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第101話 ガイアより愛をこめて


アテネ島・パルテノン神殿―――。


「にけ!!!」


王の間に入るや否やピュラが全力で飛びついてきた。


「元気そうで何よりだ」


「ピュラちゃん久しぶり。私の事、覚えてるかな?」


初対面の時の事もあり、アシーナはやや不安な様子で尋ねた。


「あしーな!!」


ピュラは手を挙げ元気に答える。


予想外の反応にアシーナは一瞬固まった。


「ピュラちゃん・・・」


アシーナは膝をつきピュラの頭を優しく撫でる。


「あしーな、くさくない!」


ピュラはアシーナを指差し俺に訴えかける。


心なしか、やけに嬉しそうに見える。


「わ、私そんなに臭かったかしら?!」


咄嗟にピュラを撫でる手を離す。


「本人を前に指差すのは止めろ」


俺はピュラの腕を降ろさせた。


「本来ピュラは神の匂いを嫌うんだ。表現力はともかく、アシーナに対する警戒心は解けたという事だな」


「うわっ?!」


アシーナはピュラを抱きしめる。


「ありがとう・・・ピュラちゃん」


ピュラはされるがままに、アシーナの腕に包まれていた。


「無事に回復したみたいで良かったわ! ニッキー、アッシー!! 心配したんだから」


ガイアはアフロディーテとアポロンを連れて王の間へ入る。


「お前がガイアか。とても一国を治めている女神には見えないな」


「そうかしら? 自分では威厳がある品の高い女神だと思っているんだけどな~」


「はいはい。流石は地母神ガイア様。さぞ頭の中は小鳥たちが合唱を奏でるくらい壮大なお花畑が広がっているのでしょうね」


アフロディーテは呆れてため息をつく。


「酷い?! 何でアッフィーってばそんな言い方しかできないの? お母さん悲しいわ・・・」


「だから、アッフィーって呼ばないでって言っているでしょ?!」


俺とアシーナは顔を見合わせた。


「・・・まさか、ニッキーというのは俺の事だったのか?」


「アッシーって・・・私?」


ガイアは自慢げにふんぞり返る。


「そうよ!! いいセンスしているでしょ? 我ながら感心しちゃう♪」


「俺の事は普通にニケでいいのだが・・・」


「ほら見なさいよ。普通はこういう反応なのよ」


アフロディーテは鼻で笑う。


「そ、そんな?! ニッキーなら分かってくれると思っていたのに・・・」


ガイアはその場にしゃがみ込む。


「呼び方を改める気はないんだな・・・」


ガイアは切なげな目線をアシーナに送る。


「ガイア様、そんな期待を込めた目で訴えかけても無駄ですよ。アシーナもはっきり言ってやりなさいな」


アフロディーテは髪を掻き上げる。


「私は可愛いと思うけどな、アッシー。素敵な響きじゃない」


その言葉を聞いた瞬間に、物凄い勢いでガイアはアシーナに飛びついた。


「さすがアッシー! アッシーなら分かってくれると思っていたわ! やっぱり高貴な者にしか分からないって事ね♪」


「あ、ありがとうございます」


アシーナはガイアにされるがまま揺さぶられている。


「あはは! アシーナって天然だから」


アシーナはむくれる。


「な、何よ! 別にいいでしょ? 本当に可愛いって思ったんだから!」


「そうよ、アルっち! 余計な事言ってはいけないわ!って、あれ? 何かおかしいような・・・?」


アフロディーテとアポロンは口を開いたまま固まっていた。


「ア、アルテミス。あなた、今なんて・・・?」


アシーナはアルテミスに抱き着く。


「ウフフ。やっぱりアルテミスに呼ばれると気分がいいわね!」


「も、もう! 恥ずかしいから離れてよアシーナ!」


「アシーナを・・・呼び捨て、だと・・・?!」


アポロンは気持ちよさそうに顔を擦りつけるアシーナを引き剥がし、アルテミスの肩を揺さぶった。


「な、何があった?! アシーナに弱みでも握られたのか?!」


「もう。お兄様ったら、大袈裟ですよ」


「し、しかし・・・!!」


アシーナは玩具を抱え込む子供の様に、アポロンからアルテミスを奪い返す。


「そうよ、全く! 失礼しちゃうわ! 親友なんだから呼び捨てくらい当然でしょ!」


「ねっ♪ アルテミス」


「何よその蕩けきったふざけた表情(かお)は・・・」


アフロディーテは呆れかえっている。


「アシーナのヤツ、ここに来るまでにしつこく強請(ねだ)っていたからな。流石にアルテミスも慣れてしまったのだろう」


「ちょっとニケ! 余計な事は言わなくていいの!!」


ガイア達とやり取りをしているとアレス達も王の間に入ってきた。


「あ! アレスおはよう!」


ガイアはアレス一行に手を振った。


「おう」


「アレスにはニックネーム付けないのですか?」


アポロンは不思議そうに尋ねる。


「だってアレスの名前、短すぎるんだもの。それに、そのままの方が響きがいいでしょ?」


「・・・なら、どうして俺には付けたんだ・・・」


俺はため息をついた。


「くだらねぇ。たかだか呼び方くらいでぐだぐだ言ってんじゃねえ。平和ボケしやがって」


「ア、アレス! そこまで言わなくても!」


「そ、そうですわ!」


デイモスとエリスは慌ててアレスを止める。


「あら? もしかして自分だけニックネームで呼ばれなくて寂しいの? アレスも可愛いとこあるじゃない♪」


「あ? てめぇと一緒にすんな泣き虫真面目野郎」


「あら? そうなの? それならアレっちで♪」


「また適当な・・・」


ガイアの浅慮にアフロディーテは肩を落とした。


「誰が泣き虫真面目野郎ですって? 私、女なんだけど?」


「てめぇ以外に誰がいる。腕っぷしはその辺の男より強い癖に、泣き虫でメンタル激弱とか面倒くせぇにもほどがある。口を開く度に自分の価値を下げている事に気付かねぇとは、さすがは温室育ちのエリート様だ」


オリーブの紋章が金色に光り出す。


「ずいぶん好き放題言ってくれるじゃない。上等よ。この前の続き、やる?」


「おもしれぇ。泣きべそかいても知らねぇぞ」


呼応するようにアレスの紋章も輝きだす。


突然アレスの背後に人影が現れ、その頭を打ち抜いた。


「痛ぇな!! 誰だ?!」


アレスが振り向くと、メイド姿のアリアドネが静かに立っていた。


「それは病み上がりのレディに対する態度じゃないよ。アレス君」


アレスは舌打ちする。


「ミノス王!! お久しぶりです」


アシーナは深々と頭を下げた。


「堅苦しいのは止めようって言ったじゃないかアシーナちゃん」


「で、ですが私はっ・・・!!」


ミノス王はアシーナの肩にそっと手を置き優しく微笑みかける。


「顔を上げて。また後日、話を聞かせてくれればいいよ。とにかく、無事で良かった」


「ミノス王・・・」


アシーナは涙を堪え再び頭を下げた。


「・・・・・私達の事、完全に忘れられていますね」


「む。やはり存在感が薄いか? 何となくそんな気はしていたが・・・」


「確かに、この三人はどことなく雰囲気が似ていますね。タルタロス出身だからでしょうか」


クロノス、ペルセポネ、テッサの三人はニケ達の賑やかな様子を羨ましそうに眺めていた。


ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!


また、評価・ブックマークもありがとうございます!


とても励みになっています!


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