドル経済に完全に移行することはドルにとってもリスクがあると思うので、むしろ世界的なドル安になるでしょう。
そうなると、日本としても輸入業者としては楽になるのです。
質問者:
それなら日本にとってもいいかもしれませんが、
果たしてそんなに大胆な公約を実行できるんでしょうかね?
筆者:
そこは注目ですね。
ただ、またすぐに政権交代が起きてしまう可能性もあるんです。スペインに植民地支配されていた影響国民の多数の70~90%がカトリック教徒と言われています。
そんな中で、ハビエル・ミレイ新大統領はアルゼンチン出身のローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇を侮辱したことがあるんですね。
そのために、今は経済が酷すぎるので政権を取れましたが、議会では少数派のようですし、このまま経済回復しないとなると、宗教的な問題ですぐに交代という可能性もあるのです。
質問者:
7割が信仰している宗教のトップを侮辱したら流石に国民の怒りが爆発しそうですよね……。
日本としてはこの新政権についてどう評価したらいいんでしょうか?
筆者:
日本としては、否が応でも対米従属の状況なので親米政権が新しく誕生したことを素直に喜んだ方が良いと思います。
アメリカと中国の「代理選挙戦争」として、2022年末では同じ南米のブラジルがルラ大統領(親中政権)になったので、どうなのかな? と密かに注目していました。
BRICS候補の国だったので間違えなく「中国の選挙介入」はあったと思います。
それにもかかわらず、親米政権になってBRICS加入取り消しになってしまうのは中国の世界的選挙戦略にも陰りが出てきた可能性はありますね。
質問者:
確かに、中国は結構「債務の罠」とかで事実上の従属国を沢山作っていますから、
外交面として選挙の勝利は大きいですね。
筆者:
日本は貿易としては、アルゼンチンの輸出相手国として28位、輸入相手国としては11位ということのようです。
ですが、通貨が安定したならすぐにでも取引を増やしてアルゼンチン経済と新政権を支えてあげたほうが良いと思います。
小麦・トウモロコシの生産量は世界有数です。大豆加工製品なども輸入しているようです。
食糧安全保障としては輸入先を増やしたほうが良いですからね。
アルゼンチンは、第二次大戦後に日本に物資を送ってくれたりと比較的親日の国なので、
ここで外交努力をすれば必ず良い方向に行くと思います。
まぁ、日本の政権が理解しているかどうかは分かりませんけど(笑)。
質問者:
日本では現在のところ農業力が無さすぎますからね……。
筆者:
農業を軽視していると言ってもいいような政策ばかりですからね。
それでコオロギだのゲノム編集だの安全性が確認されていない危うい食品ばかり推進しようとしているんですから笑えないです。
最近世界でも異常気象も多いので、とりあえず輸入先を増やすことはメリットとして大きいでしょう。
また、石油や天然ガスなどの鉱物資源もあると言われていますが、開発能力が無く、環境汚染などの影響から全く開発が手つかずのようです。
最近中東がまたきな臭くなっているので「石油の97%中東からの輸入」という状況から脱却していく必要はあると思います。
23年11月19日にはイエメンの親イラン武装組織が日本郵船が運航する貨物船を紅海でイエメンの親イラン武装組織フーシ派に拿捕されたというニュースがありました。
質問者:
今のままですと中東情勢は長期化しそうですからね……。
イスラエルが目標としている「ハマスの殲滅」とかかなり時間がかかりそうですよね……。
筆者:
ハマスはレバノンやカタールなど国を跨がって存在していますし、しかも民間人に紛れてゲリラ戦を展開していますからね。
「ハマス殲滅=パレスチナの民族浄化+中東諸国との戦争」これぐらいの認識に近い感覚でいいと思います。
今後も中東が危険になる可能性はどんどん上がっていくことが予想されますからね。
そのためにはアルゼンチンと手つかずの天然資源の共同開発などを行い。日本に優先的に輸入できるようなシステム作りが大事だと思います。
海外支援ならこういう長期的な戦略をもって行って欲しいところです。今のところただ単に世界に金をばら撒いているようにしか見えないんで(笑)。
質問者:
資源と言えば先日、筆者さんが紹介された人工石油の技術が普及して欲しいですね……。
筆者:
話は逸れますがあれが話題になっていないことについて調べましたが「利権」の問題もありますが「税金」の問題もあるみたいです。
恐らくガソリン税みたいに滅茶苦茶税金をかけようという魂胆が政府にあるので“差し止め”という段階なんでしょうね。
技術面においての不安はないと思うのですが、値段の面では今の石油と同じような価格に残念ながら落ち着いてしまう可能性が高い気がします。
それでも、人工石油の実現は輸入による供給面での不安は無くなりそうなので大きく価格が上昇する可能性が低いのは良いとは思うんですけどね。
質問者:
なるほど、そうなるとやっぱり石油についてはまだ考えなくてはいけないようなんですね……。
筆者:
本当に下らないことで国益を損ねているんですから、政府そのものが「害悪」と言って良いでしょう。
とにかくアルゼンチンにアプローチをかけることは、農業・資源面において日本にとってメリットがあることだと思います。
ミレイ新大統領を助けてあげることはアメリカのためにもなりますから、「従属国日本」としても活躍の場面だと思うんですけどね。
しかし、アルゼンチン大統領選挙は残念なぐらい話題になっていないですね。
まぁ、マスコミとしては中国に忖度する勢力もあるのであんまり報じたくないんでしょう(笑)。
アルゼンチンについてメッシ選手以外のことももっと知ってもらえればと思いました。
ということで、ここまでご覧いただきありがとうございました。
今後も時事問題や政治・経済、マスコミの問題などを独自の解説でお伝えしますのでよろしくお願いします。