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4-5 ミクリアと看病

「ただいま、あれ、陽向さんどうしました?」

「あぁ、クルか……実はな……」


たった今帰ってきたクルに事情を話す。


「なるほど、しょうがないですね、こっちに来てください」


クルに連れられて壁際に座らされた。

しかも壁の方を向いて。


「この向こうが彼女の寝ている部屋です。壁越しからでもいいので見守ってあげてください」


そう言いながらクルは、俺に透視能力を与えた。


壁の向こうを見るとミクリアはベッドの中にいた。側にはアイリスも着いている。


「あの、俺……」

「やっと気づいたみたいですね。陽向さんがそばにいてあげてください」

「わかった」

「あ、でもその前にこれを」


クルが渡してきたのはアイマスク。

まあ、必要だろう。


「ありがとう」


家に戻るとアイリスはすぐにアイマスクに気づいたが、状況を察してくれたようですぐに部屋に通してくれた。

そして、夕飯の買い出しに行ってきますと、外へ出ていった。


「んんっ……」

「お、目が覚めたか?」

「んっ……はっ、だ、誰だお前」


ミクリアはアイマスクをした俺を見て飛び起きた。


「俺だよ俺、陽向。そんなに驚くなって、まだ熱下がってないんだから寝てろよ」

「なんだ、お前か」


ミクリアは落ち着きを取り戻してベッドへと戻る。


「で、なんでそんなものを?」

「クルに透視能力をもらったから効果が切れるまでな」

「なるほど。そ、それで……その」


ミクリアは少し顔を赤くする。


「ん、どうした?」

「これもお前が着替えさせたのか?」


ミクリアは自分の着ているパジャマに手を当てる。


「いや、多分アイリスだろ」

「そ、そうだよな。うん」


ホッとした様子のミクリア。


「それより、どうしてまだここにいるんだ?朝一で天界に帰ったはずじゃ?」

「ライブ……」

「え?」

「お前が言う、ソフィアってやつのライブを……見に行きたかったから。でも、ライブやってるって言う水族館の場所、わからなくて……」

「なんだ、そんなことなら頼んでくれれば連れてってやったのに」

「そんなこと頼めるかっ」

「変に気を使わなくたっていいって。お前、俺がアイリスの関係者だからどう接していいか分からないだけだろ?俺はだだの人間。天界人の方が一応立場は上なんだから好きに接してくれていいからさ」

「陽向……」

「だからせめて今だけでも存分に甘えとけ」


するとミクリアは体を背けて言った。


「まぁ、そういうことにしといてやる」

「それはそうと汗かいたろ?アイリスに体拭いてもらいなよ」


そう言って部屋を出てアイリスを呼ぼうとする。


「あ、アイリス今出かけてるんだった」

「ならお前がやってくれ」

「は?」

「は?では無いだろ、好きに接しろと言ったのはお前だろ。お前をこき使って何が悪い」

「いや、でも俺男だぞ?いいのか?」

「別に構わん……ってこともないが仕方ないだろ」

「隣からクルを呼んでくるってこともできるけど」

「あーもう、汗で気持ち悪いのだ!早くせんか」


俺の意見を聞きもしないミクリアは躊躇なく服を脱ぎ始めた。誰しも風邪をひくと正常な判断が出来なくなるのだろうか。


「そ、それじゃあ行くぞ」

「うん……」


俺は水に濡らしたタオルでミクリアの背中を撫でるように拭く。


「これでよしっと」

「ありがと」

「まだ熱あるみたいだし今日はゆっくり休めよ」

「そうさせてもらう」

「ただいまー」


アイリスが帰ってきた。早すぎる。

ん、待てよ?今、ミクリアは上半身裸だ。この状況をアイリスに見られでもしたら……


ミクリアも同じことを思ったのだろう。慌てて着るものを探している。


「おい、着替え、着替え」

「やば、着替え忘れてた」

「アホかお前は」


と、そんなやり取りをしていると部屋のドアが開いた。


「あ、ミクちゃん起きたんだ。調子はどう?」

「あ、えっと、おかげでだいぶ良くなりました」

「なら良かった。それで陽向さんは?」

「あ、えっと、そう、私が喉乾いたって言ったら買いに出ていきました」

「それなら私が買ってきたのに……」


ミクリアが言い訳をしているのも無理はない。俺はとっさにミクリアのベッドの中へ潜りこんでしまった。

もちろんミクリアは裸のまま、布団を被っている状態だ。

アイリスにバレたらどうなるだろうか。変に気を使われて少し距離を置かれるか、それとも軽蔑の目を向けられて、しばらく口を聞いてもらえなくなるか。いずれにしてもそれは避けたいところだ。


ミクリアに飲み物を渡したアイリスは夕飯の準備をするため台所へ向かった。


「はぁ、何とか誤魔化せたな」

「とりあえず服を着替えてくれ、俺はこのまま布団の中にいるから」


アイリスの服を着せるために場所だけを教えて、しばらくするとミクリアからOKの合図が出たのでようやく顔を出す。


「さて、これからどうするか」

「どうするとは?」

「お前が、俺が外出してることにしたから俺はここから出ずに外から帰ってこないとだろ」


さて、どうしたものか。あまり時間をかけているとアイリスが心配するだろう。


「誰かに連絡したりは?」

「こういう時アイリスに転移してもらうのが1番いいんだけど。そのアイリスにバレたら……ね?」

「まったく、使えないなぁ」

「そういうお前はなんか宛はないのか?」

「えっと、この天使の輪で連絡が取れるのは……家族と、一緒に働いてる同僚と、アイリス様と、あとはラフィくらいだな」

「え、ラフィと連絡取れるのか?」

「あぁ、前にちょっとな。でもラフィの時間を止める能力は範囲指定だからアイリス様を範囲に入れずに外に出るのは……」

「いや、ラフィの姉はコピー能力を持ってるから上手くアイリスと接触してくれれば」

「なるほど。それでなんて説明するんだ?この状況」

「素直にホントのことを説明するつもりだけど」

「バカっ、そんなことできるか」

「大丈夫だって、あの2人なら」


嫌がるミクリアを何とか説得してこっそりガブとラフィに来てもらった。


「陽向も大変だねぇ」

「うっせぇ」

「それじゃあアイリス様の能力を貰ってくればいいんですね?」

「あぁ頼んだ」


一度天界を経由しないと玄関から入って来れないのでガブは天界へ戻っていった。


「で、ラフィとミクリアってどういう関係?」

「確か……学校でクラス一緒だったよね?」

「ま、まぁ」

「でもなんのクラスだったかなぁ……警察科以外にもかけ持ちしてたから……」


サラッと言ったが学科の掛け持ちできるんですね……


「さ、さぁ。我もかけ持ちしてたからな。うん」

「お待たせしました」


ガブが戻ってきたので俺は転移で家の外に出ることに成功した。


「ほんっとありがとう」

「いえいえ、それにしても相変わらずのラッキースケベっぷりですね」

「なんかすんません……」

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