守も攻めるも鋼鉄の…
…と題名を書いていて、そういえばマジンガーZも「空にそびえるくろがねの城」だったな、などと。
強いもの、大きいものへのイメージはそんなに変わってなかったのかな、という気もしますね。
軍艦行進曲は「守も攻めるもくろがねの浮かべる城ぞ頼みなる」でしたし。
先日、家族の用事で上京してきたのです。
ある博物館に祖先の遺品を寄贈するのが目的。
なかなか引受先が見つからなかったのですが、埋もれさせて朽ちさせるにはもったいない歴史的な事実を含むものだったので、ほっとしてます。
で、上京ついでに、横須賀まで足を延ばして戦艦「三笠」を見学してきました。
20年ほど前に一度訪れたことはあったのですが…夕方でもう観覧時間が終わった後で、外観だけ見て終わったのです。
当時は前弩級戦艦に関する知識も浅く、外観だけ見てもあんまりちゃんと理解できず…。
いつかそのうちきっと!と思っていたのですが、今回行けました。
横須賀駅から港内に泊まる護衛艦と軍艦を眺めながらてくてく歩いて、三笠公園に着いたら、艦尾にはためく軍艦旗が迎えてくれました。
思わず右手を額にやりそうだったのですが、私は文民なので左胸に右手を当てる敬礼を取っておきました。
軍艦に乗船するときは弦門でこの敬礼をするのが文民の礼儀だそうなので、そちらも一緒に。
なんだかもぎりのおじさんに微笑ましく見られた気もしますが…まあ良いでしょう、うん。
艦内は往時の雰囲気がきちんと残されている感じ…。
「三笠」は第二次大戦後、兵装類などを撤去して、上甲板にダンスホールと水族館が設けられていた時期がありまして…そんな状態にまでなった艦をここまで戻すのは大変だっただろうなぁ、と。
さすがに兵装類は本物を再制作して展示という訳には行かず、外観のみの模造だそうですが…そこは仕方ないですよね。
そもそも二次大戦後、戦艦の30.5cm砲の砲身を作れる設備を有している製鉄所や造兵廠、造船所もないですし。
最近ではもう、軍艦に積まれる大砲も大きくても15.5cm砲くらいまでですしね。
もう作れないという意味で、たまにこの手の大砲もロストテクノロジー扱いされることもあるそうで。
製造技術が失われたのか、製造設備が失われたのか、微妙なところですが。
艦内はどこもかしこも興味深いものばかりでした。
個人的に「ここにならあるかも」と思っていたものもいくつかあったのですが、そのうち一つが戦艦「初瀬」の模型。
ちゃんと展示してありました♪
基本的には戦艦「三笠」と同クラスなんですが…煙突が3本なのと、副砲の配置が違うんですよね。
なので、市販の「三笠」の模型を買ってきて、自分で手直しするしか現状ないのです。
ちょっと寂しい気もしますが、日本海軍の戦艦の中では相当に影の薄い存在になってしまっているので、まあ仕方ないでしょうか…。
これ以上に存在感のない戦艦となると、日露戦争の捕獲艦くらいでしょうか。一応それらも第一次世界大戦の時の山東出兵には参戦してはいるんですが…。
いろいろ展示物もあって興味津々だったのですが「え、これも残ってるの!?」と一番思ったのが「駆逐艦ベドウィが降伏したときに用いられた白旗代用のテーブルクロス」でした。
奇麗に畳まれて木箱に入れて展示されていました。日露戦争や日本海海戦を扱った書籍では必ずと言っていいほど出てくる「代用白旗」なのですが、現存していたとは知らず…。
しばしその前で感慨にふけったのでした。
そんなわけで軍艦熱がちょっと再燃中でして。
「Ultimate Admiral: Dreadnoughts」というゲームがありまして、1890~1950年までの間で列強諸国の海軍を率いて任を全うせよ!な内容なのですが、年代的に前弩級戦艦もばっちり出てきます。
日本も選べるので、馴染みのある艦もどきのお船も作れます。
なかなか面白くて結構遊んでいるのです…が、今のところ言語は英語のみ。
海事や軍艦、戦史、外交などに興味のある人なら、なんとなく英語を読めば「ああ、こういうことか」と解る程度のものではあるんですが…。
…そもそもそういう人がレアですよね。
しかもこのゲームはリアル系なので、敵味方がほとんど同様な技術の下で艦を作ります。
さらに歴史的に国力の弱い国だと建艦ドッグも小さければ、予算も少額という。
なけなしの予算をはたいて2~3年かけて建造した艦がアッサリ沈められたりすると、なんとも言えない無常観を感じます。
設計が悪いと、優速・長射程の敵艦にこちらの射程外から一方的に撃たれて逃げようがなかったりします。
一か八かで突っ込んでせめて一太刀!と思っても、果たせず。
あー、ドイツ東洋艦隊のフォークランド沖海戦ってこんな感じだったんだよね、きっと。なんて思います。
そういうのを「はははリアルだねえ(内心ピキピキ)」と楽しめる人には面白いと思います。
現在も鋭意開発続行中なので、いずれはどんな風に仕上がるんだろうと楽しみにしています。
艦の設計がいくつかの船体の中から任意のものを選んで、艦橋や煙突、兵装類を配置して…と、技術と排水量と予算の制約の中で自由に(?)設計できるのが、なんとも楽しいのです。
よっしゃー全部盛り!とかやると、ほぼ確実に排水量が船体に対して過多になって、建造できなくなります。そりゃ最初から浮かばないと解ってる船は作りませんよね…。
速度を上げるとどんどん機関の重さが増えて、建造費用もどんどん膨らみ…と、そういう匙加減を探っていくのが面白いですね。
駆逐艦と軽巡洋艦はしばしば史実以上の設計ができるんですが、重巡洋艦と戦艦は難しいです。
特に戦艦は厳しい。
史実の戦艦はいったいどうやって35000トンの中に40.6cm砲を9門も積んだんだ…!?あれすごい知恵と努力の結晶だったんだな…!!なんて、変な感心をしたり…。
10月中旬はそんな感じで過ぎてゆきました。
大きな変事もなくすんでいるので、まあ良しでしょうか。