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第72話 思わぬ再開


ゼウス軍五隊がアースの地に降り立つと光の障壁は消えていった。


「早速お出迎えか。歓迎してくれているようで何よりだ」


ゼウスは不敵に笑う。


「容赦はするな。敵は全て殺せ」


ゼウスが号令をかけると、兵士たちは一斉に進軍を開始した。


魔物の群れと隊が激しくぶつかり合う。


「私は神殿から離れるわけにはいかない。アッフィーは北東、アッピーは南東の足止めをしてちょうだい」


「ですが、それでは西側が手薄になってしまいます」


「まだカードは出し切っていないわ。大丈夫よ」


ガイアはウインクして見せる。


二人は不本意ながらも頷き、それぞれの方向へ駆けていった。


(そろそろ来てもいい頃だけど・・・)


ガイアは二人を見送り、空を仰いだ――――。




「すごい数です! アシーナ様!!」


アルテミスは魔物の軍勢を指差した。


「やるしかないわね。私が先陣を切るから、アルテミス達は後に続いて」


アシーナは高速で魔物の群れに突撃する。


「あ!! アシーナ様、危険です!!」


「《絶対防御(アイギス)》」


アシーナは銀色の盾を二枚召喚し、自身の周りを回転させる。


そのまま高く跳躍し魔物の群れの中へ飛び込んでいく。


高速回転させた盾の可動域を拡大させていき、アシーナを中心に回転する銀の盾は徐々にその勢いを増し、嵐のように舞い上がった。


銀の盾は軽々と魔物を両断し吹き飛ばしていく。


「す、すごい・・・」


アルテミスはアシーナの桁外れな戦いに感嘆する。


「わ、私達も続きましょう!!」


アルテミスは後続する兵士たちに呼びかけ、アシーナの後を追った――――。




アース神殿北東部――――。


「おお~!! すごい数ですね! ヘラ様!!」


イリスはワクワクした様子で押し寄せる魔物の群れを眺める。


「全く。その割には楽しそうだな。しかし、これだけの魔物を生み出すとは、地母神ガイア・・・恐ろしい女神よ」


「全部殺せば関係ないよ!」


ヘラはため息をつく。


「単純な思考回路で何よりだ」


「≪虹の風(フルトゥーナ)≫」


イリスは周囲に虹色の風を発生させた。


「じゃあ待ちきれないから、先に行ってるね!」


「好きにしろ」


イリスは虹の風に乗り瞬く間に小さくなっていった。


ヘラは頭を掻きながらイリスを追った――――。




「オラァ!!!」


アレスの真赤な長槍が周囲の魔物を一掃する。


恐竜のような巨大な鳥の魔物が上空からアレスに襲い掛かった。


「アレス!!」


デイモスは両手を合わせる。


「≪巨人の腕(ギガンテス)≫」


魔物の頭上に、その大きさを更に上回る巨大な岩石が出現し魔物を一瞬で押し潰した。


落下した衝撃で大地が激しく揺れ動いた。


「余計な事するなデイモス」


アレスは舌打ちする。


「そう言わないでよ。僕だって試したいんだ。解放された力を」


「そうですわね。この数が相手なら心置きなく試せますわ!」


エリスは襲い掛かる魔物に向かい手をかざす。


「≪泡沫の泡(オニロ)≫」


無数の薄い膜の球体が複数の魔物を一気に捉える。


球体の膜から細く凝縮した水の刃が無数に発生し、捉えた魔物達を切り刻んだ。


やがて切り刻んだ刃は球体の中で水に戻り、いっぱいに満たされた。


しばらくもがいていた魔物も窒息しすぐに動かなくなった。


三人の後ろから軽やかな拍手の音が聞こえてくる。


「いや~すごいね! アレス君の豪快な戦い方はもちろんだけど、二人もだいぶ扱えるようになったね!」


「わざとらしい称賛はやめろ」


「これでも心から褒めているんだけどなぁ・・・」


ミノス王は残念そうに肩を落とした。


「フン。どうだかな」


「それにしても、おびただしい数だね。こりゃ時間が掛かりそうだ・・・」


ミノス王はこちらに向かい押し寄せる魔物を見てため息をついた。


「退いてろ」


アレスは真赤な槍を消し、腰を低く落とした。


『ランク6』


アレスの周りに青白いオーラが渦巻き、土埃が舞い上がる。


「うわっ!!」


アレスが発する衝撃波に三人は体勢を崩す。


視界が晴れた先に立つアレスの両手には、空と海を連想させる白と青のコントラストの美しい双槍が握られていた。


アレスは腕に力を込める。


「ふっ!!」


双槍を水平に薙ぐと、水面を揺らす波紋のように空気を伝い鋭い衝撃波を作り出した。


衝撃波はエトナの建物もろとも魔物の群れを一刀両断した。


「す、すごい」


デイモスは彼方の魔物まで両断していく光景にただ驚いていた。


「やっぱり君の持つ潜在能力は凄まじいな」


ミノス王は腕を組み頷いている。


「大した事はしてねえ」


「謙遜しちゃって。相変わらず素直じゃないな~アレス君は」


アレスは鼻を鳴らしそっぽを向く。


「この調子でどんどん進もう!!」


デイモスが歩き始めると、アレスは手に持つ槍でそれを制した。


「どうしたの?」


アレスは両断した建物の上を凝視している。


デイモスとエリスも建物を見上げる。


目線の先には何もない。


しばらくすると、空間が歪み二つの人の形をした歪みに変わっていく。


「おかしいですね。完全に気配を絶つと言われていたはずですが・・・アレスさんの勘が良すぎる、という事ですか」


見上げる四人は聞き覚えのある声に耳を疑った。


「流石ですね。よく気付きました」


「あいつら、かみのにおいがする。くさい・・・」


建物の上にテッサとピュラが姿を現す。


「テッサ?!」


デイモスとエリスはテッサとの思わぬ再開に声を上げた。


ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!


また、評価・ブックマークもありがとうございます!


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