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兎にも角にも

足を止めた芹沢さん私たちに手を向けて静止を促した。


「何かくる…」


その瞬間、あたりの草原に何かが這う音が聞こえてくる

そこらかしこからである


「多すぎるな…一人じゃ無理か…」

「え!?なに!?何がいるの!?」

「わかりませんが…獣の類…」

「仕方ねぇな」


塚本さんはそう言うとスーツの内側から拳銃を取り出した


「うわっ!え?捜査一課って拳銃持つんですか?」

「特殊な状況だったんだ」


そう言うと塚本さんは拳銃から一発だけ弾を抜き投げ捨てた。


「塚本さん!三人を囲んで背中は任せました!」

「あんま期待すんなよ!」


わたしたちを挟むようにして二人は背中を合わせる。

その瞬間、草の中から何かが飛び出してきた。

小さな小動物、しかしそれであり素早いものだった。

それを芹沢さんが軽く切り払った。

あたりに血が飛び散る。


それを見て楓ちゃんの可愛い瞳から可愛さが消え失せたのを私は見逃さなかった


「ウサギだ!」

「は…はやすぎて追えねぇ…」


塚本さんは狙いを定めるが拳銃じゃ無理がある

左右に飛び回っているのだ。当然だ


「うををを!」


塚本さんは拳銃をぶっ放すがその速さに当たるはずもなく全て無意味にきす。

その間に芹沢さんは四匹くらい切り刻んでいた。


「嬢ちゃん!ダメだ!俺じゃどうにもならん!」

「無理です!耐えてください、守りながらってすごく難し…っ!ダメだ!避け!」


正面から一匹飛びかかってくる。


「くそっ!」


塚本さんがそのうさぎを銃底で殴り。落ちたところに発砲しとどめを刺した。


「右っ!」


そう芹沢さんが言った瞬間、私の真横から三匹くらいのウサギが草原から飛び出してきた。全く見えなかった。


「ちょぉぉぉ!」


私は二人を庇うように覆い被さる。可愛い二人を傷つけさせるわけにはいかない、可愛い私と可愛い二人、トロッコ問題答えは簡単である。

しかし、覆い被さった時ある異変に気付く。楓ちゃんがその場にいなかったのだ


「へ?」


その瞬間、あたり全体を血飛沫が包み込んだ、

飛びかかってきたウサギ三匹のウサギの頭から血が噴き出していた。


「ふえ!?」


私は目を見開いた。その三匹のうさぎが飛び散る先に着地したのは楓ちゃんだったのだ。

しかもその手には日本刀があり、さらには不敵な笑みを浮かべていた


「いいねぇ…」


楓ちゃんはそう言うと日本刀をひゅっと振るう、その瞬間、あたりに風が吹き荒れた。

可愛い制服にに使わない勇ましい姿に私の心はキュッとなった。

次の瞬間、私の視界から楓ちゃんが消えた。

その動きを見て驚いていたのは芹沢さんだった


「はっや…」


芹沢さんは翻弄しようとするウサギを捌きながらこちらに目線を向けている。それほどまでに楓ちゃんの動きはすごかった。目にも止まらぬ速さでそこらかしこから血飛沫が上がる。それを見て塚本さんは警戒しながらも私たちの元に下がりながら拳銃を構えている


「あの嬢ちゃん!どうした!急にめちゃくちゃ強くなってんぞ!それにあの刀、どこに隠してた!?」

「わかりませんよ!私が守りたかったのに!」

「嬢ちゃんも大概だな…」


芹沢さんは二、三歩下がりながらこちらに話しかけてくる


「キリがないです!この数!一掃もできそうですが護りながらだとやはり…」


そう言いながら芹沢さんは飛びかかる三匹をさらに切り倒した。楓ちゃんはものすごい速度でどんどんと数を減らす。しかし、普通に百体近くの量を私たちに被害を出さないようにと言うのはとても難しいことである。


