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第82話 自操遊戯


「『雷雨(カテギータ)』。」


強力な雷の雨により、目の前に広がる魔物の軍勢は一瞬で灰と化す。


「汝らごときが触れられるとでも思ったか?」


上空からワイバーンのような巨大な竜の魔物がゼウスに襲い掛かる。


「いい所に現れましたね」


心理の略奪(ケリュケイオン)


ヘルメスは手に持つ二匹の蛇が交差し羽の生えた杖で魔物を一突きする。


杖に触れられた魔物は、心を入れ替えたように突然姿勢を低くし背中に乗るよう促した。


「それでいいのです」


ゼウスとヘルメスは堂々と魔物の背中に乗り込んだ。


「相変わらず回りくどい能力だ。歯向かう者は殺してしまった方が速かろう」


「まあそう言わずに。少しでも楽できた方がいいじゃないですか」


ゼウスは鼻を鳴らす。


竜の背に乗った二人は見る見る魔物の群れを追い越していく。


ガイアは遠くでゼウス達を乗せたワイバーンが迫ってくるを捉えた。


「もう! 私の可愛い子をあんな使い方して!!」


ワイバーンは高速で羽ばたき、通常ではあり得ない速度で神殿に迫る。


ワイバーンの身体は徐々に悲鳴を上げ始める。


負荷に耐えられなくなり肉体から血が噴き出した。


「脆弱ですね。せめてあと少しもってください」


神殿の真上を通過するところで、限界を迎えたワイバーンの肉体はバラバラに朽ち果てた。


「『雷雨(カテギータ)』。」


落下しながらゼウスはガイアに向かい雷撃を降り注ぐ。


「ちょっと! いきなり?!」


ガイアが手をかざすと、彼女を囲うように地面が盛り上がり重厚な土の壁を作り出した。


巨大な土のドームが激しい雷撃を全て受けきった。


「数百年ぶりの再会だと言うのに、随分なご挨拶ね?」


「フン。ノスタルジックに浸りに来たのではない」


「単刀直入に言う。貴様の千里眼が必要だ。降伏して私と共に来てもらおう」


ガイアは腰に手を当てむくれる。


「もう! それが人にものを頼む態度かしら?」


「勘違いするな。頼みに来たのではない。命令しに来たのだ。貴様に選択の余地などない」


ガイアは深くため息をついた。


「あなたはそこまでして世界を手に入れて、一体何がしたいと言うの? 争いなんて何も生まないわ。いいえ、何も生まないどころか終わりなき悲劇を繰り返してしまう。そんなの、誰も得しないと思わない?」


「私はこの星に生きる全ての生物の頂点。この星の指導者として平和な世界を創造し導いていく使命があるのだ。そして、愚かな人間どもが再び間違いを犯さぬよう監視せねばならん。貴様のような凡神には、私の抱える問題など理解できまい」


「その指導者様が自ら進んで星の寿命を削っているのをご存じないのかしら?」


「私に歯向かう者は口を揃えてそれを言う。そんな安い挑発に乗るとでも思っているのか? 人間ごときが分かった気になり神に意見するなどあってはならぬ。結果的に、そのせいでウラヌスは滅ぶ事になったと言ってもいい。私は同じ轍は踏まない。不安因子は確実に排除する」


ガイアは苦笑いする。


千里眼(プロフィティア)に抗ってみようと思ったのだけど、やっぱりダメみたい」


「分かってはいたけど、これ以上のやり取りは無意味ね。あなたは完全に誤解している。私が、いえ他の誰が気付かせようとしても、今のあなたには届かない」


ガイアの背中の紋章が光り輝く。


「そんなに今の地位を追われるのが怖い?」


「面白い事を言う。この私が怯えているように見えるか」


「そうよ。これでも私、洒落を言うセンスはあると思うのよね。アッフィーだっていつも笑ってくれるし」


ガイアの前に巨大な土の円柱が突き上がる。


やがてそれは光に包まれゴーレムの姿に形を変えていく。


「いい獲物が現れましたね!」


心理の略奪(ケリュケイオン)


ヘルメスは隙を突いてゴーレムを一突きする。


「え・・・?」


ゴーレムは拒否するように剛腕を振りかざしヘルメスを吹き飛ばした。


「うわっ!!」


「ごめんなさいね。私の扱う術はちょっと他の神とは毛色が違うのよね♪」


エーテルは生命の体内を絶えず駆け巡るエネルギー。


普通どのような生物であっても、体内に流れるエーテルの循環に身を任せている。というより意識していない。仮に意識できたとしても、その流れに干渉しどうにかする事は不可能である。


基本的に生物を構成するエーテルの仕組みは同じ。


ガイアやアフロディーテをはじめとする地上領域アースに生きる神や人間は器用な者が多く、このエーテルの流れを敏感に感じ取る事が出来る。


アフロディーテの持つ魔法の帯ケストスもそういったアース民ならではの特性である技術の結晶である。


そしてガイアはエーテルの操作を無意識下で行う事ができる。まるで片手間で編み物をするかのように自身に流れるエーテル及び使用する神術のエーテルの流れを常に変え続けている。


「私の使う術は全て、私以外が主導権を握る事は不可能よ。外的要因で私や私の術を操る事はないって事ね♪ まあ、数が増えたり遠くなるとどうしても制御が難しくなっちゃうけどね」


「私の目の届く範囲では君の能力は私には通じない」


「・・・なるほど。道理で」


ヘルメスは苦笑いする。


ゼウスはすかさず雷撃を放つ。


ゴーレムはガイアの前に立ちはだかり雷撃を受け相殺させた。


「貴様自体はさほど脅威ではないのだがな。そのガラクタが目障りだ」


「あら? そう言うわりには私の千里眼(プロフィティア)を欲しがっているじゃない? 素直じゃないわね~」


ガイアはゼウスに向かいウインクしてみせる。


「貴様・・・・」


全知全能(アイオニオン・キーナ)


ゼウスは右手を天に掲げる。


「『裁きの天雷(ディカスティース)』。」


辺りは薄暗くなり厚い雲に覆われ、低く轟音が木霊する。


「あら? そんな怒るような事言ったかしら?」


ガイアは厚い雲を見上げ首を傾げていた。


ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!


また、評価・ブックマークもありがとうございます!


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