落ちこぼれの恋と鳴らない電話
平成X年、12月13日。
僕は告白した女の子に振られた。
僕は好きな人がいる。
好きな人の名前は紗那。
色白で落ち着いた性格で綺麗な女の子だ。
吹奏楽部に所属しており、
彼女の演奏の音色は綺麗で
いつも聴いていてドキドキした。
僕は教室で彼女に声をかける。
「よかったら、放課後、
公園で待っててくれない?
話したいことがあってさ」
公園では彼女と雑談をした後、
最後に勇気を振り絞って言った。
「俺・・・喧嘩っ早いし・・・
ドジだしダメかもしれないけど・・・
紗那のこと好きなんだ・・・。
つ、付き合ってくれないかな」
「え?いきなり言われても・・・」
「やっぱ俺じゃダメかな・・・」
「・・・」
「じゃ、じゃあ今夜、
電話で返事してくれない?
あの、中学の連絡網に
俺の家の電話番号・・・
あるから・・・」
「うん・・・」
「告白のこと・・・
嫌だったら電話、
かけないでいいから・・・
ごめん・・・じゃあ帰るよ」
その夜、
僕は返事を待った。
家の本棚にある、少年漫画、小説、
オカルト雑誌や将棋で時間を潰す。
ブラウン管テレビもつけてみる。
深夜番組のお笑い芸人の笑い声が
ひとりぼっちの部屋にこだまする。
畳の上にあぐらをかきラジオをつける。
この土地では釜山からの
ラジオ電波が拾える。
韓国の音楽やニュースなぞも聴いてみる。
深夜までずっと電話を待った。
その夜、いくら待っても
紗那からの電話は鳴ることはなかった。