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第59話 馬鹿と道化


サングラッセン城下町のコロシアムから歓声が漏れる。


巨大な蛇の魔物が倒れると同時に激しい地響きが起こった。


『アレスVSヒュドラ』の掲示板が光る闘技場にひと際大きい歓声が上がる。


湧き上がる観衆の中に、嬉しそうな表情を浮かべるエリスの姿があった。


肩で息をするアレスはヒュドラが動く様子がない事を確認すると、神術を解き闘技場出口へと向かった。


「アレス!!」


控え室に戻ったアレスはデイモスと再会する。


デイモスは全身に汗が滲み所々傷を負っているが、その様子から勝利したであろうことはすぐに察しがついた。


「少しは成長しているようだな」


「アレスと違ってBランクだけどね」


デイモスは照れくさそうに笑う。


「お二人ともお疲れ様でした」


エリスも合流する。


「流石アレスですわ。ヒュドラと言えばユピテリアの中でも強力な魔物です。それを打ち負かすんですもの」


「普通だ。そんな奴はゴロゴロいる」


「そうは言っても、一度だけならまだしもAランクを連勝し続けるのは難しいはずです。素晴らしい事だと思いますわ!」


「ちょっとエリス! 僕だって優勝したんだけど?!」


デイモスは頬を膨らませる。


「はいはい。よく頑張りました」


「え、それだけ? しかも棒読み・・・」


「ぎゃあぎゃあうるさいですわね。Bランクなら私だって既に優勝しています。そこまで誇る事ではないでしょう?」


「それはそうだけど~。何かそういうのとは違った贔屓を感じるんだよな~」


デイモスは羨ましそうにアレスを見る。


「う、うるさいですわね! あまり細かい事気にする男はモテませんわよ?」


エリスは声を張り上げた。


「それはそうと、いつまでコロシアムで戦いを続けますの? 強くなると誓いはしましたが、これではさすがに限界があると思いますけど・・・」


「いつまでもここにいる気はねぇ。ただの賞金稼ぎと、憂さ晴らしだ。この後は三人でギルド結成してSランク以上のクエストをこなしていくつもりだ。そうすれば実戦経験も積める。いい修行になるだろ? 報酬も手に入って一石二鳥だ」


「確かに、それなら緊張感を持って取り組めるもんね。Sランク以上ともなると国に、ユピテリアに依頼されるようなクエストがほとんど。これ以上ない実戦経験になるね」


「で、でも本当に大丈夫ですの? クエストによってはAランクでも命を落とす危険があると・・・」


「だからこそだ。命の危険があるからこそ高ランクを狙う。格下しか相手にしないから、いつまで経っても己の殻を破れねぇんだ。常に狩られるつもりで、緊張感を持って戦いに向き合うには低ランクでは意味がねぇ」


アレスは拳を強く握る。


「死ぬかもしれない危険な行為なのは分かっている。だから二人とも、ついてこれないと感じたらすぐに離脱しろ。俺の事は・・・」


「アレス。それ以上は言っちゃだめだよ」


デイモスはアレスを制す。


「誓ったばかりだよね? 一緒に強くなるって。アレスと共に行くって決めた時点で、そんな覚悟はできてるんだ。今更そういうのは無しだよ」


「そうですわ。アレスのその気持ちには素直に感謝します。けれど、わたくし達はアレスと共に歩むと決めたのです。例えアレスが嫌になって離れようとしても、這いずってでもしがみついてやりますわ」


「お前ら・・・」


デイモスとエリスは顔を見合わせ微笑んだ。


「素晴らしい! 深い絆で結ばれているんだねぇ~! 感心するよ!」


いつの間にか三人の横で一人拍手する白髪の癖毛の男が立っていた。


頭にはずれ落ちそうな王冠が乗っている。


「何ですの? いきなり出てきて騒がしい・・・」


デイモスとエリスは固まった。


「ミ、ミノス王?!」


「一国の王がどういうつもりだ? 何を企んでいる?」


ミノス王は頬を掻く。


「そう警戒しないでよ。確かに、そのために来たわけじゃあない。君達に伝えたいことがあるんだ」


「それとちょっとした提案を、と思ってね」


ミノス王はウインクする。


「お、王様が僕達に伝えたい事なんて想像もできないけど・・・一体なんだろう?」


「さ、さあ? そこまでは分かりませんわ。それに提案って・・・」


デイモスとエリスは不安を隠せない。


「俺達はお前に構っている暇なんてねぇ。帰れ」


「えぇ?! ひっどいなぁ!! そんな言い方されると、さすがの僕でも傷ついちゃうよ」


ミノス王はずれ落ちそうな王冠を手で押さえバランスを保つ。


「よく言う。表面上は馬鹿を演じているが精神は怖いくらい落ち着いている。相手が本物の道化かどうかの区別くらいできる」


「ちょっ! 馬鹿は本当にキツイって! いや、道化も大概だけどさ・・・」


「君はストレートにものを言うねぇ」


「知らん」


ミノス王はわざとらしく胸に手を当てる。


アレスは頭を掻く。


「分かったから、話があるなら早くしろ。先程も言ったが俺達には遊んでいる時間なんてない」


ミノス王は真剣な眼差しを向ける。


「ここで話すわけにもいかない。とりあえず城まで行こうか」


先程までと同じ人物のものとは思えない緊張感を纏うミノス王に違和感を抱いた三人は互いに顔を見合わせた。


ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!


また、評価・ブックマークもありがとうございます!


とても励みになっています!


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