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第111話 備えあれば憂いなし


クロノスはアポロンとアルテミスを連れ、ユピテリアの各浮島を訪れていた。


クロノスが大鎌を地面に突き立てると、黒い魔法陣が展開されやがて地面に吸い込まれるように消えていった。


「よし。ここも完了だ」


「既にアテネ島は済んでいる。あと三カ所だったな?」


「はい。ユピテリアは、オリンポス島を中心にそれを囲うように四つの島が存在しますので、後はミュケナイ島、デロス島、クレタ島の三つですね」


アポロンはクロノスにユピテリアの地図を見せる。


「クロノス様はさっきから何をされているのですか?」


アポロンの後ろからひょっこり顔を出したアルテミスが尋ねる。


「ああ。俺の力でゲートの道を拡大させているんだ」


クロノスは大鎌を消し振り向く。


「拡大?」


アポロンは顎に手を当てる。


「そうだ。今、この世界はゼウスにより三領域に分割されている。テュラーと呼ばれる、唯一三国間を結ぶエーテルの道があるがここを通るのは実質不可能だ。稀にその負荷をものともしない猛者もいるようだが」


「テュラーは世界を分割した際に星にできた後遺症、傷のようなものだ。とにかく、ゼウスは、ユピテリアに住む者が他国との関わりを持つ事を恐れていた」


アポロンは静かに頷く。


「今ではその話も納得です。実際、ユピテリアには、特殊な技術を有する者がアースやタルタロスからやって来る事もあります。アフロディーテがいい例でしょう」


「ユピテリアの神や人々は他国出身者を快く思っていない節がありました。俺自身も、オリンピア学園でアースもタルタロスも悪しきモノとして教育された記憶があります。当時から疑問を抱いていましたが・・・」


アポロンの様子を伺いながら、アルテミスも話に加わる。


「アフロディーテ様をはじめ、ガイア様やクロノス様、ペルセポネ様とこうしてお話しさせていただいていますが、私にはとても悪い人には見えません。皆さま本当にお優しい方達だと思います」


クロノスは空を見上げる。


「ゼウスにとって、アースやタルタロスは自分に反抗的な態度を取る邪魔な存在だった。いや、正確にはガイアとハデスの二人を恐れていた。互いに協力し合い、いつか反撃される事をな。ゼウス自身が反乱を起こし一時代を築き上げた張本人だ。それはヤツ自信が身をもって知っているだろうからな」


一息ついたクロノスは、大鎌をかざし黒いゲートを開く。


「話が逸れたが、ようはマーキングしているのだ。これでいつでもアースやタルタロスへゲートを繋ぐことができる」


「ゼウスがユピテリアを去った今、もはや三国で敵対している場合ではなくなった。協力してヤツを止めなければならないからな。まあ、元々アースとタルタロスは一方的に被害を被っていたに過ぎないが。万が一の時に役に立つ事もあるだろう」


「そんな事が可能なのですか? ゲートではユピテリア間の移動しかできない上に、国を跨ぐ程の距離となると強度が落ち、空間の外へ投げ出される恐れがあるのでは?」


アポロンは不安な様子でクロノスに尋ねる。


「本来の力が戻っていないとはいえ、俺にもこれくらいはできるさ。それに、使用する時に印した魔法陣を経由する事で、間接的に俺のエーテルに触れ使用者のゲートは強化され安定する。万が一にも繋ぎ間違いや失敗する事はないから安心しろ」


「ガイア様もそうですが、あなたもやはり常軌を逸していますね・・・そんな事を平然と言えるのですから。ここまで力の差を見せられると、もはや感覚がマヒしてしまいそうですよ」


アポロンは苦笑いする。


「そんな大それた事はしていないと思うがな。それに、俺は巨神族ゆえにお前たち神族の様に神術は扱えない」


「ユピテリア内の移動だけでもそれなりにエーテルを消費するのに、ゲートで国を跨ぐ移動をそんな片手間みたいにやれちゃうのですから、やっぱり凄いです。しかも最小限のエーテルでそれを可能にしていらっしゃるのですから」


アルテミスはクロノスが展開したゲートを感心しながら眺める。


「はっ?! す、すみません!! 偉そうな事言ってしまいました!」


アルテミスは慌てて両手を振る。


「ほう。そこに気が付くとは、良い眼を持っているな。大切にするといい」


「あのクロノス神に褒められるなんて、貴重な体験だぞ」


アポロンはアルテミスに微笑みかける。


「そ、そうでしょうか・・・」


アルテミスはハッとして思わず口元に手を当てる。


「いけませんね。アシーナの様に私も変わろうと誓ったのに、油断するとすぐにネガティブになってしまいます」


アルテミスは恥ずかしそうに頭を掻いた。


アポロンはアルテミスの頭に優しく手を置く。


「そう思えるようになっただけでもかなりの進歩だと思うぞ。以前のお前ならそんな事思いもしなかっただろう。一気に変わる必要はない。そうやって意識していれば、いつか気付いた時には理想の自分に近づいているはずだ」


「お兄様・・・ありがとうございます」


「大丈夫だ。少しずつ、みんなで前に進んでいこう。ユピテリアの為に。この世界の為に」


(いつか、俺自身も・・・)


「さて、まだ三か所も残っている。話はこれくらいにしてさっさと終わらせよう」


三人はゲートをくぐり、次の場所であるデロス島へ向かった―――。


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