表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
176/294

第175話 マリオネットの戯れ


異空間迷宮・ゼウスのアジト―――。


「ほいっと♪」


ミンテ達はゲートから軽やかに飛び出した。


「ふ~。なんか帰ってきたら急に疲れたな」


ミンテは面倒くさそうにするザグレウスを見て頬を膨らます。


「も~。だらしないんだから。任務を達成できたのは私のおかげなんだからね?」


「ほ、ほら。早くゼウス様に報告しないと怒られるよ」


「分かってるよ。さっさと済ませちまおうぜ」


三人は螺旋階段を駆け下り、厳重な扉をゆっくりと開いた。


気を失い眠るペルセポネは宙を浮き両手を広げ、頭を垂れている。


「うわぁ~」


赤黒い木は、ペルセポネから供給されるエーテルに反応し時折波打つように脈動している。


それに同調するようにペルセポネの身体も僅かに揺れる。


ゼウスは腕を組み赤黒い木を見上げ、その様子を見守っていた。


「ゼウス様、お使い終わったよ♪」


ミンテが明るい声で話しかけると、ゼウスはゆっくりと振り返る。


「ほう。思いのほか早かったな。()の見立てでは、せいぜい失敗して戻ってくると思っていたのだが」


「むぅ! ひど~い! ママの力があるんだもん! 負けるわけないんだから!」


ミンテは頬を膨らめる。


「いいから早く奪ったエーテルを流し込め」


「分かってますよ~だ!」


ミンテは舌を出し必死に抗議する。


「≪武装結界(ディアヴォロス)≫」


ミンテが呟くと、巨大な青い悪魔が姿を現し赤黒い木の前で両手をつき、汚物を吐くように奪ったエーテルを黒い沼に流し込んだ。


「この悪魔、いつ見ても不気味だよなー。アドニスもそう思わないか?」


「う、うん。何だかグロテスクというか、怖いよ・・・」


ミンテはとぼけた様子で首を傾げる。


「え~? 可愛いと思うけどな~。ママみたいで、とても愛おしく感じるの♪」


「あれを可愛いと思うのはたぶん世界でお前だけだと思うぞ・・・」


ザグレウスは呆れて肩を落とす。


「ククク。ガイアが上手く隠していたようだが、まさかこれほどとはな。これならばタナトスの召喚は叶ったも同然よ」


「あ~!! ネメシスのお姉ちゃんだ♪」


ミンテの声に全員が振り返る。


扉から足を引きずり肩を押さえ、全身傷だらけの状態のネメシスが歩いてくる。


苦戦を強いられた事は明白だった。


「随分壊れかけているようだが、目的は達成したのだろうな?」


一件落着(いっけんらくちゃく)。簡単ではありませんでしたが、任務は終えました」


「フン。貴様の気持ちなど聞いていない。さっさとエーテルを注げ」


ネメシスは無表情のまま、足を引きずり沼の前に立つ。


背中のトゥヴァイハンダーを引き抜き黒沼に突き立てる。


両手剣から青白い光が漏れ、沼に浸透していく。


やがてエーテルを注ぎ終えると青い悪魔は消え、ネメシスもトゥヴァイハンダーを引き抜き軽やかに背中に収めた。


「貴様の持ってきたエーテルはミンテよりも少ないようだが、まあよい。これだけあれば召喚は可能だろう」


ゼウスは手をかざし、埃を払うようにペルセポネを引き剥がし地面に捨てる。


「エーテルは十分に集まった。そいつの命も、もはや風前の灯火。壊れた玩具に価値はないのでな。残念ではあるが、ここで切り捨てる」


『ククク。どうしようもなく非道な奴よな。利用するだけ利用して必要がなくなった途端に。容赦がないな』


「女なぞ、世界を手にした後でいくらでも補充できるからな」


ミンテ達は高笑いするゼウスを見守っている。


「これより()()は最終段階に入る。邪魔はするな。時が来たら知らせる。その時またここへ来い」


ネメシスは一礼すると、ゼウスに背を向け足を引きずり歩き出す。


「あはっ♪ お姉ちゃん痛そうだね! そんなに大変だったの? 私達が手伝ってあげれば良かったかな~」


無為無能(むいむのう)。あなた方と話す事などありません」


ネメシスはミンテ達の顔も見ることなく扉の奥へ消えていった。


「ぶ~!! 何よ!! せっかく気にしてあげたのに、良くわからないむずかしい言葉ばっかり使ってさ!!」


ミンテは思い切り舌を出す。


「放っておけよ。どうせ任務でしか会わないんだ。それにあいつ、何か不気味だし近寄りがたいんだよな」


「そ、そうだよ。あんな怖い人の相手するの、やめようよ」


「それもそうだね。さ~て、私達もいこっ♪」


扉へ向かうと、地面に無残に横たわるペルセポネが目に入った。


ミンテの表情が険しくなる。


「あなたを見ていると、何かここらへんが痛くなるの。なんでかな? すごく気持ち悪い・・・」


ミンテは胸を強く押さえる。


「あぅ?!」


突然、割れるような激しい頭痛に見舞われた。


ミンテは頭を抱え、堪らず膝をつく。


「どうした?!」


「だ、大丈夫?!」


駆け寄る二人の手を振り払う。


「あああっ!!」


頭を抱えるミンテは無作為にゲートを開き、悪魔の腕を伸ばしペルセポネを掴むと、そのまま黒いゲートへ投げ入れた。


やがてゲートは収縮し消えていった。


「ハァッ! ハァッ!!」


肩で息をしていたミンテはふらつきながら立ち上がる。


「な、なに・・・? この気持ちはっ・・・ とても重い・・・ とても・・・かなしい・・・?」


締め付けるような胸の痛みに困惑したまま、ミンテはその場に立ち尽くしていた。


ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!


また、評価・ブックマークもありがとうございます!


ご意見等ありましたら感想も頂ければ幸いです!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