ジェネレーションギャップ
歩き始めた芹沢さんの後ろを引っ付くように歩いているのは明治時代の女の子ですぐ後ろを私と病院服の女の子、最後尾を塚本さんだ。
殿を進んで受け入れてくれるのはさすが警察官、頼りになりますしかっこいいですね
『まず、私は探求の英霊、ロディアという…その名の通り探究心を司る英霊だ』
「英霊?」
「話を全部聞いてくれ…と…」
困惑しながらもそのロディアという謎のモヤと通訳をしてくれる病院服の子、可愛いね
『この世界は1000年前の魔王が復活し危機が訪れようとしている』
「ドラクエ?」
「?」
「?」
「?」
「ドラクエも伝わらんのかい!」
ドラクエ発売、1986年
「何なら伝わるん!?」
ジェネレーションギャップどころじゃない!
「まぁ、いいや…で?やっぱり異世界?」
おそらく円滑に話を進めるのは私しかいないだろう、この中で、ナルニア国物語くらいなら知ってる人もいそうだけど…
『異世界…と思ってくれて構わない、そして真っ先に気になっているであろう、どうして君たちがこの世界に呼ばれたか、それは私にもわからない』
「わからないのか…」
『身体能力についてはおそらくだがこの世界に来た際の補正であると考えて間違いない』
「補正…?」
芹沢さんが嫌な顔をした。いや、前を歩いているので顔は見えないのだが
しかし、確かに、補正で片付けていい範疇ではない、地面を抉り飛ばすほどの突風などドラゴンボールクラスの話だ
『無理もない、この世界の上位者の戦いはあのレベルだ。前に来たものなんか元人間のくせして種族ごと変わっていたこともあった』
そう言うと病院服の女の子が言うと徐に自分の拳を地面に叩きつけた。
「いったぁぁい!何もないじゃん!ほせい!…え!?人による!?先に言ってよ!え?…あぁ…うん…そう…よろしく…」
女の子は照れたように頭をさするとこほんと咳払いをした
「えーっとで?何だっけ?あぁ、そうそう補正補正、…うん、なるほど…」
女の子はロディアという自分の後ろから出たモヤと話している。
『少なくとも、この世界に連れてこられたのは君たちだけじゃない』「え?そうなの?………えぇ…」
「共有してくれ」
「あぁ、すみません塚本さん…えっと…私たち五人以外にも数年前からこの世界に飛ばされてきている人が複数人いる…だって…」
「複数人…ね…」
塚本さんは諦めたようにため息をついた
「俺の追ってるヤマん中にもこの件で神隠しにあった件があるのかねぇ…」
「それで?英霊は?」
『英霊は…千年前に魔王が封印されたのちに現れた根元なる悪を倒した後に作られた神のような存在だ。人口の神だ…力の英霊 アレス、知識の英霊、アマテラス、探求の英霊 私…ロディア、運気の英霊 アムルス、死の英霊 プルート、贖罪の英霊 アスラン、裏切りの英霊 ムルムット、勝利の英霊 ニケ、この十柱から成り立つ』
「…結構すごいやつじゃねぇかこのモヤ」
「にしてもこっちの世界にもいる名前が多いね、アマテラスとか日本の神様でしょ?」
「そうなのか?」
「そうですね、アマテラスは日本の神様です」
芹沢さんは頷きながら進む、足を止めるつもりはないらしい
『十英霊はこっちに来た人にしかつかず原住民にはつかない、だから彼女に憑いても何ら驚くことはない…』「どして?」
「て言うかこっちに人がいることは確定したんだな、俺アメさんの言葉喋れんぞ」
「アメさんって別にこっちの言語が英語とは限りませんよ」
「限らないと言うか極限的に低いでしょ、その可能性」
『言語に関しては問題ない、先人たちが言語の壁を越えようとあらゆる魔法や魔道具を開発している。不自由することはないはずだ』「すごーい」
先ほどから病人服の女の子が感想を挟んでくるので若干わかりづらい
いや、それよりも…
「君、名前は?」
私は病人服の女の子に聞いた
「え?」
「いや、さっきから病人服の女の子って…そっちも綺麗な制服の女の子だし」
それに私も名乗ってない
「確かにな積極的に聞いてた訳じゃないが、ずっと嬢ちゃんっていうのもな」
「芹沢です。」
「さっき聞いた」
「いえ、忘れてないかと」
芹沢さんは暇になったのか刀を抜いて草を切りながら進んでいる。いや、多分足元に危険物がないかの確認だ。
まぁ、とりあえず私が最初に名乗ることにした
「私は…ルカです」
それを聞いて制服の子も名乗った。
「私は楓です」
「今風!楓ちゃんね!」
「…今風ですか?」
昔の人は何々子とかそういうイメージだ、
「そんで、嬢ちゃん、病人服の方のな?名前は?」
塚本さんが聞くが彼女は目を逸らした
「わかりません…覚えていないんです」
「…そうかわかった。すまなかった」
「でも呼称がないのは困りますね、なんて呼んで欲しいとかあります?」
芹沢さんが聴くと彼女は少し悩んだように首を傾げるが
「金田一か明智」
「え?何で?」
楓ちゃんが首をかしげたが他全員は納得したように頷く、探偵好きだと
金田一耕助 1946年
明智小五郎 1924年
「じゃあホームズでいいか」
塚本さんが適当に言うと病人服の女の子は嬉しそうに体をぴょんぴょんした。
「ホームズ…なんです?それ…」
楓ちゃんは首を傾げる
シャーロックホームズ 1887年
明治三年、つまり1870年って何か娯楽あったの?
そんな会話をしながら歩いていたらふと芹沢さんが足を止めた