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第41話 終局へ向けて


オリンピア上級学院の北西には普段は立ち入りが禁止されている小さな洞窟がある。


アマルティアはその洞窟の前に立っていた。


「ここですね。」


この洞窟は星から流れ出るいわゆる天然のエーテルが湧き出ており、それがオリンピア神殿をはじめとする敷地内の地下に浸透している。


アマルティアは洞窟の中へ入っていく。洞窟の中は湧き出るエーテルの泉を囲うように形成されたシンプルな作りだ。


アマルティアは湧き出る泉の前に立ち両目にエーテルを集中させる。


「やはり、この泉が問題だったようですね。」


黒く染まった泉は巨大な老木が大地に深く根差すように地面に浸透し、オリンポス全体に闇の力が広がっているのを視認する。


「この闇に染まったエーテルを元の姿に戻す事ができれば、これ以上皆からエーテルを吸い上げることはない。ゲートも使用できるようになるでしょう。」


「それにしても、湧き出るエーテルを汚染させオリンピア全体に作用させる程のエーテル・・・ここまで強力な神術もそうない。オリンピアにおいて、ゼウス様を除きこれほどの神術の使い手は一人しか思いつきません。」


「一筋縄ではいかないですが、やるしかありませんね。」


アマルティアは覚悟を決め泉に手をかざし意識を集中させる。


その瞬間、拒絶されるように手が弾かれた。数か所に軽い切り傷がつく。


アマルティアは深呼吸し集中力を更に高め、自身のエーテルを泉に注ぎ込む。


かざす腕に見る見るうちに傷が刻まれていく。


「くっ・・・!」


アマルティアは汚染されたエーテルを浄化するため、自身のエーテルを泉に注ぎ込んだ―――――。



俺とピュラは最上階を目指し螺旋階段を駆け上がっていく。


「いいかピュラ。奈落の闇(エレボス)のボスはどれ程の相手かは分からんが、少なくともゼウスは明らかに他の神と違う圧倒的な強さを持つ。そんな強大な相手が二人もいる。無茶な行動だけは起こすな。」


既に最上階のただならぬ気配を感じているピュラは真剣な表情で頷く。


階段を上るにつれ、二つの巨大な力が大きくなっていくのを感じた。


「にけ!!!」


ピュラは巨大なステンドグラスを指さす。


「どうした?」


俺とピュラは足を止める。


ピュラの指さす方向を凝視していると、黒、茶、緑色の三本の束になったエーテルが俺の所に集まってきた。


「これは・・・・」


俺はそれらを受け入れるように掌を開く。


俺の周囲を回り浮いていたエーテルは俺の掌の中へ吸い込まれていく。


「まただ。頭の中にイメージが湧いてくる。アトラスの、あいつらの仲間のものか?」


吸収した力を確かめるように手を閉じる。


「今は考えても仕方がない。先を急ぐぞ。」


俺達は再び階段を登り始めた―――――。



大聖堂ホール。


疲れ果てうつ伏せに倒れ気を失っていたアポロンの前に、金髪ウェーブの美少女が立っている。


美少女がアポロンに触れようとした時、アポロンはほのかに香る薔薇の匂いで意識を取り戻した。


「・・・・・アフロディーテ、か。」


「あら、生きてるじゃない。それなら最初に言ってくれないかしら。」


アフロディーテは髪を掻き上げる。


「フッ・・・手厳しいな・・・」


「何よ。じゃあ同情してほしいわけ?」


「・・・いや。普段通りでむしろ安心する。」


アフロディーテは巻き付けていたケストスでアポロンを包み、そのまま軽々と浮遊させる。


「・・・・恩に着る。」


「勘違いしないで。これは貸しだから。」


アポロンは思わず微笑んだ。


「そうだったな。」


「全く。ここまで私を働かせたんだから、それなりの報酬を要求するわよ?」


「俺にできる事があればいいが。」


アフロディーテはアポロンに背を向け歩き出す。彼女に追従するように、アポロンを包んだケストスが浮遊し後を追う。


「・・・・ばーか。」


アフロディーテは自分に言い聞かせるように小さな声で呟いた。


「さっさと神殿へ向かうわよ。面倒だけどここまで来たら最後まで付き合うわ。それに、他の連中もどうせ神殿に向かうでしょう。」


「すまんな。俺のせいでケストスが使えない。」


「うっさいわね。あんたは黙って包まれていればいいのよ。」


そう言い放ち、アフロディーテはケストスに包まれたアポロンを連れ神殿へと向かった。


ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!


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