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4-6 陽向と安藤

まだ熱が下がっていないミクリアだったが、意識が戻り、いつまでもここにいるのは申し訳ないと、ラフィ達に天界へと送って貰うことになった。

面倒見のいいアイリスはここにいてもいいと言ったのだが、ミクリアが言うことを聞かなかった。


そして一応、和泉にその後どうなったかを確認しとくかなと、『調子はどう?』とチャットを送る。


すぐに既読が付き、帰ってきたのは


『わかんない』


うん。多分良さそう。


詳しいことは明日学校で聞けばいいやと、俺は寝ることにしたのだ。


翌日、和泉は風邪で欠席のようだった。


放課後、奏多と一緒にお見舞いにでも行こうかと思い、雲雀に同好会は休みだから帰っていいと伝えに行こうとした時、安藤とその友達が話しているのを目撃した。場所は人目につかない空き教室の並ぶ廊下。AR同盟の使用している教室のあるフロアだった。


「マジでウケる。あいつお前のこと本気にしてんの?」

「あぁ、水族館のソフィアちゃんライブに誘ったらめちゃめちゃ乗り気だった」

「ソフィアちゃんってあの?確かお前どハマりしたって言ってたよな」

「そうそう、でも1人でってなんかあれだろ?だから誘ってみた」

「で、お前は?あいつにその気はあんの?」

「ないない、そんなわけないだろ。まぁヤラせてくれるなら考えなくもないけどな」

「ハハッ、結局そっちかよ。てか、そんなこと言って大丈夫?和泉に聞かれでもしたら」

「大丈夫だって、あいつ今日休みだし、それにこんなとこ誰も来ないだろ」


俺はその時点で彼らにバレないようその場を後にした。


このことは和泉に伝えておくべきだろう。

電話をかけるとすぐに繋がった。


『もしもし?』

「あぁ、和泉、調子はどうだ?」

『あはは、ちょっとはしゃぎすぎちゃったかな。もう熱も下がってるし大丈夫だよ。心配してくれてありがとう』

「それで、安藤のことなんだけど。やめといた方がいいと思う」

『え?どゆこと?』

「あいつお前にそんな気はなさそう」

『またまたー、だったらデートになんて誘わないって』

「で、でも」


そこで和泉の声のトーンが低くなった。


『ねぇ、安藤くんの悪い噂を聞いたのかどうかは知らないけど、彼のことを悪く言うのはやめて、いくらカナちゃんの好きな人でもそれ以上は……』

「ご、ごめん。それじゃあな。安静にしてろよ」


ちくしょう、どうする。和泉を説得するのは恐らく無理。それどころかしばらく口を聞いてくれないまである。


「陽向ー、お見舞い行こー」


そういえば、奏多とお見舞いに行くことになってたのをすっかり忘れてた。


「あ、悪い。急用ができたから1人で言ってくれるか?」

「え、うん。いいけど」

「それじゃ、俺は行くから。あ、これお見舞いに持ってってやってくれ」

「わかった」


思考が追いついていない奏多はキョトンとしながらも俺の渡したゼリーを受け取った。


さて、とりあえず帰るか。


このままここにいてもしょうがないし帰ってから考えようと思った。


「や、陽向くん」

「うぉっ?!な、安藤か」

「ちょっといいかな?水泳部の友達が忘れ物したって言うから探しに行こうと思ってね。この前のお礼ってことでどうかな?」

「あぁ、で、その友達は?」

「家に帰ったあとで気づいたみたいでまだ学校にいる僕に探してくれって頼んできたわけ」

「ま、そういうことなら」


水泳部の活動場所である屋内プールまで移動した俺たち。


「で、何を探すの?」

「……」

「ん?」

「犯人」

「へ?」

「盗聴の犯人……かな?」


突然、安藤が思わぬことを言い出した。


「というのは?」

「さっきの僕たちの話、聞いてたんだろ?」

「……気づいてたんだな」

「言っとくけどこれは君には関係のない話だ。手は出さないでくれよ」


ゆっくりと歩み寄ってきた安藤は俺の肩に手をのせた。そう思った時には俺の体は後ろに倒れていて、バシャーーンと言う音と共に俺はプールの水の中に落とされていた。


「っは、お前何するっ」


俺は水面から顔を出し、安藤に文句を言う。しかし、安藤の姿はもうそこにはなかった。


俺はプールから上がりアイリスに電話を……と思ったが水没したスマホが使える訳もなく……


幸い、家まではかなり近かったものの、ずぶ濡れで帰ったためかなりの注目を浴びた。そして、今は冬で太陽も沈み始めている。とても寒い。


「え、どうしたんですか?陽向さん」

「あはは、プールサイド歩いてたら足滑らせちゃって……へっくしゅ」

「と、とにかく着替えてください。お風呂もすぐ沸かします」

「ありがと」


と、そんなやり取りをしつつ、安藤が敵であることを再認識するのであった。

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