「え!?魔法!?…うん…うん…え!?私が使うの!?」


ホームズは困惑しながらロディアと話しているようだ


「え?うん…うん…わかった…やってみる」


ホームズは頷きながら目を瞑った。

その瞬間、ホームズの体に紫のオーラが纏い始めた。


「ふぉぉぉ!?」


私は覆い被さっていた体を起こして、というより弾かれるように1メートルくらい吹き飛ばされた。


「皆さん!伏せて!」


彼女はそう言うと立ち上がり手を大の字に開いて呪文を唱えた


『トータルリレアズ!』


その瞬間、衝撃波が彼女を中心に広がった。重低音を響かせながらその衝撃波は広がっていく

私と塚本さんはその爆心地ちょうどど真ん中だったので巻き込まれなかったが他二人は普通に巻き込まれた。


「ぐわっ!」

「よっと!」


芹沢さんは普通に背中でくらい、楓ちゃんは刀を思い切り振ってその魔法を切り裂き受け止めた。

そしてその魔法はドーム状に広がり続けうさぎどもを蹴散らし始める。

しかし、殺傷には至らず吹き飛ばしているだけのようだ。


「んー!!」


ホームズは粘りながら体をブンブン振っている。

直撃した芹沢さんは起き上がり、楓ちゃんはつまらなそうに戻ってくる


「なんか…衝撃波だけって感じですね、まぁ、巻き込まれたことに関しては文句しかないですけど…」


芹沢さんは少し不満げだった。


「ごめんなさいぃぃぃ!」


ホームズは謝るがすぐに続けた


「それで!このうさぎは群れのリーダーが居るみたいなんですけど!そいつ倒せば!散り散りになるそうです!何でも感覚共有とかを持ってて全員がその個体と同じ動きをするとか…」

「なるほど…」


楓ちゃんはそう言うとスッと目を凝らした。

しかし、ホームズがその場に倒れ込んでしまった


「うぅ…今の呪文、単純なんで、魔力全部使うらしいんですよ、なので…しばらく動けません…あぁ、落ち着く…」

「ありがち!?てか魔力って何!?」


私が突っ込んでいる間に楓ちゃんがキッと目を見開いた


「そこだ!」


その瞬間、目の前から楓ちゃんが消えた。

いや、速すぎて見えないのだ。

瞬きする暇もなく、楓ちゃんが消えた場所から数百メートル先に仁王立ちしていた。

刀を地面に突き刺している。

青い制服に靡くロングスカートに刀、ものすごく様になっている。かっこいいぞ


「え?…終わり?」


あたりにあった獣の気配を全く感じなくなった。

楓ちゃんが刀を振り、くるっと回して納刀した。そしてこちらに気まずそうに歩いてくる


「多分!今、私が殺したのが群れのリーダーだと思います!他のうさぎは散り散りにさっていきました」

「…えぇ…」

「やっぱりだいぶ危険ですね、この辺り…楓ちゃんの力がなければ守れませんでした。申し訳ありません」

「いや…俺ももっと射撃練習をしておけばよかった…て言うか…楓ちゃんと芹沢さん、それにホームズは何かしら能力みたいなの出てきたのに俺ら二人は何もねぇのか…俺もシティハンターとかゴルゴ13みたいな能力欲しいんだがな」

「シティハンター…?能力ありましたっけ?読んだことないですけど」

「…ウルセェな、若者の話題について行くのは大変なんだよ…にしても楓ちゃん、その刀、何だ?」


塚本さんはそう言うと楓ちゃんは自分の刀を見る。


「わかりません…なんか、急に戦いたくなって足が動いたら、手にこれが握られてたんです。野蛮だと、母上に怒られる…」


楓ちゃんはそう言うと刀が手からスッと消えていった。

つまり、魔法?


「…いいなぁ、便利…」


芹沢さんはそう言いながら自分の刀を布で丁寧に拭くと鞘にしまい腰に巻きつけた


「まぁ、もう隠す必要もないでしょう」


塚本さんは何も言わずに頷きながら


「ホームズ、俺が担ぐけどいいか?」

「いいですよ…そこまでレディじゃないです…」

「私がおんぶしたい!」


ホームズはしばらく黙っていたが重い口を開き


「……塚本さんで…」


ふられてしまった。

塚本さんがホームズを背負うとホームズはぶつぶつと何か言い始めた。先程の黒いモヤは引っ込んでいる。


「馴染み始めて私の中に引っ込んだみたい…さっきの呪文不発だったんだぁ…」

「逆に不発で助かったかもしれないですね、楓さんはまだしも私は吹っ飛ばされてたと思います…」

「ごめんなさいぃぃ!」


塚本さんの背中でブルブル震えながら謝っている。塚本さんが嫌な顔をしているので交代を申し出たが断られた


「まぁ、おそらくロディアは不発するところまでよんで撃たせたんじゃない?…けどこの調子だと街に辿り着くまでに無事でいれるかどうか…」


芹沢さんは再び歩き出そうとした時、再び芹沢さんが刀を抜き放った。

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