少女の日常
「さぁ、今こそ目覚めの時です。魔王様」
世界はあなたを待っております
「悪という正義を持ったあなたを」
あなたを屠るものたちとともに
「お目覚めください、数百年の眠りから」
数千年の沈黙から
「今こそ目覚める時です」
それこそが今この世界に最も必要なことなのですから
*
「んがっ!」
可愛い私は電車の中で目を覚ました。
変な夢を見ていた気がする。
「ふぅ…」
と息を吐き今日を思い返す。
とても楽しい時間でした。映画を見るならやはり亀有ですね。
そんな帰りの電車の中ホクホク顔で座っていました。
「それにしても…」
私はあたりを見渡す。いくら平日の昼間とはいえ全く人がいない
いや一人、私とは対角線上の席に誰か座っている。遠くて顔までは見えないがおそらく黒い髪の女の子だ。可愛い子かな?
平日の昼間、まぁ、もちろん学校はサボって映画を見にきたのだけども
お昼には間に合うかな?
「ん?」
私が視線をさっきの黒髪の女の子の方に向けた。そのとき目があった気がした。
そしてそれを待っていたかのように女の子がスッと立ち上がり、ちらっとこちらを向いた
薄着の黒いワンピースを着て黒髪を靡かせる。顔もとても可愛く私は思わず声をかけそうになったが彼女の耳を見てそれを止めた。
めちゃくちゃピアスが入ってた。それもギャップで似合ってはいるのだが私は目線を逸らしてしまった
女の子はツカツカとこちらに歩いてくる。
…?なんでこっちに?
そう思ってちらっと見ると、右手にナイフが握られていた
「物騒!え!?なになに!?」
女の子はずっとナイフを構えると私に向かって突進してきた
「ちょちょちょちょ!」
急な出来事に思わず立ち上がった瞬間
ガキンっ!と電車から変な音が聞こえ、ものすごい衝撃とともに私は意識を落とした