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4-4 奏多と尾行

翌朝、目が覚めるとミクリアの姿はなく、置き手紙に「お世話になりました」と一言。


「あ、そうだ。陽向さん、昨日はありがとうございました」

「え、何が?」

「ミクちゃんを学校まで連れてきてくれたんですよね?本当は私が迎えに行くはずだったんですけど」

「いや、教室の前でばったりあっただけだけど」

「え、そうなんですか?おかしいですね、学校の生徒同伴でないと入れないはずなんですけど」


そういやそんなルールだったな。

俺がどういうことか考えていると、チャットアプリの通知音がなった。

写真付きのようだ。


『大スクープだよ』


奏多から送られてきた写真には和泉と安藤の姿。

あぁ、そういえば奏多はこのこと知らないんだっけ……

面倒なことになりましたね。


仕方ないので俺が急いで駅まで行き、奏多と合流する。


「はぁ……はぁ……疲れた」

「情けないなぁ。ほらあそこ」


和泉達は駅前のカフェで2人きりのようだ。

和泉には口止めされてるから奏多に事情を話すべきか少し迷う。まぁ、奏多の思っていることはあっていると思うので黙っとこう。


一応、奏多にバレてるとだけこっそり和泉に伝えとくか……


俺はスマホにメッセージを打ち込んで送信。



「ん、陽向くん?……えっ!?」


和泉はキョロキョロと辺りを見回している。顔を赤くしているところから察するに、かなり動揺しているようだ。



『駅前の噴水のところ』



俺は素直に自白。向こうからは奏多の姿も確認できたことだろう。



「ひゃわゎゎぁ〜」

「ど、どうしたの?」

「あ、ううん、なんでもない」



と、そんなやり取りをしているように見えた。


「うむむ、いずみんのあの反応はお相手様に口説かれてるね」


一方、奏多は相変わらずの平常運転であった。


その後、しばらくして和泉達は電車へと乗って移動。

そのまま見送れば良かったのだが、奏多がどうしてもと聞かず、放っておいて奏多が邪魔してはいけないと思い、見張り役として俺も尾行に同行することとなった。


「ワトスン君、あの2人、どうみますかな?」

「どうって?」

「どっちからアプローチをしたかってことだよ。ワトスン君」


俺はワトスンじゃねぇ、答えを知ってんだよ、むしろ俺が無理やりくっつけたんだわ。犯人俺だわ。


「俺だろ」

「は?」


いけない、つい声に出してしまった。


「いや、俺がホームズだろ」

「よく分からないけど誤魔化せてはないよ?」


と、すっかり気分はホームズの奏多と共に電車に揺られ、着いたのは隣町の水族館。


水族館に着くと、和泉はトイレへと足を運んだ。それを待っている安藤は待っている間にチケットを買いに行くようだ。


すると、俺のスマホが鳴った。

ゲッ、和泉から電話?

どうやら俺に電話をかけるためにトイレに行くと嘘をついたようだ。


「悪い、トイレ行ってくる」


俺も奏多にそう告げて、その場を離れ電話に出る。


「もしもし?」

『ちょっと、なんで尾行してるの』

「ごめん、奏多がどうしてもって、ほっといたら2人の邪魔しちゃうと思って俺も着いてきた」

『恥ずかしいからいっそ邪魔してよ』

「まあまあ、せっかくデートできたんだししっかりアピールしてこいよ」

『あぁ、やっぱりデートに見えちゃうよね』

「え、違うの?」

『いや、あってる』


あってるのかよ……


「しかし、よく誘えたな。あんなに距離置いてたのに」

『それは違うかな。誘って来てくれたの安藤くんだから』


マジか脈アリじゃん。マジで邪魔しない方が良いやつじゃん。


「なるほどそれじゃ、楽しんでこいよ」

『あ、ちょっとまっーー』


和泉が何か言いかけていたが構わず電話を切った。


「見て見て、クラゲ!クラゲだよ」

「はいはい、クラゲクラゲ」

「もう、ちゃんと見てるの?」

「見てるって」

「ほんと?」

「あーほんとほんと」

「ほんとに?」

「……あぁ、もう、あの2人を見失わないようにちゃんと見てるっつうの、クラゲなんか見とる場合かアホ」

「なに陽向も急にやる気出しちゃってるわけ?」


違うわ、見失ってどこかで鉢合わせになったらまずいだろ。

別にあの2人が気になっているわけじゃない。


「あれ、ソフィアちゃん、こんなところでライブやってる」

「和泉たちのこと見失うぞ」

「そんなことより見に行こ」

「え、和泉たちはいいのか?」

「邪魔しちゃ悪いしこのくらいにしとこ。今からは私と陽向のデートだよ」


ということで和泉たちを尾行するのはおしまい。あとは、ばったり鉢合わせないことを祈るばかり。


「んー、やっぱりこの声聞いたことある気がするんだよなぁ」

「まだそんなこと言ってー、仮に聞いたことあったとしてもだから何?だよ?」

「まぁそうなんだけどさ」


その後は何事もなく奏多との水族館デートという形で楽しみ、水族館を出たあたりで、俺のスマホが鳴った。アイリスからだ。


「もしもし?」

『陽向さん!大変です。ミクちゃんが……』

「ミクリアがどうかしたのか?」

『詳しくは後で、今からそちらへ向かいますので人目のないところに行ってもらえますか?』


アイリスの言う通り、人目のないところへ移動すると、転移ですぐにアイリスがやってきた。


「ミクリア帰ったんじゃなかったのか?」

「それが、突然うちに来たと思ったら急に倒れて……」


と、説明を受けている間に転移の準備は完了して、俺たちは家に戻ってきた。

あまり騒がしいと迷惑だろうと、奏多は自分から帰ると言い出して、そのまま帰宅した。


「とりあえず私の部屋で寝ててもらってます。多分風邪だと思います」


おそらく、昨日盛大に水を被ったのが原因だろう。


「んー、ミクリア女の子だし、看病は任せてもいいかな?何か出来ることがあったら、なんでも言ってくれれば手伝うし」

「あ、はい。それはいいんですけど、ミクちゃん寝言でヒナタって言ってたので一応陽向さんに伝えとこうと思って」

「それで連れ戻したと」

「はい、デートをお楽しみのところごめんなさいね」


最後の一言だけ少し皮肉混じりだった気もするが気のせいだろうか。


「じゃあ佐多さんのとこにお邪魔してるから何かあったら」

「はーい」


最近、アイリスの俺に対しての接し方が少し子どもっぽくなったような気がする。

そんなことを考えながら俺は隣の住人を訪ねた。


「まぁ、そういうことならいいけど」


事情を話すと雲雀はすんなり通してくれた。


「なんかうかない感じですね、なんかまずいことしました?」

「話を聞く限り、ミクちゃん的には保井くんがそばにいてあげた方が安心しそうだけど」

「そうですかね、あいつ俺の事そんなに好いてないみたいですけど」

「嫌よ嫌よも好きのうちって、知らない?」

「そういうもんですかね……」

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